この記事をまとめると
■F1やインディカーやGTマシンの最高速度を紹介



■モータースポーツではWECやインディカーの最高速度が高い傾向にある



■世界一の速さを誇る市販車は500km/h以上の速度が出る



モータースポーツ車両の最高速はカテゴリーによって違う

「地上最速」、やっぱりクルマ好きにとってこの言葉には特別なロマンがある。とはいえ世のなか、速いといわれるクルマはいくつもある。では、シンプルに最高速度が速いクルマはどれなのか、いろいろ比較してみよう。



まずは誰もが認める最速カテゴリーで戦うF1マシン。



F1グランプリで最高速が高いサーキットというと、イタリアのモンツァが有名だが、アゼルバイジャンGPの舞台、バグー市街地コースも約2.19kmのロングストレートを誇り、第16コーナーから2.22kmはエンジン全開区間!



一番速いクルマってなんだ? F1でもWECマシンでもスーパー...の画像はこちら >>



このコースで、2016年、バルテリ・ボッタスがウィリアムズFW38で記録した378km/hがF1マシンの最高速度となっている(当時はヨーロッパGP)。



「あれ、思ったほど速くない?」、と思ったかもしれないが、特殊な例だと2005年の11月に最高速アタックの聖地、アメリカのボンネビルでBARホンダが特別仕様のBAR007でマークした413.205km/hという記録もある。



一番速いクルマってなんだ? F1でもWECマシンでもスーパーGTマシンでもなく市販車のほうが上だった!
BARホンダのF1マシンのリヤまわり



これは極限までドラッグを減らした、このアタック(ボンネビル400というプロジェクト)のために作られたスペシャルウイング(前後)で、挑んだときのレコード。エンジンは、自然吸気3リッターV10のホンダRA005E(900馬力以上)を搭載していた。



ちなみにレース中の平均速度の最速記録は、前述のモンツァでルイス・ハミルトンがメルセデスW11で達成した264.362km/h(2020年イタリアGP)だった。



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2020年のF1イタリアGPのレース中の様子



続いてWECを戦うCカーやハイパーカーの記録。



ル・マン24時間レースで知られるフランスのサルト・サーキットには、約6kmのロングストレート=ユノディエールがあり、1988年、WMプジョー P88(グループC)がそこで405km/hを記録している。その2年後、ユノディエールに2カ所のシケインが設けられたため、この記録はいまだに破られていない。



グループCやWECのハイパーカーは、クローズドボディなので、F1マシンのようなオープンホイールのマシンより空気抵抗が少なく、空力的には有利だ。



現在のコースになってからの最高速は、小林可夢偉がトヨタのTS050 HYBRIDで記録した334.9km/h(2017年)。このときは3分14秒791のコースレコードも樹立している。



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2017年のル・マン24時間レースに参戦したトヨタTS050 HYBRID



もっとも速い市販車はアメリカ製のスーパーカー

そして、最高速といえばインディカー。オーバーコースを主体にしているインディカーの最高速度は380km/hといわれている。エンジンはホンダとシボレー(イルモア製)の2社が作っており、2.2リッターV6ツインターボ(およそ700馬力)。



燃料は2023年から100%再生可能な燃料となっていて、サトウキビ廃棄物から作られるエタノールと、そのほかのバイオ燃料を混合した第2エタノールを使用。



インディ500が開催されるインディアナポリス・モーター・スピードウェイでの1周の平均速度は、予選で約362km/h、決勝で約354km/hに達するといわれている。



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インディ500のレース中の走行写真



では、国内ツーリングカーレースの頂点、スーパーGTの最高速度も見てみよう。



2024年の3月に富士スピードウェイで行われた公式テストのデータによると、最高速度は294.278km/h。



記録したのはニッサンのフェアレディZ(MARELLI IMPUL Z)とホンダのシビックタイプR(ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16、STANLEY CIVIC TYPE R-G)。数字を見ればわかると思うが、スーパーGTの車両は、じつはわずかに300km/hに届いていない。



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2024年シーズンのテストで最高速を記録したニッサンのフェアレディZ(MARELLI IMPUL Z)



現在のGT500のマシンのエンジンパワーは550馬力以上ある。ただし、2024年からは、最高速度とコーナリングスピードの抑制策を実施し、GT500は最低地上高を規制しているスキッドブロックが厚くなり、最低地上高が5mm上がっている。



なのでそれ以前は、300km/hを超えていたこともあった。



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富士スピードウェイでレース中のGT500マシン



そして世界一の直線番長といえるのが、アメリカのSSCトゥアタラの532km/h。トゥアタラはSSC(シェルビースーパーカーズ)が販売している公道を走れる市販車(約190万ドル)。



エンジンは独自に開発した6.9リッターV型8気筒ツインターボで、1750馬力を発生。車名のトゥアタラとは、ニュージーランドに生息するムカシトカゲの現地での呼称だ。



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SSCトゥアタラのフロントまわり



ちなみにEVでは2024年日本の大阪市に本社があるアスパークが開発した電動ハイパーカー「アウル SP600」が438.7km/hを記録して、ギネスブックに認定されている。



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ギネスブックに登録されたアスパークの電動ハイパーカー「アウル SP600」の走行写真

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