今ではあまり聞かなくなった国民車とは?
最近すっかり聞かなくなった、国民車(こくみんしゃ)という言葉。いったい何を意味するのか、さっぱり分からないと思う方も多いだろう。
国民車とは、その表現のとおり、国民が日常的に使えるクルマのことだ。多くの国民車は、戦争の後や、国家体制が社会主義から民主主義へ展開した後など、大きな社会変化が起こったときに、国の活力として政府が導入する施策だった。自動車製造による経済発展と、庶民が自家用車を購入しようという生活向上への意識を持つことによる、社会全体での生産性向上を狙う経済戦略である。
具体的には、海外ではドイツのフォルクスワーゲン「ビートル」や、旧東ドイツの「トラバント」、そしてマレーシアのプロトン構想などがある。日本では、戦後策定された軽自動車規格に対して国民車という発想があった。
こうした本来の国民車という発想は、いまではすっかり姿を消した。その背景にあるのは、自動車メーカー間での技術連携や、事業アライアンスが進んだことで、多様なモデルが先進国だけではなく、経済新興国や経済後進国まで幅広く販売されるようになったからだ。
さらに、自動車の輸送についても、大量消費される国では自国生産するが、生産拠点がない国の場合は、世界規模で最適な生産基地と輸出基地が設定され、効率的な船舶輸送が実現している。
こうして、それぞれの国や地域で使われているクルマの種類は豊富になり、国別での差が少なくなってきた。その上で、自国に自動車メーカーの本社機能や主力生産工場があれば、フランスならばルノーやプジョー、ドイツならフォルクスワーゲン、イタリアならフィアット、スペインならばセアト、そしてチェコならばシュコダといった庶民派ブランドのクルマが主流になるのは当然だ。
そうしたなかで、国民車とまではいかなくても、それぞれの国で目立つ「国民車っぽさ」を少し感じるようなクルマが、いまでもないわけではない。
たとえば、アメリカではフルサイズピックアップトラック。

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