この記事をまとめると
■1970年代半ばに「スーパーカー」というカテゴリーが日本から生まれた■スーパーカーよりもさらに高性能で希少性の高いモデルを「ハイパーカー」と呼ぶ
■現在、最高出力1000馬力超のスーパーカーは「メガカー」と呼ばれている
スーパーカーに明確な定義はない
スーパーカー、ハイパーカー、メガカー。いわゆる超高性能車を例える言葉にはさまざまな呼び方がある。そのなかでもっとも身近なものといえば、日本から生まれた言葉ともいえるスーパーカー。
そのなかでV型12気筒エンジンをミッドシップするモデルであるとか、最高出力がどれだけ必要であるとか、最高速や姿カタチの美しさによって、人それぞれが自由にスーパーカーとは何を条件とするのかの定義を決めていたように思う。
現在ではこのスーパーカーのさらに上にランクされるハイパーカーも同様に明確な定義はない。あるとすれば、これまでのスーパーカー群を圧倒する動力性能と運動性能を持ち、またレーシングカーのそれにも似た個性的で美しいボディデザインと高価な価格。そして何より発表時点ではすでにそれが完売されているという少量生産体制による希少性があるということだろうか。

その概念が初めて採り入れられたハイパーカーは、やはり1993年から1998年の間に64台のロードモデルが生産されたマクラーレンF1ではないだろうか。

この頃はまだハイパーカーという言葉は存在しなかったと記憶するが、627馬力の最高出力を誇る当時のBMWモータースポーツ社製による6リッター V型12気筒エンジンをミッドシップに搭載し、さらに世界初となるカーボンファイバー製のシャシーを採用。最高速は正式には386.4km/hと発表され、価格も堂々の1億円以上という設定だった。マクラーレンF1は、スーパーカーの常識を何もかも打ち破ったモデルだったのだ。
メガカーを超えるモデルに与えられる呼称も誕生するかもしれない
1999年に発表されたパガーニ・ゾンダや、それに続いて2000年に登場したケーニグゼグCC8Sも、大きな話題を呼んだハイパーカーの例といえる。
前者はランボルギーニの契約デザイナーであり、カウンタック・アニバーサリーなどの作品を残したオラチオ・パガーニが独立後にパガーニ・ブランドで生産したファーストモデル。その芸術的なフォルムとメルセデスAMG社から供給を受けたV型12気筒エンジンの組み合わせが世界のスーパーリッチに好評を博し、約3億円という新車価格にもかかわらず、販売は非常に良好に推移した。

ケーニグゼグも同様で、スウェーデンで生まれたハイパーカーらしく、運動性能のほかにスカンジナビアンデザインを採り入れた、機能的で美しいインテリアなども大きな話題となった。
そしてこの両車に刺激されるかのように、ブガッティは1001馬力の最高出力とオーバー400km/hの最高速を誇るヴェイロンを市場に投入。ハイパーカー戦争は、いよいよメジャーブランド巻き込んだ時代を迎えることになる。

現在、とくに耳にすることも多くなったメガカーは、このハイパーカーよりもさらに強力なパワーユニットを搭載するモデルたちのことを意味している。
最初にメガカーというカテゴリーを確立したのはケーニグゼグで、これはエンジンの最高出力が1MW(メガワット)=約1341馬力を超えたモデルに与えられる称号。ケーニグゼグは2014年のジュネーブショーで発表したOne:1で最高出力1360馬力を達成した5リッターV型8気筒ツインターボエンジンの搭載に成功。最高速で440km/hを可能にするとされたこのモデルは、わずかに6台のみがカスタマーにデリバリーされた。

スーパーカー、ハイパーカー、そしてメガカー。技術の進歩とともにこれまで進化を続けてきたスポーツカーの頂点を極めたモデルたちは、電動化の動きが進むなかでこれからどのような姿、スペックへと変化していくのだろうか。
我々はいま、もしかするとそれが現実になる瞬間を見届けるという、もっとも楽しい時代を生きているのかもしれない。