ニューモデルのはずだが、素人どころかプロにも差がわからない!

新型車の登場、フルモデルチェンジは、先代オーナーはもちろん、クルマに興味がある人にとって、大きな関心事。しかし、劇的に変わるクルマもあれば、パッと見、先代と変わらない新型車もある。



たとえば、新型ヤリス。

先代は日本でヴィッツと呼ばれていたものの、海外の車名はヤリスであり、事実上、ヴィッツから新型ヤリスは、同車種のフルモデルチェンジなのである。そして内外装、走りともに激変。新鮮さをアピールし、それがまた大ヒットにつながっているひとつの要因だ。



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あるいは、マイナーチェンジでも、劇的変化があったクルマもある。一例としては、デリカD:5だ。2019年2月に約12年ぶりのマイナーチェンジが行われたわけだが、ダイナミックシールドと呼ばれる強烈な顔つきで存在感をアピールするだけでなく、クリーンディーゼル+4WD専用車となり、走りもまた大きく進化。まさにビッグチェンジ、いやフルモデルチェンジに近い新鮮さがあった。



ドッチが新型? 先代「そっくり」のモデルチェンジを行う理由と「知られざる」メリットとは



「うーんなるほど……、さっぱりわからん!」なモデルたち

ところが、新型車なのに、先代酷似のクルマもある。たとえばホンダN-BOX。初代は2011年に登場し、ご存じのようにスーパーハイト系軽自動車として大ヒット。



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上級車を喰う勢いのパッケージ、走行性能が魅力だった。そして2017年に2代目の新型がデビューするのだが、まさにキープコンセプトのエクステリアデザインで、クルマに詳しいモータージャーナリストの筆者でさえ、先代と現行型を瞬時に見極めるのが難しいほどだ。



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同じような先代酷似のフルモデルチェンジでは、スズキ・ハスラー(1-2代目)、スズキ・スイフトスポーツ(2-3代目)、スバル・インプレッサ(4-5代目)、スバル・レヴォーグ(1-2代目)などがあり、とくにホンダの乗用車の原点、日本のモータリゼーション、日本のマイカーブームの先駆けとなったN360をモチーフにした、Nシリーズ第三弾として1992年に初代がデビューしたN-ONEの2代目は、なるほど、N360という確固たるモチーフがあるためか、まったくと言っていいほどエクステリアデザインは酷似しているのである。



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むしろ開発陣はそれを誇りにしているほどで、だから新旧型を一目で見極めるのがかなり難しい1台でもあるのだ。



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輸入車でも、BMWミニ(1-2代目)、VWゴルフ(4-5代目)、VWニュービートル(1-2代目)も、確固としたデザインの完成度、普遍性、歴史があるため、初代からのデザインイメージは変えようもなく、誰が見てもそのクルマに見える、キープコンセプトなデザインにならざるを得ないのである。



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そこがまた、それらのクルマの普遍的な魅力でもあるのだ。だって、VWビートルが箱型になったら、それはもうカブト虫ではなくなるではないか。



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先代そっくりな新車を出す真意とは?

しかし、自動車メーカーとしては、新型を開発するにあたり、新型らしい新鮮さをエクステリア、インテリア、機能、装備、走りでアピールするのが当たり前である。なのに、どうして上記のような先代酷似の見映えの新型車を登場させるのだろうか。



ひとつは、先代(初代)のデザイン性が評価され、人気の原因、アイコンになっている場合だ。だからデザインを大きく変えるということは、リスクが伴う冒険になる。ライバルを寄せ付けない魅力的なデザインならば、あえて大きく変える必要はない……という判断である。実際、ホンダN-BOXは、1代目から先代酷似の2代目となっても、ますます売れ行きを伸ばし、日本でもっとも売れているクルマとなり、人気はまったく衰えない。そう、先代酷似の2代目も、キープコンセプトによって大成功した新型車なのである。



ドッチが新型? 先代「そっくり」のモデルチェンジを行う理由と「知られざる」メリットとは



スバル・レヴォーグの2代目については、エクステリアデザインこそ先代酷似なものの、インテリアの質感、デジタルコクピット、もちろん最新のアイサイトXの搭載など、中身の新しさ、先進性、走りの進化で勝負している(そこが日本カー・オブ・ザ・イヤーで評価され、大賞を受賞)。

そもそもコンパクトクラスのステーションワゴンの普遍的なエクステリアデザイン、パッケージは大きく変えようもないのである。



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個人的には、先代酷似の新型車は、さらなるメリットがあると思っている。それは先代ユーザーへの配慮だ。ヴィッツ→ヤリスのように、誰がどう見ても別物のクルマになってしまうと、先代型は一気に古びて見えてしまう。大切に乗り続けようと思っていても、その気がそがれてしまいがちだ。しかし、先代型に乗っていても新型がキープコンセプトの先代酷似のデザインであれば、古さを感じにくく、乗り続けやすいのだ(新車を売りたい自動車メーカーとしては困ってしまうが)。それどころか、先代酷似の新型車が登場した先代モデルのユーザーは、5年、10年経っても古びないであろう、愛車(旧型)のデザインを誇らしく思っていい。結果論だが、とてもいいデザインのクルマを選んだことになる。

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