保安基準は満たしているが他車と比べるとかなり低い位置にある
新型ハリアーの売れ行きが絶好調だ。国産車の販売台数ランキングでは、2021年1月4位、2月5位、3月7位、2020年4月~2021年3月の統計でも7位につけている。上級SUVでは1位なのである(1位ヤリス、2位ライズ、3位カローラ、4位アルファード、5位ルーミー、6位フィット……)。
しかし、人気の裏側で、ひとつ、話題になっていることがある。それはリヤウインカーの位置についてである。新型ハリアーのリヤウインカーは、なんとリヤバンパーのガーニッシュ下、左右に配置されていて、パッと見、ウインカーがそこにあることを感じさせないのである。後続車から見にくそう……なんていう意見が出てくるほどなのだ。
それでも、保安基準を満たしていることはもちろんで、位置的な基準で言えば、「地上から350mm以上」を、そうは見えないかもしれないけれど、計ればしっかりと満たしていることが分かる(約50cm弱)。

とはいえ、先代、あるいは他のSUV、いや、ほとんどのクルマが、ずっと高い位置にリヤウインカーが配置されていることを考えれば、やはり違和感があることは否めない。
シャープなリヤデザインを取り入れるためだった
じつは新型ハリアーが登場したとき、開発責任者にその点を伺ったことがあるのだが、ある意味、想像どおりの答えが返ってきた。
つまり、新型ハリアーは横一直線のシャープなテールランプありきのリヤデザインであり、もしそこに保安基準を満たす(オレンジ色の)ウインカーを組み入れたとしたら、それが成立しないからである。なんとも、トヨタらしくない!? チャレンジングな話だが、それに踏み切ったのはもちろん理由がある。
振り返れば、先代のハリアーは日本専用車。日本で走る日本人のための、それこそ高級ホテルのエントランスにも似合う、クーペシルエットを持つ流麗なスタイリングと、トヨタ上級サルーンに匹敵する乗り味が魅力で絶大なる人気を得たクロスオーバーSUVだった。

が、2020年に登場した4代目ハリアーは、北米、アジアなどで販売されるグローバルモデルへと変貌。

確かに、リヤコンビランプ左右が、保安基準によってもっと厚みが増し、ウインカーに要求されるオレンジ色に光らせるとしたら、せっかくの赤一色のシャープなデザインも台無し……なのかもしれない。
結果、後続車から見やすい、見やすくない、違和感の議論はともかく、こうして多くのハリアーファン、クルマ好きの間で、この「ハリアーリヤウインカー問題」が話題になっていること自体、新型ハリアーの話題性のひとつ!? として成功している、とも言えそうなのである(開発陣は賛否両論あることを承知で世に送り出したという)。
ただ、新型ハリアーのオーナーでどうしてもリヤウインカーの位置が気に入らないという人もいるようで(点灯時、自身で直接見ることはないのだが)、アフターマーケットパーツで、横一直線のリヤコンビランプ左右にウインカーを移設できるアイテムが販売されているようだ。もし、横一直線のリヤコンビランプ左右がオレンジ~イエローに光るウインカーを備えた80系新型ハリアーを見かけたとしたら、かなりこだわりあるオーナーが乗るハリアーだと思っていい。