この記事をまとめると
■先日のマイナーチェンジでマツダ車からMTモデルが大幅に減ってしまった



■GRスープラやシビックタイプR、GR86などのMT車は街乗りではパワーを持て余す



■小排気量モデルでもMTを設定するモデルはまだ数多く存在し、人馬一体感を味わえる



縮小傾向でありながらもまだまだ新車でMT車は選べる

2012年に先代CX-5を発売したあとのマツダは「スカイアクティブ技術」と「魂動デザイン」の組み合わせにより、運転の楽しいクルマを開発している。そこで6速MT(マニュアルトランスミッション)も豊富に用意していた。



ところが最近は、6速MTを選べるマツダ車が減っている。

以前はCX-3、CX-30、CX-5、マツダ6(発売時点ではアテンザ)という具合に、幅広い車種に6速MTが用意されたが、いまは省かれてしまった。



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この背景には販売比率がある。発売直後は6速MTも相応に売られたが、需要が一巡すると売れ行きが下がった。先に挙げたマツダ車の場合、6速MTの比率は、大半の車種で5%以下だ。



しかもいまのマツダ車は、CX-5を除くと、売れ行きが全般的に下がっている。たとえば2023年におけるマツダ6の1カ月平均登録台数は約190台だ。この内の5%が6速MTだとすれば、1カ月の登録台数は10台程度で、商品として成り立ちにくい。



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マツダ MAZDA6



そうなると、6速MTを用意できるのはスポーツ性の強い車種だ。



LサイズのスポーツカーではスープラやフェアレディZ。ミドルサイズ以下では、GR86、BRZ、ロードスター、シビックタイプR、GRヤリスという具合だ。このあたりは相応に性能の高いスポーツモデルだから、6速MTが設定されて当然だ。



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ホンダ シビックタイプR



ただし、このなかでは比較的ローパワーなGR86などでも、6速MTを駆使して動力性能をフルに発揮させると、法定速度を大幅に超過する。

日常的な使用のなかで6速MTをフル活用して、エンジンパワーを引き出すなら、動力性能をもう少し抑えたい。



小排気量+MTの組み合わせは楽しさ満点

ロードスターのソフトトップは、この点も視野に入れて、エンジン排気量を1.5リッターに設定した経緯がある。ロードスター以外ではスイフトスポーツが挙げられる。エンジンは1.4リッターターボだが、極端にパワフルではないから、6速MTでパワーを引き出す醍醐味を味わえる。



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マツダ ロードスター



1.2リッターエンジンのスイフトに、5速MTを組み合わせたRSも魅力的だ。MTを使いこなせるか否かで、運転の楽しさと速さが大きく左右される。スイフトRSではサスペンションも少し硬く設定され、中高年齢層のベテランドライバーは、昔の運転が楽しかったスポーティなハッチバックを思い出すだろう。逆に若いドライバーなら、運転の基礎を身に付ける教材として最適だ。



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スズキ スイフトRS



マツダ2も6速MTを用意しており、1.5リッターのガソリンとクリーンディーゼルターボを選べる。独特の運転感覚を味わえるのはディーゼルだ。一般的にMTは、エンジンを高回転域までまわしてパワーをフルに引き出す走りが楽しいが、マツダ2のディーゼルは違う。ディーゼルエンジンの特徴を生かして、低回転域でシフトアップを重ねる楽しさがある。



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マツダ MAZDA2



マツダ2の6速MT車では、最大トルクの22.4kg-mを1400~3200回転で発生させるから、1500~2000回転くらいを使って加速を続けられる。この運転感覚は、ガソリンエンジン車やハイブリッドでは味わえないディーゼル固有のものだ。



ジムニーやジムニーシエラにも5速MTが設定され、悪路ではワザを利かせた運転を楽しめる。アクセル開度と、クラッチを繋ぐときに左足へ伝わる接続感から、悪路の路面状況も伝わってくる。これも人馬一体の楽しさだ。



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スズキ ジムニー



以上のようにMTの醍醐味は、小排気量のエンジンを搭載した小さなクルマでこそ満喫できる。ドライバーのテクニックが自動変速の制御を超える瞬間を、大いに楽しんでいただきたい。

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