この記事をまとめると
■大阪オートメッセ2025が最終日を迎えた■日産京都自動車大学校のブースについて解説
■レーシングカー「Natck-F E14」をサプライズ展示している
ブースで「Natck-F E14」について聞いた!
2025年2月7日(金)から9日(日)までインテックス大阪で開催されている、西日本最大級のカスタムカーの祭典「第28回大阪オートメッセ2025」。
6B号館にブースを構える日産京都自動車大学校は、1月の東京オートサロンには日産愛知自動車大学校と共同で参加していたが、今回の大阪オートメッセには単独で出展。
自動車整備・カスタマイズ科の4年生が6カ月かけて制作した、11代目V35型スカイラインクーペをベースに、「ケンメリ」こと4代目C110型スカイラインを現代的に解釈した独自のスタイルを作り上げた「NEO SKYLINE」(ネオスカイライン)と、2代目M35型ステージアをベースに「家族で乗れるRZ34型現行フェアレディZ」を実現したスポーツワゴン「Z Lealia」(ゼットリーリア)の2台を、東京オートサロンに続いて出品している。
そして、2024年9月に開催された「第22回学生フォーミュラ日本大会2024」にEV部門で参戦したレーシングカー「Natck-F E14」を、今回初めてサプライズ展示した!
Natck-F=日産京都自動車大学校フォーミュラチームは、国家一級自動車整備士の取得を目指す、同校の一級自動車工学科に所属する学生で構成されており、卒業制作の一環として学生フォーミュラ用のマシンを制作し参戦するレーシングチーム。
2018年の第16回大会よりEV部門で参戦しており、「Natck-F E14」には日産自動車から提供を受けた、初代リーフ用EM57型モーターをデチューンしたものをミッドに搭載。最高出力はレギュレーションにより80kW(109馬力)に制限されているが、最大トルクは254Nmと、学生フォーミュラの軽量コンパクトなシャシーには充分すぎるほどだ。

同チームを率いる遠藤博之(えんどうひろゆき)先生と、「Natck-F E14」のフレーム設計を担当した棚邉諒(たなべりょう)さんも、「大きく重いという点ではむしろ足かせになっている」と異口同音に語っている。
「そのために、ほかのEV部門参戦チームと比べてもホイールベースを長く取らなければならず、とくにスキッドパッド(8の字旋回)の動的審査では不利になっている」(棚邉さん)ようだ。
「Natck-F E14」はチームの血と汗と涙の結晶
駆動用バッテリーは中国製のものを別途調達しているが、「当たり外れが大きく、状態のいいものを選別する必要がある」(遠藤先生)。また、重量増を避けるため、過度にサイズの大きいバッテリーを搭載することはできず、しかしそうすると高い負荷で走行すればすぐに充電が切れてしまう。「エンデュランス(耐久性)・効率」の動的審査では、最終ラップにのみ全開で走るなどの対策が必要」だという。
だが、それ以上に大変なのが、多くの学生フォーミュラ参戦チームにとって鬼門とされている、車検をクリアすることだ。
学生フォーミュラでは、各大学・自動車大学校がレーシングカー開発ベンチャー企業という想定のもと、安全性や信頼性、耐久性を含めた車両の走行性能はもちろん、 販売戦略、コスト管理、デザインを含めた開発能力が、市販車の企画・開発さながらに求められる。とくにEV部門では、電動パワートレイン専門の「電気車検」があり、漏電対策など安全性に関連するレギュレーションが非常に厳しい。

しかも、日産京都自動車大学校の場合、「自動車整備士を養成する学校のため、カリキュラムが政府より指定されており、また整備士資格を取得することが優先されます。
そのため、2022年までは車検をクリアすることができず、また2023年大会では車検こそクリアしたものの高電圧回路のシャットダウンが頻発。動的審査でほとんど走行できなかったという。

しかし2024年大会では、「チーム史上初のエンデュランス完走」を目標として、電動パワートレインの信頼性向上や軽量化を主眼にマシンを開発。見事に動的審査への出走を果たし、最後の「エンデュランス・効率」への出走まで進んだものの、ステアリング系のトラブルで黒旗中断。だが総合42位という結果を残している。
そんな、日産京都自動車大学校フォーミュラチームの血と汗と涙の結晶である「Natck-F E14」も、同校ブースで要注目の1台であることは間違いない。