この記事をまとめると
■いま職業の選択肢としてトラックドライバーを視野に入れる女性が増えている■「トラガール促進プロジェクト」について解説
■女性ドライバーをトラック業界に呼び込むための取り組みだ
トラック業界で活躍する女性に働きやすい環境を
「男の世界」と見られがちなトラック業界だが、近年、この業界にチャレンジする女性ドライバーが増えている。全日本トラック協会の統計によると、令和元年を境におよそ2万人から3万人に増加。
また一方、大型免許を保有する女性の数(2022年 警察庁発表)はおよそ14万4000人、中型免許になるとおよそ281万人におよぶ。それだけ多くの女性が大型ないし中型の免許を取得しているということは、職業の選択肢として「トラックドライバー」を視野に入れている女性が多いということ。
そんな潜在的女性ドライバーをトラック業界に呼び込むため、より働きやすい環境を整えるために、2014年9月から国土交通省を中心に進められているのが「トラガール促進プロジェクト」だ。
本プロジェクトは、元気に活躍する女性トラックドライバー「トラガール」を社会に広く発信することで、ドライバーを目指す女性の道しるべとなるとともに、経営者や荷主に新しい視点を提供し、業界のイメージ改革を図るための取り組み。これまで、女性というだけで採用を見送られたり、事務所や納品先に女性トイレが設けられていないなど、他業種に比べても女性の進出が遅れていたトラック運送業界だが、近年では細やかな気配りや高いコミュニケーション能力、丁寧な運転など女性ならではの能力が業界内でも注目を集めている。
国交省ではそんなトラガールの魅力やメリットを、WEBサイトを通じてこの仕事を目指す女性や採用を検討する企業の双方に向け情報を発信。さらに女性雇用などに関わる助成金、奨励金などの各種支援制度や女性ドライバーの採用から育成などのガイドラインを整備するなど、行政面でのバックアップも進めている。
また、女性ドライバーや配車や事務に携わる女性職員、そして運送会社の経営者など、実際に物流の現場で活躍しているトラガールたちが集まる「トラガール女子交流会」もこのプロジェクトが始まってから定期的に開催されている。
雇用の現状や会社や積み下ろし先でのトイレの問題、職場内でのセクハラ・パワハラ、後輩ドライバーの教育など、仕事を通じて気になった問題を提起し、トラガールの目線から意見を交換。そこで集約された意見を国土交通省に出向いて提出。女性が働きやすい環境を作るために役立てられている。
この交流会のメンバーのなかには、この活動を経て自ら運送会社を起業したトラガール社長も存在する。
「トラガール促進プロジェクト」がスタートしてからはや9年。女性ドライバーが増えたり、道の駅に女性用のシャワールームができたりソフト面でもハード面でも彼女たちの仕事の場が改善されているという。トラックドライバーの人手不足や高齢化が問題視されている昨今。トラガールたちのさらなる活躍に期待したい。

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