パーツの供給状況を確認してからクルマを決めたほうがいい
新型車に魅力がないのか、昨今は旧車流行りとされている。人気モデルの高騰はよくニュースになっているし、多くの芸能人が旧車ライフをブログやYouTubeで発信していて、多くのアクセスを集めていたりする。
そうなると、自分も旧車を所有してみたいと思う方もいるかもしれない。
まぁ、大変と言ってしまうのは簡単なことなのだが、実際のところはどうなのか? 旧車や古いバイクを所有して30年以上の目から語ってみたいと思う。
まずクルマ選びだが、今や名車と呼ばれるモデルを購入するは費用面でかなり難しい。とくに国産車は、部品がないのに「車両自体をこんな価格で買って、あとが大丈夫か」と心配になってしまうほど。そこで狙い目は、まずネオヒストリックと呼ばれる1980年代から1990年代前半ぐらいのクルマで、バブルの名残までの時代なら、質も良く、デザインの魅力的なものが多い。肝心のパーツもそこそこ新品が手に入るし、製造廃止になっていても、ネットオークションなどで比較的入手しやすい。
国産にこだわらなければ、輸入車もいいだろう。パーツの供給はもともと良いとされていたが、リーマンショック後はかなり悪化はしている。とはいえ、それでも国産車に比べればかなりいい。
ここでのポイントはクルマを決めてからパーツの問題にブチ当たるのではなく、逆算して、パーツの供給状況を確認してから、クルマを決めたほうがいいということ。もちろん、このクルマじゃなきゃダメ、というのではあればそれを買うしかないが、あまり固執するのも考えものではある。

クルマを選ぶ際は、とにかく数を見ること。
たとえば、初代のNA型マツダ・ロードスターやスズキ・カプチーノあたりは今まで紹介した条件に合い、入門編にオススメだ。

気張らずに楽しむ程度の心持ちが旧車を長く楽しむコツ!
選ぶ際は、素性だけでなく、納車整備をどこまでやってくれるのかをしっかりと確認しておく。とにかくあらゆるところがダメになっているという意識をもって、選んだりチェックするぐらいがよく、よくある「こんなもんですよ」を鵜呑みにしてはダメ。「古いクルマだって、現役時代はフツーに乗れて、ロングドライブなどにも行っていた」わけで、「当時からこんなものではなかった」というのは頭に入れておいてほしいポイントだ。

「旧車はセカンドカーや足グルマがないときついですか?」とも聞かれることがあるが、クーラーが付いていなくて猛暑がきついとか、2シーターで家族全員が乗れないなどというのは別にして、「このクルマだって、当時はみんなファーストカー」なわけで、調子さえ良ければ1台だけで問題ない。
実際、ワタクシは通勤に使っていたこともあるし、1970年ぐらいのリアル旧車でもきちんとしたものならば「車検では手を入れてやるけど、それ以外ではノートラブル」という例は珍しくない。見た目だけきれいで、程度はよくないクルマだと、年中入庫していて、走るよりもリフトの上のほうが長いということになってしまう。

そういう意味では、やはり最初のメンテや整備状態が重要で、購入時にどれくらい初期化ができるかがカギ。買ってからおいおい手を入れていけばいいや、というと結局手は入れないし、調子も完調にはならない。

とはいえ、あまり気張るのもダメ。「メンテをしっかりとしても古いクルマだから、壊れるときは壊れる。壊れたら直せばいい。その分、他人とは違うクルマに乗れるんだし」と広い気持ちをもち、そして気軽に構えるのも大切だ。
「一生大切にして、絶対に手放しません」と言う人にけっこう会ってきたが、そういう人に限ってほぼ確実に手放してしまう。「まぁ、なにがあるかわからないけど、ボチボチ乗ってみますよ」くらいのほうが長続きするように思う。「好きよ好きよ、大好きよ」と言っていたのに限ってしばらくしたらあっさり別れる夫婦みたいなものか。いいものを選んで気張らずに楽しむ程度が長く楽しむコツと言っていい。