ミッドシップ化したコルベットですらOHVは捨てなかった

ついに、リヤミッドシップになったGMシボレーコルベット。だが、搭載されるエンジンはアメリカンなOHV(オーバー・ヘッド・バルブ)方式を継承している。



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いまや、OHVを主流とする乗用車は、グローバルで大型のアメ車だけになったといってよい状況だ。

なぜ、そうなってしまったのだろうか?



一般的に、OHVはSOHCやDOHCと比べると、構造が比較的シンプルで耐久性が高く、そのため製造コストやメインテナンスコストが比較的低く済む、といったメリットを挙げる人が多いと思う。実際のところどうなのか?



「ユーザーの要望だから」って本気? アメ車がスーパースポーツでもOHVエンジンを採用する「単純明快」な理由



そうした疑問を過去何度か、フォードやGM、そしてクライスラー、ダッジ、ラム(現在はともにステランティス)の新車開発エンジニアに直接話を聞いてみたことがある。



その際、ほとんどのケースで同じ答えが戻ってきた。それは「ディーラーとユーザーの要望だから」というもの。言い換えると、「昔からずっとそうだから、当面はそれを維持」ということだ。



なんだかちゃんとした答えになっていないように思うが、これがアメリカの現実なのだ。



NASCAR参戦用にかのトヨタもOHVエンジンを開発

アメリカではフルサイズSUVやフルサイズピックアップトラック、またはアメリカンスポーツカーは「OHVが当たり前」という風潮が未だに続いている。



筆者がアメリカで「OHVがあたり前」という、大型アメ車の論理を強く印象づけらえたのが2003年だった。トヨタがアメリカで人気が高いNASCARに、2004年のトラックシリーズから参戦が確定した際、エンジンを設計開発するトヨタ本社の技術者と、アメリカ現地でエンジン開発とメインテナンスを行うTRD USAの幹部らと意見交換した際のことだ。



「ユーザーの要望だから」って本気? アメ車がスーパースポーツでもOHVエンジンを採用する「単純明快」な理由



当時のトヨタは、インディカーとF1の高性能レーシングエンジンを開発・製造しており、多くのメディアが「トヨタがレース用だけにOHVを作るのか?」という疑問を持っていた。



それに対してトヨタ側は「郷に入っては郷に従え」という点を強調した上で、NASCAR向けの超高回転型OHV開発の難しさを指摘していた。トヨタがNASCAR参戦の意義としては重要視していたいのは、トヨタとして「アメリカ市民になること」だった。



さて、話を現在の2021年に戻すと、バイデン大統領は8月上旬、「2030年までにアメリカ国内で販売する新車の50%をEV/FCV/PHEV等の電動車とする」という大統領令に署名した。こうした電動化シフトの中で、OHVも姿を消すことになるのだろうか? それとも、「アメリカはOHVが当たり前」という伝統を重んじて、マイルドハイブリッド化やプラグインハイブリッド化での延命期を長く保つことになるのだろうか?

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