この記事をまとめると
■私道でも道路交通法の対象となる



■運転免許が必要なのが道路の基準



■公道でも閉鎖すれば自由に走れる



「私道」でも不特定多数が利用できれば「公道」になる

自動車メディアの聖地といえばアネスト岩田ターンパイク箱根(愛称:箱根ターンパイク)だ。個人向けにオフ会の会場を有料で貸し出していたり、メディア向けに撮影許可を出していたりすることでも知られているが、そうした自由度の高い運用ができるのは箱根ターンパイクが私道だからだ。



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しかし、私道であるにもかかわらず、警察による速度違反などの取り締まりが行われていたりする。

つまり道路交通法が適用される道路というわけだ。



こうしたケースを「みなし公道」と呼んだりすることもある。私有地内の走行であれば、警察は介入できないようにも感じるが、なぜ取り締まりができるのだろうか。



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じつはそうした基準は、道路交通法に明記されている。



道路交通法が適用される「道路」の定義というのは以下のふたつだ。



・公道



・一般交通の用に供するその他の場所



公道というのは説明不要として、『一般交通の用に供するその他の場所』の判断基準は何かといえば、不特定多数が自由に走れるかどうかという点になる。冒頭で記した箱根ターンパイクにしても通行料金を払えば誰もが自由に走ることができる“道路”であり、すなわち道路交通法の対象となる。つまり、警察が取り締まりを行うのは正当といえるのだ。



運転免許を取得する際などに、私有地内では無免許でも運転できる……といった内容の話を聞いたことがあるだろう。実際、自動車学校の中では無免許の人が練習しているのだから、当然だ。



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もし、私有地内を含むすべてのエリアが道路交通法の適用エリアだとしたら教習生はみな無免許運転で捕まってしまうし、サーキットでもスピード違反の取り締まりができることになってしまう。特定の人しか走れないようにしておけば法的な“道路”にはならないのだ。



ケースバイケースによって例外も存在する

また、自動車学校に通っているときに「駐車場で車庫入れの練習をした」という人もいるかもしれないが、じつはこうしたケースでも微妙なことがある。



自宅敷地内の駐車スペースや月極駐車場など特定の人しか利用しない私有地については道路に該当しないので、無免許で練習するのは合法となる。しかし、店舗に付随する駐車スペースやコインパーキングのような駐車場は、不特定多数が利用するため道路交通法の対象となり、そこで無免許でクルマを動かすことは違法と考えることもできるのだ。



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まとめると、私道であっても不特定多数が利用するような状況においては道路交通法の対象となる。道路交通法の対象ということは、そこを走るには運転免許が必要という意味だ。



難しい法的な解釈は置いておくとして、一般ユーザー的には運転免許が必要であろう道は、道路交通法でいう“道路”であり、さまざまな交通ルールに従うべき道だと判断する基準となるだろう。



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そうは言っても「箱根ターンパイクでレーシングマシンが走ったことがあったじゃないか」と指摘する声もあるだろう。たしかに、過去に複数のプロモーションで明らかに公道走行が不可といえるレーシングマシンが走ったことがある。



しかし、それは箱根ターンパイクを閉鎖して、特定の人だけが走れるようにしたから可能になった話であって、日常的な運用で箱根ターンパイクをレーシングマシンが走れるわけではない。



そもそも公道であっても閉鎖すればレーシングマシンを走らせることは可能だ。実際、2019年には東京の神宮外苑でレッドブルがF1マシンのデモランイベントを開催、2021年にもスーパーGTやMotoGPマシンなどを走らせたことがある。



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さらに言えば、地方自治体が招致を目指している公道レースを実施する場合でも、公道をナンバーのついていないレーシングマシンが走ることになるが、本来の公道では不可能な話だ。

公道であってもしっかりと許可を得て閉鎖することで、道路交通法の対象外となるケースもあるのだ。

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