車上荒らしを避けるためには抜いたほうがいい

 いまや高速道路を走るのにETCは不可欠といえる存在。もはや料金所で一旦停止してお金をやり取りするという行為を忘れてしまったというドライバーも多いのではないでしょうか。そんなETCですが、NEXCOやカード会社は、走行前に車載器に確実にETCカードを挿し込み、クルマを降りるときには抜き取ることを推奨しています。



 SAなどでの施設では、NEXCOの推奨によって『SA・PAなどでお車から離れるさいには、抜き取って携行することをお勧めします』といったポスターを見かけることも少なくありません。はたしてETCカードは乗り降りのたびに抜くべきなのでしょうか。



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 理想をいえば抜く方が安心です。いまどきのETC車載器はカードを挿したままエンジンを切ったり、ハイブリッドシステムを落としたりすると「カードが残っています」といったアナウンスをすることが多く、その注意喚起が逆にカードが挿しっぱなしであることを周囲に教えてしまうからです。車上荒らしを狙っている人物に、わざわざカードが残っていることを教えるのはナンセンスといえます。



 フロントウインドウやダッシュボード上にETC車載器を設置している場合は、のぞき込めばカードが挿さっているかどうか一目瞭然です。この場合も、カードを残していると車上荒らしを誘っている状態になってしまいます。一方で、グローブボックスやコンソールボックスの中に車載器をセットしているケースでは外からカードが挿さっているかどうか判別できません。車載器の設置場所でリスクは異なるといえます。



ETCの挿し忘れによるデメリットも大きい

 とはいえ、高速道路のSAやPAで他人のETCカードを盗んだからといって、そのカードを使って出口で高速代を支払うことはできません。ETCのシステムとして、入り口と出口の料金所で同一のETCカードを利用している必要があるからです。ですから、でき心でETCカードを盗んでも、すぐに利用できないのです。

さらにいえば、カードを止められてしまえば使用不可になります。クレジットカードであれば止められるまでの間に高額な買い物もできるかもしれませんが、現状のETCカードはほぼ有料道路通行料の支払いに特化していますから、一日で使える金額にも限界があります。盗まれたほうはいろいろと面倒ですが、盗んだほうにはさほどメリットがない犯罪といえます。



 前述のようにETCカードは入り口と出口で同じカードでなければいけません。複数のETCカードを持っているドライバーが、SAやPAで降りた際に抜き取り、あらためて乗り込んだときに間違えて異なるカードを挿してしまったり、まして挿し忘れてしまったりすると出口の料金所では開閉バーが開かないことになります。



高速道路のSA・PAで休憩するとき「ETCカード」は抜くべきか?



 現実的な問題としてサービスエリアで車上荒らしに会うより、出口で急停止する方のリスクが大きいといえるでしょう。追突されることもありますし、料金所で停止して処理にかかる時間は無駄といえます。



 理想をいえば乗り降りのたびにカードを抜いたり挿したりすべきですが、挿し忘れというヒューマンエラーと盗難にあう確率を考えると、挿しっぱなしのほうがマシという人もいるでしょう。そのあたり、どちらのリスクが大きいのか自己責任で考えて判断すべきでしょう。



 なお、ETCカードを正常に挿していても通信エラーが発生してバーが開かないことがあります。そうなった場合でも追突されないよう、しっかりとブレーキを踏んで後方のクルマに速度低下を促しながら料金所を通過することが基本です。無用なトラブルに巻き込まれないよう、リスクを減らすことを意識して運転することが重要です。

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