この記事をまとめると
■マツダのコンセプトカー「アイコニックSP」が発表された■エクステリアは伝統的でありながら、新しさも兼ね備える
■「アイコニックSP」のデザインの魅力に迫る
目で追ってしまうほど美しいデザイン
「フューチャー」なら「べつにクルマじゃなくてもOK」というほどに、定石やお約束のないところから各社が工夫を凝らした、そんな感じのするジャパンモビリティショー2023。
そのなかでマツダが発表した「アイコニックSP」は、コンパクトスポーツカーコンセプトの正統派ぶりで、むしろ異彩を放っている。ではなぜ「アイコニックSP」が、誰も見たことがなかったはずなのに、古典としっかり韻を踏んだクラシカルさをもあわせもつ一台に見えるのか?
まず重要なファクターは、サイズだ。
既報のとおり、先頃発表されたMX-30のロータリーEVの延長にあるパワートレインで、出力は370馬力、重量は1450kgと発表されている。つまりパワーウェイトレシオは4kg/馬力を切る3.9kg。
しかも、コンパクトなロータリーをできるだけボディセンターに寄せることでフロントミッドシップ化しただけでなく、前後重量配分は50 :50で、重心位置がドライバーのヒップポイントに来るようにしたとか。ロータリーのコンパクトさを活かして、骨格ごと磨き上げてくるのは、もちろんマツダの十八番といえる。

結果、ノーズからボンネットにかけての低さ、伸びやかなFRプロポーションは端正にしてクラシック。デザイナー氏は「ご想像におまかせ」と口を濁したが、明らかにセンタートンネルのありそうな室内空間だった。
日本車離れしたディテールと繊細で美しい面処理で魅せる
重量的にもプロペラシャフトが組み込まれ、ロータリーは発電オンリーでなく駆動力も兼ねる、そんな仕様の登場もありうると見ていいのではないか。おそらく、シリーズ・パラレル式かつトランスアクスルのハイブリッドという訳だ。

ほかにデザイン・エレメントで際立つのは、フロントまわりでは極小リッドながらリトラクタブルのライトに、峰の立ったフロントフェンダー。そして側面では、サイドが深くえぐられたコークボトルラインに注目。

そしてリヤまわりは、まるでザガートのようなコーダトロンカ(スパっと切り落とすこと)によるテール面に、キュッと上がった小尻気味の処理まで、かなり日本車離れしている。

ちなみにもうひとつの見どころは、ドアオープン。アストンマーティンあたりがよくやる、斜め上方に開くドアだが、ドア後端のエッジラインがウインドウ・ガラスと滑らかに一筆書きで繋がっている。
カタチ自体はFD(RX-7)のドアに似ているようだけど、サッシュレスであることに注目して欲しい。RFロードスターもそうだけど、これってユーノス・コスモにも遡れるポイントなのだ。

そしてリヤウインドウが、両端を巻き込んだ曲面ガラスであることは、コスモ・スポーツ以来のマツダの伝統的ディティールでもある。
それにしてもボディパネルの面処理が、精細かつキレイな繋がりで連続している様は、マツダ3のCピラー辺りでは実現されていたけど、ボディ全体でそうなっている点は、やはり新しい。ちょっと足を止めて眺めて、損はしないはずだ。それこそ単純に、目で追ってしまうほど美しいクルマであることが、デザインの目的のひとつなのだから!