この記事をまとめると
■多くの荷物を運ぶトラックはドライバーも過酷な環境にさらされる■荷役作業はドライバーに大きな負荷がかかる
■「ジョルダーレール」は荷役作業の際に役立つ道具として広く普及している
荷室の床に「ジョルダーレール」を設ける車両も増えている
“手積み手降ろし”というハードワークから解放されつつある、現代のトラックドライバーたち。荷役時間やドライバーの肉体的負担を軽減させるパレット輸送が定着してきたことで、昭和の時代と比較すれば大きく改善されてきた。その背景には、荷台の側面が開閉する平ボディと荷物が雨に濡れる心配がない箱車のいい部分を取り入れて開発された、ウイングボディの存在が大きい。
しかし、冷凍車の世界ではまだまだ手積み手降ろしという現場が多い。その理由はいろいろあるが、代表的なものが冷蔵庫には専用のパレットが存在するというもの。限られたスペースのなかにたくさんの荷物を保管するために、パレットを重ねることができる鉄製の枠組みを取り付けるケースが多いのだ。そのため、一般的に流通している平面のパレットでは荷物を受け取ってもらえず、出荷の際もパレットを出してはくれない。そのため、ドライバーは手作業を強いられるのである。
そもそも、冷凍車は車体後部の扉から荷物の積み降ろしをする。そのため、パレットごと積むことは不可能だと思われてしまうかもしれない。しかし、じつのところはそうでもない。パレットを動かすことができるハンドリフトやパレットローラーと呼ばれるものを使用するケースも見受けられるが、荷室の床に「ジョルダーレール」という溝を掘る車両が多くなってきている。
使用時は細心の注意を払う必要がある
ジョルダーレールとは、パレットを動かすことができるジョルダー(ジョロダーともいう)という装置を使うための溝。ジョルダーの底面には車輪が装着されているため、レールのなかを自在に転がすことができる。そんなジョルダーに専用のバーを差し込んで先端部分を下方向に倒すと、パレットを浮かせることができるのだ。
そんな便利なジョルダーだが、簡単に扱えるものではない。バーの角度を調整しながらスムースに、かつパレットに積まれた荷物が荷室内の壁に接触しないよう、細心の注意を払わなければならないのだ。重たいパレットを降ろす時にはジョルダーを強く引かなければならないが、きちんとロックされていない状態であればジョルダーからバーが抜けてしまい、そのままドライバーが背中から地面に転落してしまうこともある。

逆に積み込むときには手のひらで荷物を押すと破損してしまう恐れがあるため、背中全体で荷物を傷めないようにゆっくり押していくなど、さまざまな注意点が存在する。専用の道具があればどうにでもなるというわけではなく、当然のごとくそれを使いこなす技術が重要になるわけだ。
ともあれ、手作業による荷役作業がドライバーの負担になっていることは間違いない。疲れからくる凄惨なるトラック事故を減らすためにも、労働環境が少しでも改善されてゆくことを願うばかりである。