この記事をまとめると
■日本ではN-BOX頼みとなっているホンダだが、主戦場のアメリカ市場での販売は好調だ■アメリカでのホンダは先進性・デザイン性・安心感がブランド価値となっている
■EVシフトが進むなか新しい商品価値の創造を深く考えなければならない
アメリカで絶大な人気を誇るHONDA
ついに新型「N-BOX」が登場した。軽自動車市場で圧倒的な強さを誇ってきたN-BOXのさらなる進化に期待しているユーザーは少なくないだろう。
そんなN-BOXには、他社とは大きく違うホンダならではの設計思想があるが、一方で、ホンダの乗用車ラインアップを見ると「フリード」や「ステップワゴン」など小型・中型ミニバンが主体で、そこに「ヴェゼル」と「ZR-V」がいて、さらに「フィット」や「シビック」がいる。
ただし、1980年代や1990年代と比べると、ホンダのラインアップは”少しおとなしい”イメージを持つ人が多いかもしれない。現状ではN-BOXに大きく頼っている印象が否めない。今後、2040年のホンダ全モデルEV化(FCEVを含む)に向けて、ワクワクするクルマがホンダから続々登場することを期待したいところだ。

一方、ホンダの主戦場であるアメリカに目を向けると、相変わらずホンダ、そしてアキュラの販売は好調だ。背景にあるのは、やはりアメリカ人のホンダブランドに対するロイヤリティ(忠誠心)の高さであろう。
時代を振り返れば、アメリカでホンダが注目されたのは、1970年代の排気ガス規制のなかで発売された初代「シビック」が最初だ。1960年代までの、大排気量型のアメ車たちが一気に姿を消したあの時代、初代シビックはエポックメイキングだったといえよう。

そうした先進性というイメージを基盤として、ホンダはアメリカンライフにおけるホンダ車のあり方をアメリカ現地でしっかり調査し、そしてクルマを作り込んでいった。
次世代に向けた新たなブランド価値の創造が必須
1980年代から1990年代にかけて、ホンダ以外の日系メーカーもアメリカでの現地生産を行い、商品(または製品)企画・開発の現地化を進めていったのだが、ホンダのアメリカ市場に対する真剣度は他社を上まわったという印象がある。

日本国内では、トヨタ・日産という二大巨頭がいる状態で、四輪事業で後発のホンダはアメリカ市場に自社の将来を賭けたと言える。商品のみならず、全米の販売会社との連携も強化し、新たに自動車事業に参入する若い経営者たちにも自動車販売のノウハウをしっかりと伝えていった。
こうしたアメリカでの地道な歩みによって、アメリカでのホンダは、商品に対する先進性・デザイン性・安心感がブランド価値となり、さらに販売店での丁寧な対応がうまく同期した。
また、2000年代以降のアメリカ市場でのSUVシフトについても、アキュラブランドを含めてトライを行って、競合がひしめくなかでシェアを確保している状況だ。

だたし、いまのアメリカ市場は、「テスラシフト」が起こっており、単なるEVシフトではない新しい商品価値の創造を、ホンダとして深く考えなければならない状況にある。
アメリカ、そして日本でのホンダのこれからの動向に注目していきたい。