この記事をまとめると
■ウインカーレバーを手前に引くことでパッとハイビームが点灯する機能をパッシングと呼ぶ



■これはもともと「追い越し合図」のために搭載されている



■使い方によって「妨害運転」と見なされることもある



パッシングは「追い越し合図」のためのもの

多くの国産車においてウインカーレバーを手前に引くと、ヘッドライトのハイビームをパッと点灯させる(ロービーム点灯時にはハイビームと瞬時に切り替わることもある)ことができる。



この機能をパッシングと呼ぶ。パッシングとは日本語で追い越しのことでヘッドライトの点滅によるパッシングは「追い越し合図」のために備わっている。



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話題のあおり運転においては、パッシングを使うこと自体があおり行為のように捉えられているキライもあるが、追い越し合図としてパッシングを利用することは本来の行為であり、正当なのだ。



追い越そうとしている車両に対して2~3度パッシングライトを点滅させて、接近している車両がいることを伝えるのが、追い越し合図としての正しい使い方といえる。



そのほかドライバー同士のコミュニケーションとしてもパッシングライトは活用されている。たとえば、対向車に対するパッシングは、「お先にどうぞ」、「この先危険あり」といった意味合いとして使われていることが多い。



「邪魔だ!」の煽りイメージもある! 対向車への合図に使う人も! クルマの「パッシング」ってそもそも何目的の機能?



ただし、こうした使い方については慣習的なものであって、明確なルールがなく、意味合いについての理解が異なるとトラブルの元になってしまうこともあるので、推奨されるものではない。このあたり、サンキューハザードにも通じる話だ。



さらに、パッシングは悪意の表現として使われることもある。



引きっぱなしにすることでもっとも明るい状態になるクルマも

追い越し合図の域を超えて、先行車に対して執拗にパッシングを繰り返すことは「妨害運転」と見なされ、あおり運転の一部と判断されてしまうこともあるだろう。なぜならハイビームで追走することは妨害運転の典型的な行為として認められているからだ。



スーパーGTのようなモータースポーツではパッシングライトを多用しているシーンを見かけることもあるが、あれほどの勢いで公道においてパッシングライトを使うのは妨害運転といえるので公道で真似することはNGだ。



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またパッシングライトではなく、先行車に対して追い越し目的でクラクションを鳴らすのは即NGとなる行為だ。クラクションについては危険防止が目的でのみ使用が許される。



後方を確認せずに車線変更を“しようとしている”車両に対してクラクションを鳴らすのは危険防止という意味で正しい使い方だが、追い越し車線を低速で走っているクルマや、危険な車線変更を終えたクルマに対して、注意喚起としてクラクションを鳴らすことは一般ドライバーには許されていないのだ。



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ところでパッシングライトというのは、冒頭でも記したようにレバーを引いている間だけハイビームを点灯させる機能のこと。つまりレバーを引きっぱなしにするとハイビームは点きっぱなしとすることができる。



この状態、そもそもハイ/ローが切り替えタイプのヘッドライトではハイビームを点灯しているのと変わらないが、ハイ/ローが別光源のヘッドライトにおいてはハイ/ローを同時点灯した状態となり、もっとも明るく前方を照らすことができる。



フォグランプをつけて、さらにパッシングを引きっぱなしにすることで、全点灯の状態にすることができる。街灯もなく、周囲に他のクルマもいないような暗い場所で前方の様子を確認する際などに有利なので覚えておきたい。

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