この記事をまとめると
■最近の都心部の駅前ではマイクロバス仕様の白ナンバー車やわナンバー車が目立っている■白バスの利用者は多数のインバウンド客でドライバーも外国人であることが多い
■専用アプリで決済して金銭の受け渡しをその場でしない「闇ライドシェア」が増加している
白タクならぬ白バスが大量発生中!?
とある日の午前8時ごろ、新宿駅西口にある路線バスのターミナルにいると、ある集団に気がついた。バスターミナルに近く、かつてスバルビルのあった前あたりの路上に多数のトヨタ・ハイエース・コミューター(マイクロバス仕様)が並び、その近くの歩道には多数のインバウンド(訪日外国人旅行客)らしき人たちで溢れ、かなりザワザワしていた。
気になって近寄ると、筆者が見たときには緑ナンバー(緑地に白文字のナンバープレート/旅客輸送事業車両ナンバー)の車両は1台だけで、あとは白ナンバー(白地に緑文字/自家用車ナンバー)や「わナンバー」(レンタカー)ばかりであった。
ドライバーらしき男性はいずれも、話している言葉や見た目からどう見ても日本人ではなく、どうやら某隣国の人たちのようであった。集まっているインバウンドも同じ言語を話す人が圧倒的に多く、そのほかのアジア系の人も目立っていたのだが、なかには欧米系と見受けられる人などもいた。
そう、この光景からしてどう見ても大規模な「白バス(正規の許可を受けていない違法なバス営業)」の集合場所となっているようなのだ。どのように車両に振り分けているのかは定かではないが、早々に車内に乗りこむグループもあれば、いつまでも路上に立ち尽くすグループもおり、様子はバラバラ。そうこうしているうちに、団体旅行客にありがちな先頭で旗を持つ、添乗員らしき人に引き連れられた団体御一行さままで現れた。

朝の8時といえば通勤時間帯。路線バスも頻繁にバス停から発車しているから、ターミナルから出てくる路線バスには迷惑そうに見える、二重駐車もお構いなしの様子はまさにカオス状態といっていい状況になっていた。
違法行為だったとしてもそう簡単に検挙できない
「観光ツアーを催行しているというよりは、方面別に乗客を募って白バスを運行しているのではないか?」とは事情通の話。ただ、この光景が本当に白バス営業だとしても、これを取り締まるのは容易ではないとのこと。「まず摘発には、明確な現金の授受を行った現場を押さえる必要があります。しかし、白バス業者がライドシェアアプリのようなものを作り、ウェブ上で募集し、アプリを使ってキャッシュレスで料金決済しているケースが実状です。そのため、現場で料金授受が確認できないので、“友人や家族を乗せている”とか、“無料ボランティア”などと言い訳されると摘発できないそうです」とは前出事情通。
成田空港から東京都心の宿泊先や観光地までインバウンドを運ぶ白バス業者もいるとのことだが、このグループとは異なるグループが新宿駅西口で行っているのではないかと事情通は語ってくれた。取り締まりを強行しようとすると「大使館に電話して外交問題にしてやる!」などとすごまれることも過去にはあったようなので、かなり手を焼いている様子。

すでに、「闇ライドシェア(クルマで移動したい人と、乗用車でそれを請け負う人とをマッチングさせるサービス/日本では現状原則違法)」なども横行しているとの情報もある。
日本ではあらゆる業種で働き手不足が深刻となっており、それはバスやタクシー乗務員でも同じ。正規のバス事業者やタクシー事業者が働き手不足でなかなかインバウンドに向けての手厚いサービスができないなか、その隙間を突くようにいわゆる「闇業者」が入り込み暴利をむさぼっているようなのである。

さらにいえば、このような違法営業が横行すれば、さまざまなトラブルも増えていくことになり(事故発生時の対応など)、ただでさえ働き手不足などにより「おもてなし日本」が崩壊しつつあるなか、日本のイメージのさらなる低下を招きかねない。ある意味グレーゾーンのようなものが拡大しているのならば、非常に残念なことであるし、早急な法整備というものが必要ではないだろうか。
今回目撃したのが白バス行為ならば、必要悪として見逃されているようにも見えるほど、じつに堂々としていた姿を見て不安は募るばかりである。