この記事をまとめると
■海外メーカーの奇抜なデザインなクルマを紹介



■攻めたデザインだったのと同時に価格も高めなものが多くて成功例は少ない



■マイナーチェンジで普通のデザインに戻してしまったクルマもある



日本車の攻め方が可愛く見える海外の奇抜デザインたち

価値観や時世の流れもあり、例えば1950年代のテールフィンのアメリカ車などは、今日の日本人の目には「奇抜」とか「ファンタジー」なものとして映るので、どちらかと言えば、テクニカルなチャレンジをともなった結果として、形が常識離れになったものを中心にチョイスしたい。



フォードGT

フォードGTと言えば、クルマ好きの間で話題となった2019年公開の映画『フォード vs フェラーリ』で、ある意味主役となった1960年代中盤にル・マン連覇を成し遂げたレーシングプロトタイプ、フォードGT40のリメイク版として2005年に初代が登場している。



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クルマに詳しい人が見れば、GT40とフォードGTとの違いは一目瞭然だが、そうでない人にとってはフォードがGT40をリプロダクションした、と言われても信じてしまいそうなリメイクぶりだった。それに続いて2代目のフォードGTが登場したのは2017年のことである。

2代目は初代と変わらず、誰が見てもGT40へのオマージュは感じさせたが、ダウンサイジングしながらパワーアップしたエンジン、そしてなによりも明らかに空力性能を向上させた洗練されたスタイルが注目を浴びた。



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そのパフォーマンスに関しては、レーシングカーばりのCFRP製モノコック、ミッドシップマウントした656馬力の3.5リッター“エコブースト”V6ツインターボ、というスペックからも推して知るべしだが、デザイン的には建築用語で“飛梁”を意味する、フライングバットレス的なアプローチのピラー内を空気が通り抜ける、意訳すればトンネルスルー型ピラー形状が実に斬新だった。



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同様のアプローチのピラーはフェラーリの588GTBフィオラノやマクラーレン570Sにも見られるが、フォードGTの後方へのキャビンの絞り込み、そして逆に後方に向かって広がるようにリヤフェンダー上に基点を伸ばしたピラーのデザインは、“空気の流れが素人目にも見える”という意味で最高にぶっ飛んでいる。



プリマス・スーパーバード

アメリカ車といえば、デザイン先行のイメージが強いが、こちらはロジカルに生み出された“ぶっ飛びデザインの極み”。1950年代後半からアメリカの若者たちを魅了し始めたホットロッドムーブメント。そこ生まれた“速くてスリリングなクルマ”に対する要求への答えとして、1960年代前半からメーカー自ら、大型車用の強力なV8エンジンを、アメリカ車としては小型のインターミディエイトクラス車に搭載したホットロッド的グレードをカタログモデルとしてラインアップするようになる。



それが今で言うマッスルカーのはしりだ。そして、次にメーカーが目を付けたのが、マッスルカーを使って行うレースのひとつであるNASCARだ。当時は「NASCARでの勝利が何物にも勝る新車のプロモーションになる」と言われ、メーカーはこぞってNASCARスペシャル的な車種を発売することになる。



中でも熱心だったのがクライスラーで、すでに最高速度が200mph(時速320km/h)に達しようとしていた1960年代末、フロントにスタビライザー(高速走行時の安定性を高めるという意味合いだ)として巨大なノーズコーンを備え、ヘッドライトもリトラクタブル式に変更、さらにルーフラインも軽く凌ぐトンネル型のリヤウイングを備えて、見事レース車両が200mphを超える最高速度を達成したのがダッジ・チャージャーデイトナである。



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その翌年、基本的には同様のエアロディバイスをチャージャーの兄弟車であるロードランナーにセットしたのがスーパーバードである。ところで、昨今の常識ではリヤウイングの天板の位置はルーフ面と同じ高さがベストとされるが、スーパーバードのそれはルーフラインの遥か上をいっている。



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その理由がじつにアメリカ的で、ウィングの基点がトランクリッド側でなく、それを両サイドから挟むリヤフェンダー上にあるため、ちゃんとトランクが開くように、という配慮かららしい。



モーガン・スリーホイーラー

つい最近まで日本でも購入して合法的に走らせることが出来たクルマとして、これほどまでにぶっ飛んだデザインのクルマはほかになかった。ヒストリックカーに詳しい方ならば、モーガン・スリーホイーラーと言えば、1930年代から生産が始まったオリジナルをご存じのことと思うが、じつは昨今まで新車でオーダーできたモーガン・スリーホイーラーはアレとはまったくの別物で、2011年に完全なる新型車としてリリースされたものである。



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エンジンはアメリカのハーレー用サードパーティ・エンジンメーカー、S&Sの2リッターVツインが搭載されている。そして変速機は意表を突いて、マツダの5速MTが組み合わせられていた。クルマの見た目からは、高回転型のエンジンをぶん回して乗るように思えるが、実際はその真逆で、ビッグVツインの走りは、低回転でトルクが盛り上がり、結構な振動も伴う、古き良き時代のアメリカンスポーツにも通じるそれ。



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全体的にスローな乗り方が最高に気持ちいいが、その気になればテールスライドを駆使したサイドウェイも可能。実際にドライブした経験からも、風や振動は想定内だったが、小さい車体の割に、意外や小まわりが利かなくて四苦八苦したことを思い出した。



攻めたデザインだった故にインパクト”だけ”は絶大だった

アストンマーティン・ラゴンダ

じつは、忘却の彼方に消え去っていたのだが、いきなり思い出してしまったのが、間違いなく“ぶっ飛びデザイン”の神、アストンマーティン・ラゴンダである。



ラゴンダという名称を紐解くだけでスペースが尽きてしまいそうなので、簡単に説明すると、まずラゴンダはアストンマーティンとは別の高級車メーカーとして1906年に創業し、紆余曲折の末、1948年にアストンマーティン傘下になった。そして、従来はスポーツカーメインだったアストンマーティンが事業拡大の際に、4ドアの高級サルーンを発売するときのブランド名としてラゴンダを用いたのが始まりだ。正確には1961年に発売されたラゴンダ・ラピードがそれにあたる。



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しかし、ラゴンダ・ラピードは価格が高く、たった55台しか売れず、商業的には失敗した。その失敗を踏まえて、今度はラゴンダを車名とした高級サルーン、アストンマーティン・ラゴンダが1974年に登場する。これはアストンマーティンの看板車種、DBSのホイールベースを伸ばして4ドアセダン化したようなモデルだったが、当時はアストンマーティン社自体の経営が危うかったこともあって、生産台数はわずか7台! にとどまっている。

と、ここまで随分長くなったが、おそらく過去の4ドアセダン史上もっともインパクトのある、まるで“定規で描いたような”デザインの2代目アストンマーティン・ラゴンダが登場したのが1976年のこと。



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過去との決別というより断絶、賛否両論というより賛がどれくらいあったかむしろ知りたいくらいのラディカルなデザインはあまりにもインパクトがあった。当時は隠しライトさえ付いてれば立派なスーパーカーという時代だった(日本に限ってだが)こともあって、カウンタックの4ドア版と言われても頷きたくなるくらいの前衛的デザインだった。



内装も個性的な意匠ではあったが、それを上まわる英国のラグジュアリー感で上塗りされており、コノリーレザー、本木目の加飾パネル、ベロアなどをふんだんにあしらい、まさに贅の限りが尽くされていた。



2代目のラゴンダはその過激なフォルムのまま、途中ライトが固定式角6灯(これがまた異形な顔つきだ)になった他、大掛かりなマイナーチェンジが2回ほど行われ、1990年まで生産された。



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総生産台数は640台あまり。日本での販売価格は4000万円前後だったことを踏まえれば、その数字の受けとめられ方は変わるかもしれない。そして、このラゴンダの生産終了以降、アストンマーティンは4ドアサルーンを長らく封印することになったが、2010年に4ドアサルーンを復活させた際にラゴンダの名は使わず、アストンマーティン傘下となったラゴンダの処女作、ラピードの名を用いたのはちょっとした皮肉なのかもしれない。



チゼータ V16T

この手の企画では、縦2列配置の角4灯リトラクタブル式ヘッドライトという、あまりにも個性的な顔つきからその名が挙がることが多いチゼータ V16T。デザインをかのマルチェロ・ガンディーニが手掛けたと言われれば、どこかランボルギーニの影を感じるはずだ。



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チゼータはもともとランボルギーニに在籍していたエンジニア、クラウディオ・ザンポーリ氏、そして映画『トップガン』、『フラッシュダンス』、『ネバ―エンディングストーリー』他の音楽プロデュースを担当したジョルジオ・モロダー氏のふたりが共同出資者となり、『チゼータ・モロダーSRL』社して設立したが、V16Tの市販が開始される頃にモロダー氏は同社を離れることになる。その影響もあって資金繰りに行き詰ったチゼータ社は、1991年にわずか15台のV16Tを生産して倒産した。



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しかし、2003年にザンポーリ氏は拠点をアメリカに移してチゼータ社を復活させ、V16Tの生産を再開。

ホームページをのぞけば、何と現在も注文可能なようで、6リッターのV16エンジンを搭載し、320km/hの最高速を謳うV16Tの標準仕様には80万ドル(約9200万円)のプライスタグが掲げられている。



アルファロメオ SZ

昨今でこそかなり洗練されたイタリアン・プレミアムブランドとして周知されつつあるが、かなり大人しくなったとは言え、ぶっ飛んだというか個性的なデザインと乗り手を煽るようなパワートレインで我々を魅了してくれるアルファロメオ。そんな同社がこれまで世に送りだしてきたぶっ飛んだデザインの中でも、話を近現代に限定すれば、これほどまで異形なルックスをした自動車は他に類を見ない、と断言して良いのがSZである。



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車名が意味するのはSprint Zagatoで、それを聞くと「いかにもザガートらしいデザインだ」などと口走りたくなるが、実際にデザインを行ったのは自社(フィアット)のスタッフであるという。ザカートの名称が与えられたのは、あくまで同社がザガートとアルファロメオ、そしてフィアットとのコラボレーション事業であることの意味合いが強いようだ。イタリアでは“イル・モストロ(怪物の意)”の愛称で親しまれており、この顔つきが異形と感じられるのは万国共通。



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ちなみにSZにはオープン版も存在しており、そちらはRZ(Roadster Zagato)と呼ばれる。しかし、実のところ、このSZ/RZの本懐はそのメカニズムにあるというのが熱心なアルファロメオ好きの間では常識で、全長約4メートル、車重1.3トンの小ぶりな車体に3リッターV6を搭載し、それにトランスアクスルを組みわせることで理想的な前後重量配分を実現。さらに、サスペンションまわりは同社の75をベースにしたIMSA/グループA競技車両のそれに準じ、コニ製ハイドラリックダンパー(車高調整機能も備える)、インボード式(デフの両サイド)リヤブレーキの装備によるバネ下重量の軽減など、文字どおりのハンドリングマシンに仕上がっている。



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敢えて好き嫌いの分かれるクセの強いエクステリア・デザインを採用しながら、その内に超正統派のメカニズムを秘める、そんなギャップがアルファロメオ好きを惹き寄せるのかもしれない。



フィアット・ムルティプラ

“マイナーチェンジで普通になった”系の代表といえばフィアット・ムルティプラ。ムルティプラは名前だけで遡れば2代目で、初代は1950~1960年代にかの有名なフィアット500の兄貴分にあたる小型車、フィアット600をベースに6人乗りとしたピープルムーバ―のはしり。



「二度見」確実の「異形っぷり」! 日本車じゃ絶対あり得ない海外のぶっ飛びデザインカー7選



そのコンセプトをフィアット・ブラーボ/ブラーバ・べ―スに前後列各3人乗りの3+3レイアウトのピープルムーバ―として1998年に復活させたのが新世代のムルティプラである。

しかし、そのコンセプトはともかく、オオサンショウウオのような顔つきと、デコッパチというか泡のようにプックリと膨れ上がったグリーンハウス、そしてAピラーの根本に配されたハイビームという個性的なスタリングに馴染めたのは本国イタリア人だけで、その他の国ではセールスは伸び悩んだため、2004年にはオーソドックスを絵に描いたような普通の顔つきに大フェイスリフトが敢行された。



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乗ればエンジンは非力ながらマニュアルで引っぱれば楽しいというイタリア車のそれで、個性的な顔つきも魅力だったが、それを一般的な日本の輸入車ユーザーが良しとするにはかなりハードルが高く、日本ではカルトカー的なカウントになっている。

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