この記事をまとめると
■基本的にはトラックの荷台に人が乗って移動することは認められていない■看守の必要な荷物が載っている際に監視員として荷台に人が乗ることは認められている
■警察の許可があれば荷物の監視員としてでなくとも荷台に人を乗せることは認められる
シートベルトがない場所に人が乗るのは基本的には認められない
基本的にトラックの荷台に人が乗るのはNG行為だ。
道路交通法第五十五条により、『車両の運転者は、当該車両の乗車のために設備された場所以外の場所に乗車させ、又は乗車若しくは積載のために設備された場所以外の場所に積載して車両を運転してはならない』と記されているのが、その根拠となる。
この文言を現在の保安基準に照らし合わせて理解すると、シートベルトを備えた座席以外に人が乗っているのは道路交通法違反となるのだ。
ただし、道路交通法第五十五条には、つづきがある。
『ただし、もつぱら貨物を運搬する構造の自動車(以下次条及び第五十七条において「貨物自動車」という。)で貨物を積載しているものにあつては、当該貨物を看守するため必要な最小限度の人員をその荷台に乗車させて運転することができる』。
この部分が意味しているのは、看守が必要なケースにおいてはトラックの荷台に監視員として人が乗ることは許されるということだ。

原則としてトラックの荷台に人を乗せることはNG行為といえるが、看守の必要な荷物が載っているというケースに限り、監視員として荷台に人が乗ることはただちに違反行為とはいえないのだ。
警察の許可があれば荷台に人を乗せることができる
また、道路交通法第五十六条2には以下の文言が記されている。
『貨物自動車の運転者は、出発地警察署長が道路又は交通の状況により支障がないと認めて人員を限つて許可をしたときは、前条第一項の規定にかかわらず、当該許可に係る人員の範囲内で当該貨物自動車の荷台に乗車させて貨物自動車を運転することができる』。
ここでいう前条とは第五十五条のこと。つまり、警察の許可があれば荷物の監視員としてでなくとも荷台に人を乗せることは認められるというわけだ。

では、どんなケースにおいて警察の許可が出るのだろうか。
たとえば、京都府警が発している「乗車または積載の方法、制限の特例等の運用について(例規)」では、道路交通法第五十六条に基づいて荷台に人が乗る場合について、『従来は「緊急の必要その他やむを得ない場合」とされていたが、そのような当事者の主観的必要性ではなく、当該車両の構造または道路もしくは交通の状況というような客観的要件に基づいて判断することとしている』と明記されている。
具体的には、車体の安定性など構造の基準を満たしていること、申請ルートに急カーブなどの危険な道路状況がないこと、混雑など道路状況を鑑みて妥当なこと、乗車人数に対する設備やスペースが確保されていること、の4条件から判断するとされている。
※詳細は文末の引用参照

こうした基準は各エリアでの事情に合わせて異なるだろうが、いずれにしても安全が確保できない状況では警察の許可は出ないと考えていいだろう。
※以下、引用
(1) 車両の構造の基準(乗車設備等の基準)
車体の重心が低く安定していなければならないことのほか、特例として乗車させようとする場所の設備については、
ア いす等が設備してあるか、むしろ、座布団などが敷いてあること。
イ 乗車のための座席が設けてある場合は、重心が低く、かつ、固定し振動等による移動を防止することができるものであること。
ウ タンクローリー等(くみ 取り車等)については、安定したいす式座席を設備すること。
エ 反覆、継続的に乗用車代用として使用する貨物自動車については、前記ア、イのほか柵または幌をかぶせる等の処置をとること。(2) 道路状況の基準
ア 申請にかかる経路内の道路幅員が許可対象車両の車幅の2倍以上の幅員を有すること。
イ 申請にかかる経路内にがけ、欠壊場所、こう配の急なまたは曲折の多い道路がある等危険箇所が含まれていないこと。
ウ 申請にかかる経路の路面に著しい凹凸がなく振動による転落のおそれがないこと。
エ 申請にかかる経路内に雨、雪等の自然現象による危険性の生ずるおそれがないこと。(3) 交通の状況の基準
ア 申請にかかる経路内に祭礼、行事その他の理由による交通の混雑などが予想されないこと。
イ 申請にかかる経路が原則として、繁華街その他交通ひんぱんな道路を含まないこと。(4) 乗車人員の基準
乗車人員は、車両の種別、設備または通行道路等に応じて個々具体的に定めるべきであるが、いす等の座席を有する場合は、1人につき幅 400ミリメートル以上、奥行き 400ミリメートルの座席面積を確保できるものとして計算した人員とし、また座席設備のないものについては1人につき幅 800ミリメートル、奥行き 800ミリメートル以上の面積が必要である。