売れているからこそコストをかけてマイナーチェンジができる

年次改良、商品改良……呼び方はいろいろあるが、多くの量産車は1~2年に1回程度のペースでマイナーチェンジを繰り返している。なかでもバンパー形状をまるっきり変えてしまったり、パワーユニットを大幅に変更したりといった改良が施されたときは「ビッグマイナーチェンジ」と呼ぶことがある。



大きく変えるということは、初期のスタイリングやメカニズムの否定といった印象を受けることもある。

つまり「売れていないからビッグマイナーチェンジをしたんだ」と考えてしまう。たしかに、そうしたケースはあるだろう。



ただし、ビッグマイナーチェンジをできるということはそれだけコストがかかるわけで、企業としてお金をかける価値があると認めたモデルでしかできないことでもある。さらにいえばマイナーチェンジにしても、その開発には時間がかかる。商品計画としてマイナーチェンジにかける予算を確保できるのは、やはり売れているカテゴリーのモデルに限られる。



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最近でいえば2020年3月に欧州で発表されたメルセデス・ベンツEクラスのビッグマイナーチェンジは、まさしく売れているモデルだからこそできる大変身である。ほぼフルモデルチェンジにも思えるほどの変身ぶりだが、これによってフルモデルチェンジ相当の新車効果や商品力アップが認められるのであれば、メーカー的にはおいしい話だ。プラットフォームレベルから一新するよりは、ずっと開発コストを抑えることができるからだ。



一方で、小さなマーケットを狙っているようなクルマではビッグマイナーチェンジを果たすことが予算的に厳しい。こちらも具体例をあげると、2020年1月に発表されたホンダS660のマイナーチェンジはなにが変わったのかマニアでなければわからないほど。パッと見ではウインカーがフェンダーからドアミラー内蔵タイプに変わったこと、アルミホイールの意匠が変更されたことくらいで、イメージはそのままだ。



コスト削減に繋がることも! 自動車メーカーが「別グルマ」かのようなビッグマイナーチェンジを行う複雑な事情



最新の技術や装備を採用すると生産ラインの効率化につながる

そもそも論でいえば、メーカーとしてはマイナーチェンジをしないまま何年も安定して売れ続ける商品のほうが嬉しい。

しかし、ライバルメーカーの競合モデルが存在する限り、そうしたメーカーにとっておいしい状況にはならない。商品力を常に磨き続けなければ競争に打ち勝つどころか、市場での存在感を失うことにもなりかねない。



競争状態のマーケットにおいては、ライバルがフルモデルチェンジをしてしまうと相対的に商品力が失われてしまう。お互いの商品スケジュールもだいたい予想できる。うまくタイミングをはかってビッグマイナーチェンジを実施することで、競争力を維持することは重要だ。フルモデルチェンジをしたときの商品企画が間違っていたからビッグマイナーチェンジを果たすというよりは、ライバルの動向や市場ニーズに合わせたことで、新車デビュー時とはガラリと変わってしまうこともあると理解すべきだろう。



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パワートレインなどの大幅変更については、そのモデル単体ではなくメーカー全体のラインアップにおける生産性もポイントとなる。たとえば、ラインアップ中のある車種がフルモデルチェンジによって新設計のエンジンに変わったとして、ほかの車種が旧型エンジンを積んだままでは生産ラインの効率的に嬉しくない状態になる。エンジンの生産方式が大きく変わったときには、既存車種についてもそうそうにマイナーチェンジを実施して、新世代エンジンに変えていったほうが全体の効率が上がるのだ。



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新世代パワーユニットになれば燃費などの環境性能も向上して、商品力も上がるわけだが、車種単体ではなくメーカーラインアップ全体を俯瞰してみると、より意味がわかるマイナーチェンジもあったりする。



目立たないマイナーチェンジでいえば、先進安全装備の進化を見ているとラインアップにおける統一にそうした視点から納得できるケースも見受けられる。



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いずれにしても、自動車メーカーがビッグマイナーチェンジを果たすのは自社視点でいえば競合他社に対するアドバンテージを得るためだったり、ライバルをキャッチアップするためだったりする。

愛車選びにおいては、そうした商品力アップ情報をしっかりとチェックして自分にベストのクルマを見つけてほしい。

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