クリアランスは少なくなってきている
最近の日本車は、スポーツカーにしても、SUVにしても、じつにカッコ良くなった。このカッコ良さという感覚は、デザインのバランス感を意味する。
カーデザイナーは「タイヤをボディの4隅にしっかり置いた、収まりの良いバランス感」といった表現をよく使う。つまり、クルマの足もとは、クルマ全体の印象に大きな影響を及ぼす。
そこでよく話題に上るのが、タイヤ・ホイールとフェンダー部との隙間(クリアランス)についてだ。
一般的には、日本車は輸入車と比べて、フェンダー部のクリアランスが大きいといった印象があるようだが、最近の日本車では、そうしたデザインバランスも改良されてきていると思う。
では、なぜフェンダー部のクリアランスは必要なのか?
当然のことだが、サスペンションが稼働する量に応じて、タイヤとフェンダー部が接触しないような配慮が、第一の理由だ。
もっとも分かりやすい例は、本格的な四駆だ。例えば、スズキ「ジムニー」のサスペンションはリジット方式で、オフロード走行中はその上下動が大きく、フェンダーのクリアランスも広げる必要がある。
これが、乗用を兼ねる商品性が強いSUVになると、高速道路での走行安定感とオフロードでの実用状況などの走行バランスを想定して、サスペンションの稼働に対する要件を定めていき、フェンダー部のクリアランスも決まっていく。結果として、本格的四駆と比べるとタイヤ・ホイールとフェンダー部のクリアランスが少し狭まる。
では、セダンやクーペなど、オフロード走行を前提としていない乗用車のフェンダー部クリアランスについてはどうか?
数十年前ならば、乗り心地を確保するためにスプリングとショックアブソーバーを極端に硬くすることはせず、ボディのロールや、ブレーキング時のノーズダイブ(フロントの沈み込み)や加速時のスクワット(リヤの沈み込み)、それらの量を考慮して、必然的にフェンダー部のクリアランスは広めに確保していた。
その頃の試乗会での走行写真を見ると、物凄くロールした状態で、フロントタイヤとフロントフェンダーのクリアランスがかなり狭くなっているシーンがある。
最近では、クルマの骨格であるプラットフォームの性能が上がり、その上でサスペンションの稼働が適切に行われるようになり、結果的にタイヤ・ホイールとフェンダー部のクリアランスも適正化されていった。
また、空力の観点による燃費への影響でも、このクリアランスの最適化が必要不可欠である。
さらにいえば、それぞれのメーカーにおける、デザイン本部のクルマに対する影響力の大きさも、タイヤ・ホイールとフェンダー部とのクリアランスに関係すると思う。
端的にクリアランスが少ないほうが、カッコ良く見えるのだから。

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