EXILEのATSUSHIさんのものまねを得意とする芸人・RYOさんが、9月9日に都内で行われた歌手の橋幸夫さん(享年82)の通夜に参列し、騒動になっている。
「現場は一時『EXILEのATSUSHIも来ているぞ』とザワつきました。
しかし、ひょうひょうと囲み取材を受け、本人ではない旨の弁明があると、記者からは嘲笑や呆れ声がもれました。ちなみに橋さんとは面識はないとのことでした」(居合わせたマスコミ関係者)
その後、RYOさんは自身のXで〈報道陣関係者の皆様に勘違いをさせてしまい大変申し訳ございませんでした。僕はEXILE ATSUSHIさんではなくEXILE ATSUSHIそっくりのRYOです。失礼致しました。橋幸夫さんのご冥福をお祈り致します。〉という謝罪の言葉とともに葬儀の写真や動画もアップ。
しかし、これが大炎上に発展した。(中原慶一)

「ネタ元」のATSUSHI本人からも苦言

RYOさんのXのコメント欄には、批判の言葉が殺到。
〈通夜ですよ?わかってますか?しかも親交もなかったのに。ふざけてる。〉
〈非常識、やって良い事と悪い事ぐらい、わかるやろ 人として、終わってる〉
スポーツ紙芸能記者はこう話す。
「不謹慎な行動に、“売名行為”“炎上商法”などの批判が殺到しました。本人は芸能事務所に所属していないフリーの芸人で、ものまね番組などの出演歴もあるようですが、かつて電撃ネットワークの南部虎弾さんの葬儀の時にも参列していた田代まさしさんに迷惑行為を働くなど、騒動を起こしていたことが報じられています」
さらに騒動が拡大したのはここからだ。

ネタ元であるATSUSHIさん本人は、この件について、有料の動画配信で「正直ナメてるなと思いました」と苦言を呈し、自分がものまねを公認していたのであれば解除すると怒り心頭に。
これに対し、RYOさんはXで、それを伝える記事をリポストし、〈EXILE ATSUSHIさん大変申し訳ございませんでした〉と12日には書き込んだものの、翌13日はうって変わって、こう書き込んだ。
〈ATSUSHIさんがファン向けの配信にて僕の事を『舐めてると』言った様ですがそんな言葉を公の場で言うのはやめて下さい マスコミやメディアの話を 全て鵜呑みにしてませんか? 事実関係も分からないまま配信するのは間違ってませんか? 僕に対して『彼有名ですよね』この言葉も嘘になるんですね?(原文ママ)〉
この投稿には、自身がATSUSHIさんのそっくりさんとしてバラエティー番組に出演した際、ワイプの中でATSUSHIさん本人が、「彼、有名ですよ」と笑っている動画が添えられていた。
「さらには、この件について、ラジオ番組で苦言を呈したタレントの有吉弘行さんに対し、〈有吉さんに関係ありますか?お会いした事もないのに色んな方が聞いてる放送で批判するのは止めてください。〉などと逆ギレともとれる書き込みをしています。
一方で、名前が同じ読み方の女性ものまね芸人の『りょう』さんが、今回の件で誤解を招いているとして、『報道に出ている方とは全くの別人です』『一切関係ございませんので、誤解のないようお願い申しあげます』と慌てて公式サイトにアップするなど、騒動の波紋が広がっています」(前出の記者)

弔問に訪れる芸能人をめぐる「トラブル」

RYOさんの「お騒がせ」の影響で、話は「ものまね芸人のモラル」についてまで発展しているのだが、それはさておき、芸能人や有名人の葬儀の席におけるトラブルは他にもあるようだ。
「マスコミが弔問に訪れる芸能人や有名人を逐一チェックするのは取材の定番ですが、いわゆる囲み取材を受けるか否かは、その時に先方から連絡がきます。
普段、めったに取材を受けない大物が、故人へのおくやみの言葉や思い出などと同時に、近況を話すこともありますから、マスコミは殺到するんです。
ただし、現場が普通の葬儀場だったりすると、囲み取材の会場に、いつまでも帰らないファンがいたりして、葬儀という場であるにもかかわらず、弔問に訪れた芸能人につきまとったり、握手を求めたりする人もいて、現場がザワつくときはありますね」(前出の記者)

警戒すべきトラブルは“香典泥棒”等の“犯罪”

芸能人や有名人の葬儀でなく、我々一般人にとっても、葬儀絡みの事件やトラブルは考えられないか。注意すべき「トラブル」はどのようなものだろうか。
ある法律事務所関係者はこう話す。
「今回のRYOさんのようなケースは『マナー・モラル違反』が問題になる範囲にとどまっており、それが法的紛争にまで至ることは考えにくいでしょう。そもそも、ケース自体がかなり特殊です。
一般人の場合、事柄の性質上、よほど非常識な振る舞いをしない限りは、『マナー・モラル違反』にも、ましてや慰謝料等が問題となるような『トラブル』にも、なりにくいと考えられます。
実際、私の経験上、そのような意味での『トラブル』は聞いたことがありません」
「マナー・モラル違反」よりも、現実的に警戒すべきものはむしろ、喪主や参列者の心の隙を突いた「香典泥棒」等の悪質な“犯罪”だという。
「悲しみに沈んでいる時に詐欺の被害に遭いやすくなると言われたりしますが、言いたいことはそれではありません。あくまで、葬儀が執り行われている最中に起こりやすい犯罪のことです。そちらのほうがよほど深刻です。
昔からある事例ですが、弔問客のふりをして葬儀に紛れ込む『香典泥棒』は今でもあります。故人の親族や古い友人になりすまして、受付の横や後ろに置いてある香典袋をすり替えたりする手口です。
『まさかこんな現場でそんなことは起こらないだろう』という心理を犯人は突いてくるんです。
2023年には愛知県安城(あんじょう)市の葬儀場で、葬儀場の責任者が、利用者の香典を別の香典袋とすり替えて現金12万円を盗んだという窃盗罪の容疑で逮捕される事件も起きています。
葬儀場では、香典等のお金の管理には十分、注意しておく必要があります」(前出の法律事務所関係者)

葬儀中の留守宅を狙う「おくやみ泥棒」も

さらにもう一つ気を付けたいのが、新聞のおくやみ欄を見て喪主の家の空き巣に入る「おくやみ泥棒」だという。
「2024年には、茨城など北関東を中心に、喪主の自宅への空き巣を繰り返していた3人組の窃盗グループが逮捕されています。
報じられているところでは、彼らは、新聞に掲載されている『おくやみ欄』を見て、留守宅を割り出していました。約7年間で88件の窃盗を犯した疑いがあり、被害額は総額1億円を超えていたとのことです。

おくやみ欄には、通夜・告別式の日時や場所、故人と喪主の名前や住所などが掲載されていますからね。葬儀を執り行う際には、戸締りには十分注意が必要です」(前出の法律事務所関係者)
実際、今年3月1日に逝去したタレントのみのもんたさん(享年80)の自宅(神奈川県鎌倉市)にも、翌2日、何者かが侵入し、窃盗未遂を起こしていたことも報じられている。
本来、粛々と執り行われるべき葬儀の現場で起こる、こうした事件やトラブルには、細心の注意が必要だろう。


■ 中原慶一
某大手ニュースサイト編集者。事件、社会、芸能、街ネタなどが守備範囲。実話誌やビジネス誌を経て現職。マスコミ関係者に幅広いネットワークを持つ。


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