クルマを思いどおりに走らせるために重要な調整項目!

クルマに詳しい人がこだわる数字に、アライメントというのがある。正確にはホイールアライメントといって、車体に対してタイヤ&ホイールが取り付けられる角度や位置関係を表わしており、クルマの直進性や操縦性と深くかかわっている部分だ。ホイールアライメントは、通常、トー、キャンバー、キャスターの3つの角度のことを指している。

3つの項目を、詳しく解説していこう。



1)トー

「トー」とはつま先のこと。クルマを真上から見たときに、進行方向に対して、タイヤの前端の角度が内側に向いていると「トーイン」。外側に開いていると「トーアウト」。進行方向とタイヤの角度がピッタリ同じ場合は、「トーゼロ」となる。

クルマ好きが口にするホイールアライメント! 「キャンバー」「...の画像はこちら >>



フロントは、トーイン気味だと直線性がよくなり、トーアウト気味だとハンドルを切ったときの初期反応がよくなったりする。リヤはトーインでスタビリティがよくなり、トーアウトだと旋回性が向上する。



2)キャンバー

「キャンバー」はクルマを正面から見たときのタイヤの角度のこと。 昔のグループAのレーシングカーや、シャコタンのドレスアップ車などのように、タイヤの上端が内側に傾いているのは「ネガティブキャンバー」。正面から見て、上端側が広い逆八の字の場合は、「ポジティブキャンバー」という。

クルマ好きが口にするホイールアライメント! 「キャンバー」「キャスター」「トー」って何?



レーシングカーでは、コーナリング中に車体がロールしている状態のときに、外輪が一番フラットに接地し、グリップ力を高めることを優先してネガティブキャンバーにする傾向がある。その反面、直進時にはタイヤの内側だけが接地するような形になり、直進安定性や制動力についてはマイナスで、タイヤの片減りの原因にもなる。

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3)キャスター

クルマを横から見たときの、前輪を支えるキングピン軸の傾き角度のことを「キャスター」という。自転車やオートバイのフロントフォークも、地面に対し垂直ではなく斜めに角度がついているはず。あの角度がキャスター角。

キャスター角が大きいほど直進性がよくなり、セルフアライニングトルク=ハンドルが直進状態に戻ろうとする力も強くなる。



オートバイの“チョッパー”のように、キャスターが寝ていると、直進性は抜群だが、ハンドルが重くなって、曲がりにくいクルマになる。

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メーカー設定の基準値にピタリと合わせるのは困難……

これら、3種類のホイールアライメントには、メーカーが設定した基準値がある。



たとえば、スカイラインGT-R(R32)の場合、



トーイン(mm)=フロント1±1 リヤ2±2
キャンバー(度)=フロント-0°55‘±45’ リヤ-1°05‘±30’
キャスター(度)=3度40‘±45’(フロントのみ)



というのが新車時の設定。アライメントは3つの要素がそれぞれ複雑に影響しあっているので、基準値どおりにピタリと合わせるのはかなり困難……。そこでメーカー側も「±45‘」といった具合に一定の幅を持たせて、このなかに収まれば、きちんと性能が発揮できるように設計している。



しかし、タイヤを強く縁石にぶつけてしまったり、脱輪させたり、サスペンションを交換して車高が変わったり、事故を起こしてしまったりすると、このホイールアライメントが狂ってしまう。これによりハンドルがぶれたり、真っ直ぐ走らなくなったり、ハンドルのセンターがずれたり、タイヤが偏摩耗したり、ブレーキで不安定になったり、燃費が悪くなったりする。

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こうした症状が出たときは、足まわりの専門店でアライメントを測定・調整してもらうことが必要。とくにタイヤが片減りしたり、ハンドルのセンターがずれてしまったようなクルマは、早急なチェックがオススメ。費用は1万5000円~2万円といったところが目安となる。



サーキットを走ったり、モータースポーツでタイムを追求する場合は、そのためのアライメントの数値があるので、そうした目的を絞ったセッティングを望む人は、タイムアタックのためのノウハウを持ったショップで相談してみよう。

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