この記事をまとめると
■レースとはまったく異なるラリー競技ならではの魅力と楽しみ方を解説■ラリーではドライバーの本気のタイムアタックを満喫することができる
■スタジアム、SS、リエゾン、サービスパークそれぞれの楽しみ方がある
ラリーにはラリーならではの楽しみ方がある
WRC第13戦「フォーラムエイト・ラリージャパン」が11月16~19日、愛知県・岐阜県で開催。既報のとおり、エルフィン・エバンス選手がシーズン3勝目を獲得したほか、セバスチャン・オジエ選手が2位、カッレ・ロバンペラ選手が3位につけるなど、トヨタGAZOOレーシングWRTが表彰台を独占した。
さらに、SS2でクラッシュを喫し、大きく出遅れた日本人ドライバーの勝田貴元選手も、計9回のSSベストを奪取する猛追で5位入賞を果たすなど、トヨタ勢の躍進が目立つ大会となったのだが、果たして日本のファンはどのように年に一度の祭典を楽しんでいたのだろうか?
まず、ラリー観戦の王道的な楽しみ方といえば、やはりSS(スペシャルステージ)での観戦が挙げられる。
しかも、普段は生活道路として使用されている公道が舞台となっていることから、身近なワイディングを異次元のスピードで駆け抜ける競技車両は迫力満点である。各ドライバーやマシンでアプローチの仕方も異なっていることから、定点での観戦ではドライビングスタイルの違いもチェックすることができることだろう。

残念ながらラリージャパンの林道SSは、アクセスや駐車場の関係により、観戦人数のキャパシティが決められていた。スペシャルステージでの観戦ができなかったギャラリーも多かったと聞くが、それでも林道で観戦できたギャラリーは、ラリー競技特有の臨場感を満喫できたに違いない。
もちろん、現地での観戦は待ち時間が長く、ラリーウィークは天候が不安定だったものの、00カー、0カーとオフィシャルカーを経て競技車両が出走してくることから、その高揚感は高く、多くのファンがWRCを楽しめたのではないだろうか?

加えて2023年の大会では、豊田スタジアム内にデュアルスタート形式のスーパーSSを新設。ここでは着順で2台の優劣を見てとれるほか、全体を見渡せるので、ゲーム感覚でラリーを観戦できたはずだ。

事実、多くのギャラリーが豊田スタジアムSSSを訪れ、エンターテイメント性の高いバトルを満喫していた。
ラリーの見どころは本気アタックだけじゃない
また、SS以外でもラリー競技は観戦可能で、なかでもリエゾンと呼ばれる移動区間はおすすめのポイントといえる。リエゾンでは交通ルールに合わせて制限速度で走行していることから、迫力ある走りを見ることはできないが、各チームの最新ラリーカーを至近距離で観戦できるところが最大の魅力。
しかも、駅前の市街地や紅葉の美しい幹線道路、お寺や神社などのシンボリックな建物の前などラリールートに合わせて好みのシチュエーションで観戦可能である。なかでもラリージャパンの名物リエゾンとなっているのが岐阜県恵那市の岩村町本通りで、日本の伝統的街並みを各ワークスチームのRally1ハイブリッドが通過していくシーンはなかなか風情のある光景で、2023年の大会でも多くのギャラリーが訪れていた。

もちろん、サービスパークでは各チームのメカニックの神業技術を満喫可能で、この緊張感のある作業シーンもラリー観戦のポイントと言っていい。事実、2023年の大会でも17日のデイ2のサービスBで語り継がれる名シーンが誕生。SS2でクラッシュを演じた勝田貴元選手のGRヤリスRally1ハイブリッドをトヨタGAZOOレーシングWRTのメカニックたちが修復に挑み、わずか40分という限られた時間ながら、完璧なリペアを行い、勝田選手をセカンドループへ送り出したのである。

作業終了後、メカニックたちのこの神業に多くのファンが拍手を贈っていたが、こういったメカニックたちのサービス作業もラリー競技のひとつの見どころとなっている。
そのほか、近年、WRCではライブ放送が充実しているので、現地に行けない場合は、公式映像やスポーツ専門チャンネルで観戦するのも、ひとつの手段。
とはいえ、競技車両のサウンドや臨場感を楽しみたいファンはやはり現地での観戦が一番だ。ここで紹介したように、サーキットで行われるレース競技と違ってラリー競技はSS、リエゾン、サービスパークと観戦ポイントが多岐に渡るだけに、2024年のラリージャパンでは、観光やドライブを兼ねて好みのスタイルで観戦してみてはいかがだろうか?