この記事をまとめると
■サーキットではハイグリップタイヤやSタイヤがよく使われる



■ハイグリップタイヤは車検も通るので街乗りタイヤとしても使用可能となっている



■グリップ力が高くフィーリングも良いが、減りが早くロードノイズがうるさい



一般公道でハイグリップタイヤを履く意味とは

サーキットでタイムを出したいという人は、ひと昔前だとセミスリックとかセミレーシングとか呼ばれる通称「Sタイヤ」を履かせている人が多かった。ただし、強烈なグリップと引き換えに短命で、一応公道走行も可能だが、溝も少ないので雨天も考えると、普段乗りにはオススメできない代物であった。



そこで、普段は街乗り用タイヤを履いて、サーキットでSタイヤに履き替えるという流れが一般的だった。



曲がる感触もいいしサーキットでも余裕……って値段が高い以外は...の画像はこちら >>



しかし、ロードスターやフェアレディZ、S2000などでは積載する場所がほぼないのでそれは不可能。また、それ以外のクルマに乗る人でもわざわざサーキットで走行前後にジャッキアップしてタイヤ交換するのは面倒という人も多い。そこで普及してきたのがハイグリップラジアルタイヤだ。



ハイグリップラジアルタイヤは、いまやサーキットではSタイヤに匹敵するほどのグリップ力を発揮する一方で、それでいて安心して雨の日も街乗りができるタイヤなのだ。代表的なモデルは、「ブリヂストン POTENZA RE-71RS」や「ヨコハマ ADVAN NEOVA AD09」、「ダンロップ DIREZZA ZⅢ」などだ。



曲がる感触もいいしサーキットでも余裕……って値段が高い以外は最高に思える「ハイグリップタイヤ」のデメリットとは
ブリヂストン POTENZA RE-71RS



もっとグリップを重視するなら”レーシングラジアル”と呼ばれたりする、呼び名が定まっていないひとつ上のカテゴリーもある。そちらは「ブリヂストン POTENZA RE-12D」、「ヨコハマ ADVAN A052」などが人気モデル。



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ヨコハマ ADVAN A052



デメリットは多いが運転時の楽しさはピカイチ

では、そういったハイグリップなタイヤを使うときにどんな注意点があるのだろうか。



1)減りが早い

街乗りであっという間に減ってしまう、ということはないが、じゃあ3万kmも4万kmも走れるかというと正直難しい。



それでもステアリングを切ったときにレスポンス良く曲がり出す感覚は、ハイグリップタイヤならではのもの。そういった意味で普段乗りから履くのはアリ。



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摩耗したハイグリップタイヤ



そして、「サーキットではあっという間に減る」と思われているが、そんなことはない。車種にもよるがサーキットで1回あたり20分の走行を2回する人からしたら、10回や15回は余裕で使える。



サーキット数回で減ってしまうという人もいるが、そういった場合はタイヤが熱ダレしても全開走行を連続で続けている人が多い傾向にある。

オーバーヒート状態でグリグリと捻られたら当然タイヤは減りやすい。適度なクーリングを入れつつ、アタック走行をしていけば、数回でツルツルになってしまうことはない。



2)乗り心地が悪い

強い荷重がかかったときに支えられるようにサイドウォールの剛性が高くなっているのがハイグリップタイヤの特徴だ。そんなせいもあって、乗り心地はハードに感じがち。快適性だけを求めるならハイグリップタイヤではないほうがいい、というのは間違いない。空気圧調整で多少はアジャストできるが、根本的に剛性が高いのはどうにもならない。



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走行会風景



3)走行音が大きい

ステアリングレスポンスを重視するために、パターンの都合上、どうしてもブロックひとつひとつが大きくなる。そうなると、タイヤが路面を叩く音が発生してしまい、走行ノイズが大きくなる。それでも国産ハイグリップ系は静かなほうで、通称アジアンタイヤと呼ばれる中国、台湾系のタイやだとかなり走行ノイズが大きいモデルもある。



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アジアンタイヤ



こういった特性があるので、街乗りオンリーとか、スポーティな走りをしないなら、デメリットも少なからずあるハイグリップラジアルタイヤだが、スポーツタイヤならではの剛性感のある高いフィーリングとグリップ力はなんとも言えない気持ちよさがあるのも事実。機会があればぜひ一度味わってもらいたいところ。

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