車検と法定点検がセットになるためディーラー車検は割高に見える
車両法第48条において、定期点検が定められており、義務となっている。自家用乗用車では初度登録後3年目に、以降2年ごとに継続検査を受けなければならない(一般的に車検といわれているもの)。車検自体は検査となり、保安基準に適合しているかを検査するだけであり、車検を通ったからといって、クルマのコンディションに“お墨付き”がもらえたわけではない。
車検自体は単純な検査なので、法定費用(税金など)と検査料ぐらいで済む。車検と同時期に法定点検を受けなければならないのだが、新車ディーラーで一般的に行っている“車検”というのは、この法定点検も込みで受けることもあり、費用自体が割高に見えてしまっている。ちなみにこれを“ディーラー車検”と呼んで区別されることも多い。
クルマを乗り続けるためには、点検項目は12カ月と24カ月とでは異なるが、毎年となる法定点検のみが義務となり、そのほかの点検は任意で受けるものとなる。新車を購入して納車されると、納車後1カ月、6カ月に無料点検が用意されている。厳密にはこの無料点検は必ず受けなければならないというものではないのだが、のちにトラブルが発生したときなどは、無料点検を受けていないとそこを指摘されてトラブル解決交渉が不利になることもあるようだ。
メンテナンスパックには任意の半年点検なども含まれる
近年では、各ディーラーとも“メンテナンスパック”というものを用意して、積極的にアピールしている。これは、さまざまな期間や内容があるのだが、例えば初回車検までの期間に受ける点検にかかる費用や、一定期間に交換するオイルやワイパーブレードなどの消耗品代をあらかじめ、まとめて支払うことでお得になるというもの。

新車販売による収益ではなかなか食べていけないディーラーが、メンテナンス収益に活路を見出し、格安車検業者やガソリンスタンドなどにお客を逃がさないための、“囲いこみ策”として用意されているという背景がある。
気になるのはその内容。「まとめて前払いすることで費用が安くなる」としているが、多くのメンテナンスパックには、義務で受ける必要のない法定点検の間(半年おき)に任意で受ける点検が含まれているのである。プランによってはこの任意点検時にオイル交換も入っていたりする。

オイル交換のタイミングについて諸説あるが、あまり走行距離が伸びない人ならば、法定点検も含めて半年おきのオイル交換は少々頻度が多いといっていいだろう。任意で受ける点検を全否定するつもりはない、いつでもベストコンディションを保っていたいから必要だと考える人もいるだろうし、年中遠距離出張にクルマを使うひとなら、半年おきのオイル交換は魅力的に見えることだろう。

販売現場で聞いてみると、「あまり走行距離の伸びないお客様ほど、いわゆる任意の6カ月点検を熱心に受ける傾向がある」との話もある。無用とまではいかないが、メンテナンスパックの損得勘定をする時には、プログラムに含まれていることは是非忘れないでチェックしてもらいたい。