この記事をまとめると
■1966年に発売されたフェルベス・レンジャーがガンセキオープンにそっくり



フェルベス・レンジャーはイタリアのカロッツェリア「FVS」によって製作された



■フィアット・ヌォーバ500のエンジンとミッションを移植した全輪駆動車



ガンセキオープンの元ネタと思わせるほどそっくり

もうね、「チキチキマシン猛レース」のテーマソングが脳内リピ止まりません。これ、ガチで欲しいっス!



もともとは、イタリアのカルロ・フェラーリなる勇者が興したカロッツェリア「FVS」によって設計・製作された、それこそガチな多目的車両。車名のフェルベス(Ferves)は、彼のFerrariという名前と、Veicoli(イタリア語でクルマ)、Speciali(これまたイタリアのスペルですが、いうまでもなくスペシャルとか特別といった意味)で、レンジャーというのはオフロード系をアピールしたものかと。



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1966年のトリノショーで発表、すぐさま販売にこぎつけたそうですが、チキチキマシン(本国名:Wacky race)の放送が1968年ですから、もしかすると「ガンセキオープン」はフェルベス・レンジャーにインスパイアされての造形かもしれません。もちろん、制作元のハンナ・バーベラ・プロダクションはそんなことひと言も触れていませんから定かではありませんが、どう見たってねぇ(笑)。



もっとも、ガンセキオープン(本国名:The Boulder Mobile/走る岩石)はタメゴローとトンチキという原始人らしきペアが、お得意のこん棒でもってそこらの岩をガッツンガッツン叩き割って作りあげたマシン。フェルベスは、さすがトリノショーで人気が出ただけあって、フィアットのヌォーバ500のエンジン、ミッション、そして同じくフィアットの600Dから凝った駆動システムを移植。全輪駆動を引き受ける強固なパイプフレームが組まれ、素朴な面構成ながら鋼板ボディが架装されています。



ガチに「チキチキマシン猛レース」から出てきた!? と思ったらコッチが元祖の「フェルベス・レンジャー」って何もの?
フェルベス・レンジャーのMTシフトノブ



一応、4人乗車ができるようシートが組まれていますが、イタリアの山村などで使用されることを想定して、リヤは簡単に取り外し可能。



ガチに「チキチキマシン猛レース」から出てきた!? と思ったらコッチが元祖の「フェルベス・レンジャー」って何もの?
フェルベス・レンジャーのシート



空いたスペースにはヤギ乗せたり、収穫したデュラムセモリナ麦とかたんまり載せたり、使い道は自由自在。



で、簡素な平面フロントガラスはこの手のクルマのお約束どおり、パタンと前に倒すことが可能。2シーター、フロントスクリーンなし、とくればやっぱりガンセキオープンに見えてしまいます。どうせ乗るなら、原始人コスプレがデフォでしょう(笑)。



冗談みたいな姿とは裏腹のしっかりしたオフロード性能

1966年から5年の間に約600台が生産されたそうですが、一説によると現存しているのは50台ほどだとか。それゆえ、オークションに出品されることも非常に稀で、2~3万ユーロ(約300~450万円)と、ガンセキなわりに高値安定。

イタリアの山奥で朽ち果てているタマでも見つけて、それこそこん棒でもって叩けばどうにかなりそうな気もしますけど(笑)。



ガチに「チキチキマシン猛レース」から出てきた!? と思ったらコッチが元祖の「フェルベス・レンジャー」って何もの?
フェルベス・レンジャーのリヤスタイリング



そんなリアル・ガンセキオープンですが、しっかりオフロード性能が持たされていました。前述のとおり、全輪駆動のほかに二輪駆動モードも備え、さらには左右別々に手動によるロックが可能という構造で、狭いあぜ道などでも小まわりが効くなど、なにげに高性能。



搭載エンジンは18馬力ほどを絞り出すといいますが、低めのギヤ比もあって70とか80km/hが精一杯。スピードが遅いと、チキチキではこん棒で叩かれたりしていましたが、こればかりはいたし方ないかもしれません。もっとも、フェルベス・レンジャーに乗りこんでしまえば、チキチキマシンの歌詞どおり「走っていれば、この世は天国♪」文句のつけようもないでしょう。



ガチに「チキチキマシン猛レース」から出てきた!? と思ったらコッチが元祖の「フェルベス・レンジャー」って何もの?
フェルベス・レンジャーのエンジン



ちなみに、国内にもお乗りのマニアがいらっしゃるので、走っている姿を見るチャンスがありますよ! でも、くれぐれもこん棒で叩いたりしないでくださいね。叩くのはガンセキオープン、こちらはフェルベス・レンジャーというリアルなマシンですから(笑)。

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