この記事をまとめると
■BMWのモータースポーツ部門として誕生した「M」が2022年で50周年を迎えた■BMW Mの50年の歴史において誕生した「M」の名がつく派生モデルを解説
■いまではマイルドな「M」からハードコアな「M」までさまざまなモデルが用意されている
BMWのラインアップには「M」モデルが大量に存在する
2022年、BMWのモータースポーツ部門にしてハイパフォーマンス・モデル開発も担う「M」が50周年を迎えたのはご存じのとおり。BMWが「バイエルンのモーター工場」の略とは、つとに知られているが、モーターのMにことさらフォーカスして、エンジン開発過程から携わってBMWというクルマ全体のポテンシャルを引き出すというロジックは、メーカー直系チューナーのハシリでもある。
そのMだが、市販モデルには「M」「Mスポーツ」「Mパフォーマンス」はたまた「Mコンペティション」や「Mクラブスポーツ」といった、さまざなM付きモデルが存在するのはご存じのとおり。
そもそもBMWの各シリーズには2種類のラインアップがあって、片やスタンダードモデルを基本のキとする系統と、片や「M」を基本とするスポーティかつハイエンド側の系統がある。「ラグジュアリー」とか「スポーツ」「スタイル」といったグレード名が割り当てられるのが前者で、「M2」「M3」あるいは「X5 M」といった各シリーズの一文字Mモデルから派生する後者は、BMW M社が開発する別物と考えたほうがいい。
とはいえ、分けても「Mスポーツ」というのが両者の間をとりもつ存在で、エンジンやシャシーといったハードウェアのスペック面ではスタンダード側に属しつつも、バンパーやエアロ、ホイールといった装備面ではMモデルに準じる外観が与えられている。具体的には、フロントのグリルやエアインテークが大きめで、サイドにはMのオーナメント、リヤにはディフューザーといった「ヤル気」なアピアランスと雰囲気は、むしろMに寄せられている。
ただし単なる「Mルック」仕様ではなく、トランスミッションがよりスポーティ制御の「スポーツAT」だったり、サスペンション自体もMスポーツサスペンションだったり。サスはオプションでアダプティブ制御タイプも用意されていたりする。それでいてベースモデルの高級グレード、「ラグジュアリー」や「スポーツ」からは車両価格差にして10万~数十万円に留まるという、お買い得感のある人気グレードが、Mスポーツというワケだ。
50年で果てしなく深化したBMW「M」ワールド
対して「M」は、エンジンの型式認証からして別物だ。エンジンの設計仕様やチューニング具合、トルク&パワーといった出力面から始まって、シャシーセッティングや内外装についても専用仕立てで、公道だけではなくサーキットでBMW Mとして本領を解き放てる動的クオリティが大前提となる。だから、ただエンジンパワーが向上しているだけでなく、サーキット走行することを必要欠かざる要件として加えた、より高規格対応の高次元な仕様という位置づけだ。
この「M」はBMW M社が手がける系統の中では基本のキ(よくセンタープロダクトなどと呼ばれる)だが、50年の歴史のなかでいまや、+3種類ほど、さらに突き詰めて各自のキャラクターを磨いたMが存在する。
まず「Mパフォーマンス」は概して、スタンダードMよりもややトップエンド出力を抑えつつ、フロントにマットグレーのアルミパーツをあしらうなど、過激化よりはマイルド化に重きを置いたチューンド仕様。M銘柄の入門としても、またはスポーツ志向のドライバーだがサーキットより公道重視で、実用上の回転域でもフィールに煩いといったタイプに向く。大人仕様のハイパフォーマンスカーだ。
続いては純「M」を挟んでひとつ上、「Mコンペティション」がある。これはMよりもさらにアウトプット追求型のエンジン・チューンやシャシー制御により、パワフルなパフォーマンスを発揮するタイプ。近年ではM5コンペティションやM2コンペティションが話題をふりまいた。
さらに、よりサーキット志向を強めて軽量化をも厭わず、快適性をやや犠牲にしてまでもクローズドコースでのハイパフォーマンス、ドライビング上の痛快な切れ味を追求するタイプが、「M CS(クラブスポーツ)」。日本には30台のみが上陸したM3クラブスポーツなどが好例だ。
エンジン出力はMコンペティションからさらに磨かれ絞り上げられ、10数馬力ほどのトップアップが図られており、足まわりの強化に加えてアクティブMディファレンシャルや、ドリフトを許容するダイナミック・スタビリティ・コントロールなど、よりドライバー・オリエンテッドというかドライバーの走る・操る歓びに特化して躾けられている。
BMWの各シリーズごとの間口は広い。しかし究めるほどに、ドライビングのスイートスポットが露わになるような、限界を求めて走らせるからこそ経験できる歓喜の質が深化していくところに、BMW Mならではの果てしないワールドが広がっているのだ。

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