この記事をまとめると
■インドネシアには「自動車」に特化したショッピングモールも存在する■自動車ショッピングモールではカー用品や中古車展示場などがフロアごとに設けられている
■中古車展示場で圧倒的な人気を誇っているのが日本車だった
インドネシアの自動車特化型ショッピングモール
インドネシアの首都ジャカルタとその近郊にはさまざまな「ショッピングモール」が存在する。スーパーマーケットを中心に庶民的なテナントが多く集まるところもあれば、高級ブランド店が多く入るハイグレードなショッピングモールもある。郊外の新興開発地域には、日系資本による「日本のショッピングモール」を再現したものまでもある。
1年中が日本の夏のような陽気のインドネシアでは、冷房の利いた大型ショッピングモールは多くの人を呼び寄せるようである。
そして、「自動車」に特化したショッピングモールも存在する。IIMS(インドネシア国際モーターショー)の会場にもなる、「JI EXPO」とも呼ばれる「ジャカルタ国際エキスポ」に近いところにある、「MGKブラスト」がそれである。
見た目は普通のショッピングモールにも見えるのだが、フロアごとにカー用品、ウインドウフィルムやオーディオ、電飾などの販売と取り付け、そして中古車展示場が設けられている。一般的なショッピングモールのように立体駐車場が設けられており、取り付けを希望する人は、駐車場から直接希望する業者の店舗脇にクルマを乗り付けることができ、中古車展示場では駐車場から直接展示車両をフロアにもち込んでいた。
東南アジアでは「華僑」の影響もあるのか、中国同様に同業者が集まって出店する「交易市場」といわれるものが存在することが多い。MGKブラストもある意味は自動車に関する交易市場と呼んでいいのかもしれない。
新車だけでなく中古車でも日本車が圧倒的な人気を誇る
中古車展示場は車両を吟味することにもなるので、明るい照明に冷房がよく利いていた。広いスペースには小規模の中古車販売業者が軒を連ねる感じで各々の車両を展示していた。日本のように個々の車両に「プライスボード」が掲げられることは少なく、気に入ったクルマがあると、そこの店舗スタッフに価格などの問い合わせをすることになる。
まれにプライスボードを掲げている店もあるが、車両価格ではなくローンでの購入が原則となるので、月々の支払額が掲示されていた。
ドイツ車専門や、クロカン専門といった店もあるが、一般的な店舗ではインドネシア国内における新車販売シェア9割超を誇る日本車が圧倒的に多く展示されていた。
「展示場を見渡すと、韓国車や中国車も見かけることができます。思ったほどではありませんが、日本車よりは値落ちスピードは速いようですね」(事情通)。
じつはこのMGKブラストには2024年2月にも訪れている。そのときと今回(2024年7月)を比較すると、展示車両のなかで中国ウーリン(上海通用五菱汽車)のマイクロBEVとなる、「エアEV」が目立っていた。結構な店舗で展示されており、なかには複数台展示しているところもあった。エアEVがインドネシア国内でデビューしたのは2022年のこと。短期間で乗り換える傾向が目立つとはいえ、中古車での流通の様子を見ていると、その出まわり方のペースは速いように見える。
「エアEVは登場後大ヒットしたのですが、いまでは勢いがなくなり販売台数の落ち込みが目立っています。一過性のブームだったことは中古車が目立つことからも明らかのようです」(事情通)。
エアEVに限らず、中国車の中古車が目立っているのも、物珍しさから手を出してみたものの、早々に日本車へ回帰しているのかもしれない。タイでも同じような話を聞いたが、中国車は日本車のように「リピーター」をどこまで囲い込むことができるのかが、積極的に市場進出したあとの課題になっているようである。

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