ディーゼル車の排ガス装置の原価は上がる一方

ドイツ国内の都市では、市内へディーゼル車が乗り入れできない状況が生まれている。それは主に、古いディーゼル排ガス規制車両が対象であり、それならば最新のユーロ6にすればいいではないかと思うかもしれない。ところが、庶民の乗る古い小型ディーゼル車の場合、残価がほとんど価値を失い、元手資金が不足して新車に買い替えできない事態にもなっているのである。



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最新のユーロ6においても、実走行での排ガス浄化性能が求められるので、浄化装置のより高度な対応が必要になり、車両価格が高くなる傾向にある。現在、ディーゼル排ガス装置として尿素SCRと呼ばれる方式が当たり前のように装備されるが、フォルクスワーゲンの排ガス不正問題が起こるまで、尿素SCRを使うメーカーは限られていた。なぜなら、原価が高いからだ。



また、定期的に尿素水を補充する手間もかかる。しかしながら、NOx触媒など従来のほかの方式では排ガス浄化と加速性能の両立が十分でないことが、VW問題で明らかになった。そこで、原価が上がることを承知で尿素SCRを採用し、さらに急加速でのアンモニアを吸収する装置を追加するメーカーもある。ディーゼル排ガス装置の原価は上がる一方だ。



なぜディーゼルをやめるのか? いま欧州の自動車メーカーが電動化に走るワケ



世界中でEV化を促進することが最善策!

一方、リチウムイオンバッテリーの仕入れ価格がまだ高いといわれ、欧州の電動化は高価格帯の車種から進んでいる。したがってドイツの一般庶民は、乗り続けてきた古いディーゼル車で市内には入れないし、最新のディーゼル車や電動化の車両は高くて買えないと、困窮している実態がある。



欧米は、基本的に鉄道や地下鉄、バスなどの公共交通機関が都市部でもそれほど縦横無尽に整備されているわけではなく、そもそも地方都市は日本で考える以上に人口が少ないので、生活の移動をクルマに頼るしかない。それにもかかわらず、庶民の足への対策が十分に施されていない状況にある。



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ガソリンエンジンについても、効率向上のため燃焼室へ直接燃料を噴射する、いわゆる直噴が採用されている。

これはディーゼルエンジンと同じ燃料供給方法であるため、粒子状物質、すなわちPMと呼ばれる有害成分が排出される。したがって欧州では、ガソリンエンジン車に対しても直噴の場合にはGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)の装備がはじまっている。つまり、ガソリンにしてもディーゼルにしても、いっそうの排ガス浄化を実現し、同時に十分な加速性能を得るには、今後も排ガス浄化装置の充実が欠かせないのである。すなわち、それは価格の上昇につながる。



電動化すれば、そうした排ガスの後処理装置の必要は減る。有害物質の出やすい高負荷運転でモーターを利用すればいい。モード測定中の排ガス浄化への負担を軽くすることができるだろう。最善策は、電気自動車(EV)化だ。自動車メーカー各社は、リチウムイオンバッテリーの原価の高さを嘆くが、いっそのこと世界中でEV化を促進すれば、原価は下がるはずだ。その時期を前倒しする意思を持てば、庶民が買えるEVを一日も早く実現することができる。



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売れ筋だと、車体が大柄で重い、エンジン車のSUVの販売に各自動車メーカーとも力を注ぎ、消費者もそれを喜ぶ姿がある。だが、それらは環境悪化=異常気象という自分たちの首を絞めるばかりだ。

販売し、あるいは購入するなら、ジャガーI-PASEやメルセデス・ベンツEQCのようなEVに目を向けるべきである。それが、庶民に一日も早く手ごろな価格のEVを届ける道であるように思う。

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