洗車や磨き、不具合の整備などを行っている

PDIという言葉を聞いたことがあるだろうか。輸入車に詳しい人なら耳にしたことがあるかもしれないが、プレ・デリバリー・インスペクションを略したもので、いわゆる納車前検査のこと。

日本車でも最近は一括で品質管理をおこなうためにPDIセンターを設置しているところもあるが、輸入車で以前からよく使われるのは、船便で1カ月から2カ月もかけて運ばれてくるため、その途中でダメージがないかなどを確認する必要があるから。また現地での生産時も日本車ほど品質にうるさくないため、ばらつきが出ていることもあり、これをしっかりと同レベルに整える必要もある。



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各インポーターはPDIセンターを陸揚げする港の近くなどに設置して、すべての車両を整備したり、検査していく。最初におこなわれるのは洗車や磨きで、長旅の汚れを落とすだけでなく、新車の輝きを引き出していく。そして外装については不具合を改修するために鈑金・塗装をおこなうこともある。輸送時の破損などだけでなく、日本車では考えられないことだが、生産時の塗りムラや塗装のタレなどが出ていることもあって、もちろんそれらはすべて補修される。



輸入車の陸揚げ後に送られる「PDI」センター! 日本ではとくに重要となる「役割」とは



細かいところでは各部の点検や組み付け具合のチェックなど、徹底的に実施。実際に某メーカーのPDIを見たことがあるが、専門の検査員がマーカーや付箋で不具合箇所をどんどんとチェックして印を付けていくのが印象的だった。パッと見、素人目にはなにが問題なのかはまったくわからないほどだったが、とにかく日本のユーザーは細かいところにもこだわるだけに、品質をしっかりと確保するというのが前提となる。



もちろん機関部分も含めて、装備や表示などが日本仕様に合っているかの確認もおこなわれ、日本語のコーションラベルやステッカーもPDIで貼り込まれる。この結果、日本車同様に新車時に課せられる3年間の車検受検は免除されて、ディーラーレベルでナンバーと封印をすることができるようになっている。最後に、国内の輸送中にキズが付かないようにカバーやシートがかけられて終了。

各ディーラーへと配送されていく。



一部のインポーターでは品質管理を間近で見られるように見学ツアーを実施しているところもあるので、機会があればぜひ参加してみてほしい。また、メルセデス・ベンツでは豊橋にあるVPC (ビークル・プレパレーション・センター)と呼ばれる新車整備センター内にデリバリーセンターを設置して、他ブランドに先駆けて、直接引き取って、乗って帰れるサービスを実施していたりもする。



輸入車の陸揚げ後に送られる「PDI」センター! 日本ではとくに重要となる「役割」とは

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