この記事をまとめると
■日産と三菱自動車から軽自動車規格のEVが発売された



■補助金利用で実質的な価格は180万円~で、ガソリンターボ車の軽とほぼ同等となる



■軽EVがEVの入門用モデルになりうるかを考えた



日産と三菱による共同開発で誕生した新型軽EV

2009年の三菱i-MiEVから13年を経て、新たな軽自動車の電気自動車(EV)が、日産サクラと三菱eKクロスEVとして発表になった。車両価格は、約230~290万円で、軽自動車としてはなお高値だが、55万円の補助金の適用を受ければ、最終的には約180万円で買えるEVになる。その値段は、ガソリンターボ車の軽と同等だ。



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ガソリン車の軽でも最上級車種といえるターボ車と、EVといえども廉価車種との値段を比較することが公平とはいいにくいかもしれない。だが、日常的に不自由しない装備に加え、走行性能ではガソリンターボ車と同等の最高出力と約2倍に及ぶ最大トルクを持ち、当然ながらモーター駆動による静粛性や乗り心地などは直列3気筒エンジン以上だから、それほど不公平な比較ではないというのが私の印象だ。



そのうえで、購入後は、電気にかかるコストがガソリン代の約半分になるので、自宅で充電すれば家計にもよい面を見出せるのではないか。



さらに、通勤で軽自動車を利用する場合、勤務先の従業員駐車場に200Vの普通充電コンセントを設置してもらえれば、仮にアパートやマンションなど自宅の駐車場に200Vコンセントを設置できない事情があっても、往復に必要な充電量は勤務先での仕事中に済ませることができるだろう。



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EVの充電という話になると、30分も待つのは無駄だという急速充電ばかりが取り沙汰されるが、本来は、自宅で寝ている間、勤務先で仕事をしている間など、ほかの用事をしているときに普通充電で済ませてしまうのが基本だ。それこそがEVのよさでもある。



当然ながら、ガソリンスタンドへ立ち寄る必要がなくなり、オイル交換や添加剤の購入などの勧誘に対応せずにすむ。セルフスタンドのほうが安値でも、自分で給油することに抵抗のあった人も、充電なら簡単にでき、手を汚す懸念も少なくなる。雨の中でも感電しない試験は、自動車メーカーが済ませている。



さまざまな視点から軽EVが登場した意味は大きい

EVをはじめて経験する人にとって、価格も利用の仕方も、より身近に感じられるのが軽乗用EVの日産サクラや三菱eKクロスEVだと思う。



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そのうえ、静かでゆったりした乗り心地は、もはや軽とは思えない上級さがあり、軽は便利だけれど安さのため我慢するといった諦めも薄れるのではないか。



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仕事先など企業にとっても、社員がEVで通勤していれば、二酸化炭素(CO2)排出量削減の一助となり、社会貢献になるだけでなく、環境に配慮した企業として取引先への好印象や、融資などで実利が得られるのではないか。



個人だけでなく、企業にとっても、EV化を進めるきっかけになるだろう。そして社会全体がEVへの理解を深めることによって、国内最大の課題となっている集合住宅での普通充電用コンセントが設置できない状況を打開するきっかけになることも期待される。



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さまざまな視点から、世間一般にとって初めてのEVという意味ある存在に、日産サクラと三菱eKクロスEVはなっていくのではないだろうか。

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