この記事をまとめると
■フェラーリは魅力溢れるオープンカーを世に送り出した■今回は1960年代後半から現在にかけて販売された主なモデルを紹介
■近年は電動ハードトップが採用されている
流麗なボディラインをオープンカーでも表現
長年、人々を魅了するスポーツカーを作ってきたフェラーリ。レーシングカーの製造からスタートしたフェラーリは1948年に誕生した166インテルからロードカーの販売を開始し、そのロードカーには1950年代からオープンモデルが存在していました。
342アメリカ、250GTスパイダー・カリフォルニア、275GTSなど1950年代から1960年代にかけても魅力溢れるオープンカーを世に送り出したフェラーリ。
数あるオープンカーのなかで、今回は1960年代後半から現在にかけて販売された主なモデルを紹介していきます。
なお、今回紹介するのは多くのモデルに存在したタルガトップではなく、スパイダーと呼ばれるフルオープンカーをピックアップしました。
魅力あふれるフェラーリの歴代オープンカー
365 GTS4
ボディサイズ:全長4425mm×全幅1760mm×全高1245mm
パワーユニット:4.4リッターV12(最高出力:352馬力)
デイトナの愛称を備える365 GTB/4が登場したのは1968年。フロントに4.4リッターV12エンジンを搭載するFRスポーツカーです。

ピニンファリーナが手掛けたスタイリングはその当時としてはかなり攻めた未来的フォルム。デビュー時は固定式丸目4灯のフロントヘッドランプを装備していましたが、1970年に主要市場であるアメリカの保安基準に合わせてリトラクタブル式に変更されました。
365 GTB/4には1971年にオープンモデルの365 GTS4を追加。高性能かつラグジュアリーなスパイダーの365 GTB/4は1973年まで122台が販売されています。

モンディアル カブリオレ
ボディサイズ:全長4580mm×全幅1790mm×全高1250mm
パワーユニット:3リッターV8(最高出力:214馬力)
1980年に登場したモンディアルは308GT4の後継モデルとしてデビュー。V8エンジンをミッドシップに搭載していましたが、リヤシートも備える2+2レイアウトを採用したことが大きな特徴です。

1982年にはオープンモデルのモンディアル カブリオレを追加。タルガトップではないオープンモデルとしては365 GTS4以来の設定となりました。

カブリオレのルーフはソフトトップの手動式。

モンディアルは1993年まで生産されましたが、デビュー時からパワーユニットの改良や変更が加えられていき、1989年には3.4リッターエンジンを縦置きに搭載するモンディアルTが登場。最高時速は255km/hを発揮していました。

348スパイダー
ボディサイズ:全長4230mm×全幅1894mm×全高1170mm
パワーユニット:3.4リッターV8(最高出力:312馬力)
世界的に人気を得た328GTBの後継モデルとして1989年にデビューした348。モノコック構造を採用したことなど328GTBとは各所が大きく変更されています。

ピニンファリーナが手掛けたスタイリングは流麗なミッドシップスポーツカーらしいフォルム。サイドインテークのフィンはテスタロッサとの共通するデザインを採用していました。
348にはオープンモデルのスパイダーが1993年に追加。ソフトトップの造形はボディラインと融和することにこだわっており、オープン時はもちろんクローズ時も流麗なフォルムは崩れません。

348はデビュー後、エンジンに改良が加えられていき、最終的には最高出力が300馬力(スパイダー登場時は312馬力)から320馬力まで高められました。
F355スパイダー
ボディサイズ:全長4250mm×全幅1900mm×全高1170mm
パワーユニット:3.5リッターV8(最高出力:380馬力)
348の後継モデルとなるF355は1994年に登場。初代NSXの登場が影響したのか「誰にでも運転できるスポーツカー」をコンセプトに開発されました。

エクステリアデザインはサイドインテークのフィンこそありませんが、348のスタイルに近いもの。ただサイドラジエターを採用したことでワイド感が増しています。また、サイドラジエターの採用はユーティリティ性の向上も実現し、フロントには220Lのスペースを備えることもできました。

F355のオープンモデルとして用意されたF355スパイダーは1985年に登場。348スパイダー同様、ソフトトップを採用していましたが、手動ではなく電動式へ変更されています。

カリフォルニアが初めて可動式ハードトップを採用
カリフォルニア
ボディサイズ:全長4570mm×全幅1910mm×全高1322mm
パワーユニット:3.9リッターV8ツインターボ(最高出力:560馬力)
2008年のパリサロンで初披露されたカリフォルニアは、V8エンジンをフロントに搭載するFRレイアウトを採用。可動式ハードトップを採用した初めてのフェラーリ車となりました。

センターコンソールに設けられたスイッチで操作するハードトップの開閉時間は約14秒。ルーフを収納するトランクは可動式ハードトップとともにフェラーリ車初となるトランクスルーが設けられています。

そのトランク容量は340L。ただし、ルーフ収納時は240Lとなりますが、いずれにしてもオープンスポーツカーとしては十分なスペースを誇ります。

パワーユニットはデビュー時こそ4.3リッターV8を搭載していましたが、改良が加えられて2014年には3.9リッターV8ツインターボへ変更。最高時速は316km/hをマークしました。

488スパイダー
ボディサイズ:全長4568mm×全幅1952mm×全高1211mm
パワーユニット:3.9リッターV8ツインターボ(最高出力:670馬力)
2015年に開催されたフランクフルト・モーターショーで初披露された488スパイダー。可動式トップ(アルミ製)としたことで、従来のソフトトップ車と比較して約25kg軽量化しました。

そのためクーペモデルの488GTBからの走行性能低下は最小限におさえられており、0-100km/hは変わらず3秒、0-200km/hは8.7秒とわずか0.4秒落ちとなっています。
可動式ハードトップは時速45km/h以下であれば走行中でも開閉が可能。収納時はルーフが後方へ上下反転して、キャビンの後ろの設けられたカバー下に収納されるシステムです。

日常性にこだわる必要がない(?)フェラーリ車ですが、488スパイダーはユーティリティ性能にも力が入れられており、フロントには230Lのトランクを配置。その他、シート後方にも58Lのラゲッジスペースが用意されました。
ポルトフィーノ
ボディサイズ:全長4586mm×全幅1938mm×全高1318mm
パワーユニット:3.8リッターV8ターボ(最高出力:600馬力)
ボルトフィーノとはイタリア(とフランス)のリゾート地として有名なリビエアにある港町の名称。高級リゾート地とした名高い都市名を車名に取り入れた同車は、FRレイアウトを採用したオープンカーです。

カリフォルニアの後継モデルとして元々、オープンカーとして開発されたボルトフィーノのシャシーは新設計されて、剛性の向上とともに軽量化も実現。車名からもわかるように、お金持ちが余暇を楽しむべく開発されたクルマとなっています。
とはいえ走行性能はフェラーリ車らしいハイスペックなもの。

ルーフはリトラクタブル式ハードトップで開閉時間は14秒。オープン時にはリヤウインドウ部がルーフパネルに重なることで、コンパクトに収納されるのが特徴です。

488ピスタ・スパイダー
ボディサイズ:全長4605mm×全幅1975mm×全高1206mm
パワーユニット:3.9リッターV8ツインターボ(最高出力:720馬力)
「ピスタ」とはイタリア語でサーキットを意味する車名が名付けられていることからわかるように、488ピスタはレース参戦車からの技術をふんだんに取り入れ製作されたハイパフォーマンスモデル。

フロントに配されたSダクト&ディフューザーをはじめ、レーシングカーのような空力デバイスが随所に装備されているのが特徴です。
レージングカーからの応用は見えない箇所にも多数投入。エンジンはF1用にも用いられる素材で作られた排気マニホールドなどを採用し、最高出力720馬力を実現しました。

そんなスペシャル感満載の488ピスタにも、フェラーリはオープンモデルを用意。488スパイダーのルーフ開閉機構を流用したアルミ製可動式ハードトップを備えた488ピスタ・スパイダーは、最高時速340km/h。フェラーリ史上最速のオープンカーとなりました。

まとめ
改めて振り返るととにかく魅力的なモデルが多いフェラーリのオープンカー。速さはもちろん、優雅なスタイルを身につけたそれらのモデルは、同じスポーツカーメーカーのランボルギーニが発表してきたオープンカーとはまた違う趣を備えています。
今後、登場する車種にも多くのモデルにオープンカーが設定されるはず。それらはどんなクルマに仕立てられるかが楽しみです。