この記事をまとめると
■速度無制限で無料の高速道路として知られるアウトバーンだが夜はかなり空いている■夜のアウトバーンでは200km/h以上の速度で走行しているクルマも多い
■欧州で速度制限のない高速道路があるのはドイツだけだが他国に比べて高速道路での死亡事故は少ない
夜のアウトバーンは気もちよく走れる
ドイツへ訪れたことのない日本人からしたら、アウトバーン=全域が速度無制限! と思っている人がいまも多くおられるのが現状なのだが、とくに都市部近郊では混雑状況によって制限速度が変化するので気をつけなければならない。
とはいっても、夜7時半ごろから午前7時まではかなり空いている場合があり、気もちよく自分のペースで踏み込めるのだ。しかも夏時間中には夜の9時半ごろまでは明るいので夜間でも快適なドライブが楽しめる。
速度制限解除区間だからといって、誰もが200km/h以上を出す必要はなく、ドイツの推奨速度は130km/hというのを忘れてはいけない。ただし、場合によっては130km/hも非常に流れを止める「トロい」運転で逆に後続車から追突されるキケンもあるので、速度制限解除の区間でゆっくり走りたい場合は一番右の走行車線をキープすべきだろう。
また、トラックや遅いクルマを追い越す際には、必ずミラーで後続車の確認を何度もし、入る車線の車両との距離間隔を掴むべきである。これはとくに車両間の速度差が激しいドイツのアウトバーンだけに、のんびりテンポで後続車両の速度をチェックせずに車線変更をすると、とんでもなくキケンな状況が多々あり、実際に事故も起きている。

非常に空いている深夜の時間帯にアウトバーンを運転する機会の多い私は、基本的に一番右側の走行車線を走行することを心がけているのだが、私が大体180~190km/h、中央車線が200~240km/h前後、左の追い越し車線ではさらに速い速度で一瞬で走り去っていくクルマもあるので、もはや車種さえわからないという状況にも遭遇する場合もあるが、あまり恐怖は感じない。
だが、その流れのスピードのなかで推奨速度の130km/h前後で中央車線をのんびり走っていると、どれだけキケンな状況かはご理解頂けるだろう。かなり遠くからハイビームを出して、近づく事を知らせているクルマもあるが、そのようなマイペースのドライバーには何をやってもほとんど効果がないのが残念なところだ。かなり眩しいLEDライトで何度もハイビームで照らされてもそのまま中央車線をのんびり走り続けられる神経は、ある意味ハイスピードのドライバーよりも強いのかも知れない。
進路変更に気をつけて無茶をしない走行を心がけよう
すべてではないが、深夜帯にそこそこスピードを出すドライバーは運転がスマートでスムース、追い越したら走行車線へ戻り、後続のクルマの大半がそれにしっかりと後に続く形になっているので、非常に運転がしやすいと感じている。路面コンディションは非常によく、凸凹はほとんどないので快適にスピード走行ができるのもアウトバーンの魅力のひとつだろう。

ただし、街灯はもほとんどなく、真っ暗闇のなかでは非常に視界が狭いので、アダプティブヘッドライトには非常に助けられている。LEDやレーザーライトの車両が遠く後方からも明るく照らしてくれるのはありがたいのだが、バックミラーに直射して眩し過ぎたり、合流の際には後続車の非常に明るいライトのせいで距離感が掴みにくいのは少々難点かも知れない。
都市部近郊や事故多発区間以外のアウトバーンのジャンクションの合流であっても、速度制限解除となっている所が多いので、合流する際にはスムースに入れるように的確なスピードに上げる必要となるので、とくに夜間の合流の速度感には気を付けたいものだ。
一方で、アウトバーンでは工事区間も非常に多く、40~80km/hに制限がされているのだが、かなり車幅が狭い上、2車線の区間では40トンのトラックがスレスレという場所も多いので、なかなかトラックを抜けずに渋滞をさらに悪化させるドライバーも多い。

大きめの車両を運転する際や自信がないドライバーは無理せずトラックの後ろに着いて走るのが賢明だろう。工事現場の追い越し車線の車幅制限は2mや2.2mの箇所が多いのだが、最近流行りの巨大SUVやメルセデス・ベンツのVクラスのような大型バンが無理やりに狭い道路に大型トラックと並んで事故になるケースも起きている。
「アウトバーン有料化」「速度制限130km/h」案は毎年のように議会の話題に上がっているがいまのところ可決される気配はないので、環境団体や議員以外はとくに気に留めている人はさほど多くないのではないかと感じている。ヨーロッパで速度制限がないのはドイツだけだが、近隣国の速度制限がある国々のほうが高速道路での死亡事故は多く起きているのが現状であるのも現状は否決となっている一要素なのかも知れない。
速度制限がないと、案外そんなにぶっ飛ばしている人はいないものだ。逆に速度制限があるほうが無茶をしたくなるのではないだろうか。