エンジンオイルには添加剤も含まれている
手軽に高性能、手軽に長寿命化を謳う各種添加剤は、今も昔もクルマ好きにとって気になる商品。
アレって効果があるのかないのか? 入れることで問題はないのか?
そうした添加剤の疑問について考えてみよう。
1)オイル添加剤
エンジンオイルにおいて、エンジンの保護性能と低フリクション性能は、トレードオフの関係にある。
低温から高温まで、さまざまな状況でエンジンを守るために、エンジンオイルには、清浄分散剤、粘度指数向上剤、極圧剤、酸化防止剤、流動点降下剤、消泡剤など、数種類の添加剤がはじめから入っている。
要するに、有効かつ必要な添加剤は、すでにオイルに含まれているということ。
以前、エネオスのオイル開発者に取材した際、「ベースオイルと添加剤のバランスは微妙なので、何か一種類の添加剤をあとから追加するのはおすすめできません」と語っていた。
いってみれば、製品化されたエンジンオイルに、市販の添加剤を注入するのは、ブレンデッド・ウイスキーに、好みのシングルモルト・ウイスキーを足すようなもの!?
おそらく添加剤を加えても、致命的なダメージを与えるようなことはないだろうが、野暮で無粋な感はある。

なかには、燃費向上や出力向上に効果があったという添加剤もあるだろうが、自動車メーカー、オイルメーカーともに、効果や信頼性を確認しているものではないので、誰がその性能を担保するかは……。
個人的に得たその情報が信頼できると思えば試してみるのもオーナーの自由。気軽なドーピング(?)で、魅力的に思えれば使ってみてもいいと思うが、筆者なら添加剤を足すより、ワンランク上のオイルを入れることをチョイスする。
添加剤はサプリメントのようなものとして捉えるのが良さそうだ
2)ガソリン添加剤
ガソリン添加剤の大半は、PEA(ポリエーテルアミン)が主成分。燃焼室や吸排気バルブ、インジェクターなどに堆積したカーボンなどの汚れを除去して、エンジンをリフレッシュするという触れ込みだが、エネオスやシェルなど、大手石油会社のハイオクは、清浄性能効果をうたっているので、これらのハイオクを入れ続けていれば、わざわざガソリン添加剤を入れる必要はない。

レギュラーガソリン仕様のクルマでも、1本2000円弱の燃料添加剤を入れるぐらいなら、ときどきハイオクを入れてやればいいのでは?

また低回転でノロノロの走る機会が多いとカーボンなどが堆積しやすいので、安全な場所で高回転まで回してダッシュをかけてやると、カーボンやスラッジが除去されて、エンジンが元気を取り戻すことが多々ある。
「添加剤は、サプリメントのようなもの」とよく言われるとおり、積極的に入れる必要はないが、入れてみたい人、効果があると思える人は、よくよく吟味して使ってみてもいいのかもしれない。
3)水抜き剤
梅雨の季節になると、ガソリンスタンドなどでよく勧められる水抜き剤。
はっきりいって、これはいらない。
ガソリンタンク内の湿気=水分はガソリンよりも重いので、溜まるとすればタンクの下に集まるが、燃料ポンプはタンクの底面から燃料を吸い上げる仕組みなので、そもそも燃料タンクに水分が溜まることは考えにくい。

おまけに、いまのクルマの燃料タンクはほとんどが「樹脂製」。仮に金属製のタンクだとしても防錆コーティングが施されているので、タンク内が錆びる心配はほとんどない。

むしろ水抜き剤の主成分、「イソプロピルアルコール」(親水性のアルコール)が、ゴムや樹脂を劣化させる方が心配だ(水抜き剤は「満タン時に1本」などと添加濃度が指定されているはず)。
プラシーボ効果ぐらいは期待できるが、機械的メリットはないに等しい。