この記事をまとめると
■ドアがないクルマたちを紹介■安全面を考えるとあまり良いものではなかった
■ドアがありながらも格納して走ることができるクルマもあった
ドアが存在しない割り切りすぎた名車たち
いまでこそクルマにはドアが4枚とか5枚とかあるのがデフォルトですが、その昔はドアがないクルマなんてざらにありました。そもそものくだりから始めてしまうと、スタートは馬車になるでしょう。西部劇に出てくる馬車を思い出せば、屋根もなければドアもない。
そんなドアなしをいくつかご紹介してみましょう。
ダイハツ・フェローバギィ
1970年にダイハツからリリースされたフェローバギィは、その名のとおりバギーですから当然ドアなしです。一応、バギーというのは砂浜や悪路など全地形に対応するクルマとされていますが、たいてい屋根はあってもドアはありません。フェローバギィも同様のパッケージで、レジャー目的であればヒョイと気軽に乗り降りできるドアなしはじつに魅力的。
また、気軽に乗り降りだけでなく、横転した場合なども脱出しやすいというメリットもあります。砂浜なんかで調子に乗れば、本家デューンバギーなども簡単に横転しますからね。
ホンダ・バモス(初代)
フェローバギーと同じく1970年にデビューしたホンダ・バモスもまたドアなし。もっとも、言い訳程度に転落防止用パイプが1本だけあります。フェローバギーに比べて着座位置が高いこともありますが「絶叫マシンの手すり」くらいの安心感はあるかと。
こちらも、乗り降りが楽チンであり、見た目通りレジャービークルとしてデザインが優先された結果、ドアは採用されなかったのでしょう。おそらく、悪ふざけして落車! なんてケースはバモスの生産台数分あったのではないでしょうか(笑)。
スズキ・ジムニー(初代)
小型のジープ、といったパッケージで登場した初代ジムニーは、簡素な幌屋根、ペラっペラなドアというのも本家ジープから踏襲していました。それゆえ、ドアなしでバモス同様に簡易な手すりというか転落防止バーが装備されていました。ついでに、フロントスクリーンも前に倒せたので、まんまジープのスタイルを手に入れたわけです。
奇しくも、初代ジムニーもまた1970年のデビューで、フェロー、バモスと同級生ということに。ずいぶんドアなしが流行っていたようですが、この後にドアなしが廃れていったのは、この3台で調子に乗って転落した若者が激増→安全基準の強化! みたいな流れが容易に想像できますね。
ドアなしマシンはスパルタンさが輝く
ミニ・モーク
ジープといえば、ミニ・モークもまたジープに敬意を払って作られたドアなしモデルでした。が、志は高くイギリスの軍需採用を目指して設計されているので、採用しているメカニズムはわりとシリアス。歩兵装備、いわゆるデカめのバックパックや長尺ライフルなどを持った兵隊さんにとってドアがないほうがコンビニエンス。
ですが、実際に乗り降りしてみるとわかるのですが、モークは着座位置が低いのでわりかし大変です。このせいかどうかわかりませんが、残念ながらモークはイギリス軍に採用されることはありませんでした。
ケータハム・セブン
こちらもドアなしの代表格みたいなクルマ。簡素なビニール製ドア(というか風よけ)が付属してはいますが、デフォルトの姿とは言いづらい。スポーツカーかくありきといったスタイルで、じつにカッコいいのですが、これまたモーク同様に低い着座位置でもって乗り降りするのはひと苦労。
なにしろ、シートに座っていると地面でタバコの火をもみ消すことができるなんていわれてますからね。ただし、この低さが幸いしているので、バモスやフェローのように転落というのもしづらいかと。
ロータス 3-イレブン
ケータハムを出したら、本家ロータスのドアなしを紹介しないわけにはいきません。セブンと同じく、スパルタンなスポーツカーとしてリリースされた3-イレブンもまたドアのないオープンボディに、体を滑り込ませて乗車するタイプ。
ですが、セブンと違ってドライバーの周囲はしっかりボディが囲っていますので、よもや転落などということは起こりそうにありません。が、その分乗り降りの苦労はセブン以上なようで、動画を見ていてもドライバーの「よっこらしょ」的なうめき声が聞こえるものがあるくらい。いずれにしろ、ドアなしの系譜としてはレジャーというよりガチ勢に分類すべきモデルに違いありません。
スマート・クロスブレード
2001年に発表され、2002年には国内に限定25台で導入されたスマートの「ガチ勢」がこちらのクロスブレード。ドアなしどころか、フロントスクリーンや屋根までも省かれているのが潔い感じ。もっとも、転落防止バーのゴツめなやつがついていますので、バモスやフェローで悪ふざけをしたオッサン達からしたら「甘いな」となるかもしれません(笑)。
とはいえ、ここまでいろいろなものが省かれていると「作成途中のプラモ」的なルックスで、走っている姿もちょっとしたコメディムービーかのよう。ドアなし、屋根なし、フロントガラスなし、省エネもここまでくれば現代のSDGsを先取りしたかのようです。
BMW Z1
最後のドアなしはマクラーレン・エルバと迷ったのですが、あえてZ1をチョイスしてみました。さまざまなメディアでドアなし企画の常連として登場していますが、正確にはドアは上下にスライドするものが装備されています。ただ、これを下にスライドさせボディに格納してしまうと「ドアなし」での走行が可能となっているわけです。
が、実車をよく知る人物にいわせると、このドアは「よく壊れた」そうです(笑)。で、BMWディーラーも苦労したようですが、いまはなき白金の崎山自動車はバッチリ直してくれたとのこと。中途半端なドアなし、これはこれで苦労するというエピソードでした。

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