この記事をまとめると
■BMWが初公開した「ヴィジョン・ノイエクラッセ」のスタイリングがスゴイと話題■何がスゴイのかデザインの専門家が詳細を分析
■素人目にはまったく違うE30型に影響を受けたという
次世代のBMWのスポーツセダンを予見するコンセプトモデル
ドイツのミュンヘンで開催された「IAAモビリティ2023」にて世界初公開されたコンセプトカー、「BMW Vision Neue Klasse(ヴィジョン・ノイエクラッセ)」のスタイルがスゴイ! と話題です。では、そのエクステリアのどこがそんなにスゴイのか、あらためてチェックしてみましょう。
●余計な要素を徹底して排除したクリアボディ
1960年代に発売された中型乗用車の総称である「ノイエクラッセ(新しいクラス)」ですが、BMWは、2025年以降に6車種の展開が予定されるBEVの新シリーズにこの名称を当てはめたようです。今回発表されたヴィジョン・ノイエクラッセは、そのうちのスポーツセダンを予告するコンセプトカー。
で、「スゴイ!」と思わせる点の筆頭は、とにかくシンプルな面構成でしょう。必要なもの以外を削ぎ落とし、広々とした車体面とわずかなラインにより「クリア、エレガント、タイムレス」を目指したというボディは、近年、各メーカーが掲げるシンプル回帰路線そのもので、ようやくBMWもその一端に着いた感じです。

具体的な「スゴイ!」は、まずそのプロポーションが挙げられます。ロングホイールべースと切り詰められた前後のショートオーバーハングのバランスが抜群で、前傾したキャビンとともにウエッジしたボディがじつにスポーティ。
デザインディレクターのドマゴイ・デュケック氏は、ヴィジョン・ノイエクラッセのデザイン開発に当たって、1980年代の2代目3シリーズ(E30型)に影響を受けたと語っています。

たしかに端正な佇まいはE30型を彷彿させますが、個人的には、ウエッジしたボディに3代目(E36型)の躍動感も想起されます。
新しいだけでなくレガシーをアレンジして取り込んだディテール
●1980年代デザインを新たに解釈したディテール
「スゴイ!」点のふたつ目は、各パートにもE30型の1980年代的特徴が巧妙に織り込まれていること。フロントには「いよいよ顔全部がグリルになってしまった」なんて声もありますが、じつはキドニーを横に広げて当時の独立型グリルを再現している点がユニークです。

これはテールランプも同じで、当時流行の大型ランプを巧く現代風にアレンジしているのです。

また、ボディに対してグラスエリアの広い大きなキャビンも1980年代の特徴。これらグリル、テールランプ、キャビンの各要素の組み合わせが、先進的でありつつどこか懐かしさを感じさせる理由で、見る人に一種の安心感も与えます。

最後の「スゴイ!」は、凝縮したボディにありがちな肥大感を防ぐボディスリム化です。

さて、今回はヴィジョン・ノイエクラッセのエクステリアをチェックしてみました。最近は巨大グリルばかりが話題のBMWとしては、「スゴイ!」というより「待ってました!」という変化かもしれません。
1点心配なのは、3月に発表された「i Vision Dee」に比べると、より市販型に近づいたことで若干要素が増えていることでしょうか。

できれば、ほぼこのままのスタイルでデビューすることを期待したいと思います。