この記事をまとめると
■CX-60には「i-ACTIVSENSE(アイアクティブセンス)」と呼ばれる予防安全技術を採用■自動でシートポジションを設定してくれる「自動ドライビングポジションガイド」を搭載する
■「プレミアム」系グレードに標準装備「エクスクルーシブ」系はメーカーオプション設定だ
見た目やパッケージングだけでなく装備も最新の物で武装
6月24日より予約受注が開始され、9月15日に販売をスタートさせた、FRをベースとしたマツダの新たな2列シートDセグメントSUV「CX-60」。
マツダにとってまったく新しい旗艦モデルに位置付けられるこのCX-60には、ADAS(先進運転支援システム)「i-ACTIVSENSE(アイアクティブセンス)」として、数多くの予防安全技術が用意されている。
そのひとつが、センターディスプレイに搭載した赤外線LEDと赤外線カメラでドライバーの居眠りや脇見、急病などを検知する「ドライバー・モニタリング」。

そして、衝突安全や予防安全はもちろん、良好な運転環境と優れた操縦安定性を核としたもっとも基本的なゼロ次安全にもこだわる、マツダならではの最新技術が、CX-60に設定された。それが、「ドライバー・パーソナライゼーション・システム」に含まれる「自動ドライビングポジションガイド」だ。
適切なドライビングポジションを取ることの重要性は、多くの読者にとって釈迦に説法と推察されるが、ロングドライブ時の疲労軽減や緊急回避能力の向上など、さまざまなメリットをもたらしてくれる。だが、マツダの調査によれば、約半数のドライバーが適切なドライビングポジションに設定できていないのだという。

そこで開発されたのが、この「自動ドライビングポジションガイド」なのだが、今回、その機能を実車で体験することができたのでレポートしたい。
運転席に乗り込みドアを閉めると認証が開始されるが、まだ登録されていないドライバーの場合は、マツダコネクトのホーム画面の「設定」から「ドライバーパーソナライズ」「ドライバー新規登録」を選択する。その後「登録に5分程度かかります」との注意が表示され、それに対し「OK」を選択すると「自動ドライビングポジションガイド」の登録プログラムが起動する。

最初は自分の身長をコマンダーコントロールのダイヤルで入力し、続いてマスクやサングラスを着用していない状態でガイダンスに従って左右のドアミラーを見ると、その間に目の位置が自動的に測定される。これに入力された身長のデータを組み合わせることで、胴の長さや脚の長さ、体格や人種が推測されるのだという。

すると……運転席の前後スライドや背もたれ角度、座面の高さに加え、ステアリングのチルト(上下)&テレスコピック(前後)、ドアミラーの角度、さらにはヘッドアップディスプレイの高さまで、自動的にオススメのポジションに調節された。
全自動調整+微調整で最高のドラポジを提供
しかしながら、そのポジションは、筆者には全体的にやや遠く感じられた。
・右足の踵をフロアにつけながらアクセルペダルからブレーキペダルへ踏み換えた際に踏みやすいか→ABSが効くレベルまで踏み抜くにはやや遠かったので、前後スライドを前に調節
・アクセルペダルに右足を載せた際に自重で踏み込んでしまわないか→踏み込んでしまう場合は座面を持ち上げてそれを防ぎ、遠すぎる場合は下げる
・ステアリングの上に手を置いた際、手首がステアリングと同じ位置にあるか→ずれている場合は前後上下を調節
・ステアリングの間からメーターを見た際に表示が上下方向とも切れていないか→上側が少し切れていたので、ステアリングのチルトを少しだけ上に調節
・ドアミラーに車体の一部が映り、かつ中心付近にあるか→やや内側に寄り過ぎていたので、外側に調節
・ヘッドアップディスプレイの高さ・傾きは適切か→表示範囲を示す四角のガイドがやや上寄りだったので、下に調節
といった流れで、画面に表示される説明を見ながら各部を微調整していった。
確かにこれならば誰もが、適切かつ体格や好みに合ったドライビングポジションを取ることができるだろう。

とはいえ、この機能を実装するには、パワーシートと電動チルト&テレスコピックステアリング、ドライビングポジションメモリー機能が必須となる。そのため、CX-60でも「自動ドライビングポジションガイド」は、最上級の「プレミアム」系グレードに標準装備、「エクスクルーシブ」系グレードにメーカーオプション設定となっている。

本来ならば全車に標準装備されるのが理想だが、現実的にはコスト=車両価格に直結するため、なかなかそうはいかないだろう。
なお、ロードスターの取扱説明書には、適切なドライビングポジションの取り方が非常に丁寧に記載されている。これがCX-60や他のマツダ車の取扱説明書にも掲載されるとともに、「自動ドライビングポジションガイド」が装着されないCX-60にも、調節方法のガイダンスだけでも実装されることを、筆者は願ってやまない。