この記事をまとめると
■マーチが8月をもって生産を終了する■4世代に渡って日本で販売され続けており、特別仕様車も数多く設定された
■欧州では「マイクラ」の名で販売されているほか、EVとなって復活する予告もされている
マーチは4世代に渡って愛された国民車的存在だった
日産を代表するコンパクトカーであるマーチ。しかし、ついに今年の8月で生産終了となり終売となるという発表があった。生産終了後、すぐに買えなくなるわけではなく、在庫限りの販売ということになるそう。
近年ではノートに押され気味のマーチであったが、日本のみならず欧州での日産ブランドのネームバリュー拡大にも貢献したマーチを今一度振り返ってみたい。
初代の日産マーチは1982年10月に発売をスタート。その1年前に開催された第24回東京モーターショーでは「NX-018」の名前で参考出品され、長期間に渡ってティザーキャンペーンがなされたモデルとなっていた。

車名である「マーチ」も一般公募で選ばれたものであったが、応募数1位のものではなく、当時の審査員の多くが選定したマーチに決定したというものだった。
当初は3ドア、1リッターNAエンジンのみというラインアップだったマーチだが、のちに5ドアハッチバックやキャンバストップといったボディタイプが追加されたほか、1リッターターボモデルも設定。モータースポーツベース車としてターボとスーパーチャージャーのツインチャージャーエンジンを搭載した「マーチR」や、それをベースとして一般向けとした「スーパーターボ」など、ホットなモデルが用意されたのも特徴となっていた。

そのほか、Be-1、パオ、フィガロといったパイクカーのベースともなったマーチは、およそ10年という長いモデルライフを誇っていたのも日本車として珍しい点と言えるだろう。

欧州では「マイクラ」の名前で販売継続中
1992年1月に2代目にフルモデルチェンジを果たしたマーチは、直線的な初代と変わって丸みを帯びたデザインに変更。当初から3ドアと5ドアを設定していたほか、1.3リッターモデルも新たにラインアップに加えていた。

その他のボディタイプとしては、1997年にオープントップを備えた「カブリオレ」が登場し、1999年には後部を延長してステーションワゴン風とした「マーチBOX」も存在している。

先代モデルのようにターボ仕様など明らかなホットモデルは存在しなかったものの、初代に引き続きワンメイクレースが実施されるなど、モータースポーツの入門車としての人気も引き続き有していたモデルとなっていたのだった。
そして2002年2月には2度目のフルモデルチェンジで3代目へと進化。

2003年10月には久々のホットモデル「12SR」が登場。これはオーテックジャパン(当時)が手掛けたモデルで、ボディ補強や専用の足まわりのほか、エンジン内部にまで手が加えられた本格的なものだった。

2005年に実施されたマイナーチェンジでは3ドアモデルが廃止となり、新たに1.5リッターエンジンとCVTを搭載したグレードを新設。2007年には英国からクーペカブリオレモデルの「マイクラC+C」を輸入販売したが、このモデルはマーチではなく、欧州名のマイクラ名義のまま販売されていた。

2010年7月にはおよそ8年半ぶりのフルモデルチェンジを実施して4代目となったマーチ。この世代からはタイで生産した車両を輸入して販売する形となった。エンジンは全グレードで1.2リッターの3気筒エンジンとなり、トランスミッションはCVTという組み合わせという1種類のパワートレインのみとなる。

当初はスポーティグレードが設定されていなかったが、2013年に「NISMO」シリーズを追加。パワートレインはベース車のままとした「マーチNISMO」と、1.5リッターエンジンと5速MTを換装した「マーチNISMO S」の2種類が用意されていた。

そして2016年4月には、オーテックジャパン(当時)創立30周年を記念するモデルとして「ボレロA30」を30台限定でリリース。これはオーテックが手掛けたカスタマイズカー「マーチボレロ」をベースに、オーバーフェンダーや専用の1.6リッターエンジンなどの特別架装を施したスペシャルモデルとなっていた。

欧州では2017年から5代目となるモデルが販売されていたが、日本仕様は4代目モデルを継続販売し、この夏に販売を終えるという形となった。

さすがにこれから欧州で販売している5代目モデルを日本へ導入するということは考えにくいが、電動化を推し進める日産としては、今年1月にティザー動画が公開された新型コンパクトEVがマーチの名前で登場する可能性もありそうだ。
