17歳で少年院に送致され、約1年間を千葉県の八街(やちまた)少年院で過ごした山本さん。出院後は不良の世界と決別し、「格闘家になる」という夢をひたすら追い求めた。
そして現在、2026年年末のRIZIN出場を目指して研鑽を積む山本さんは1月7日、かつて自分が入院した八街少年院を訪れ、少年の更生支援のための講演を行った。(ライター:中山美里)
少年院に入った時は不安と絶望しかなかった
「逮捕され4か月間を留置場で過ごした後、手錠をつけたまま愛知県から4時間かけて移動し、地元から遠く離れた千葉県の八街少年院に送られた時、僕には不安と絶望しかありませんでした。ここで1年も過ごすのか…と、他には何も考えられなかったですね」山本さんは当時の胸中をそう振り返る。
罪を犯した少年のうち、約3人に1人が再び罪を犯すという現実がある。そうしたなか、山本さんは約1年間の入院生活で「格闘家になる」という夢を見つけ、出院後は一切犯罪行為に手を染めることなく更生。そして、総合格闘家としてRIZINのリングに上がるという夢を叶えた。
「必ず人は変われる」
「皆さん、はじめまして。僕も13年前にここにいました。皆さんが今ここにいるのは、非行や犯罪で逮捕されたからだと思いますが、僕も同じ立場でした。そして、今ここに立っているのは、出院後に再犯することなく努力を重ねて格闘家になったからです」“後輩”に熱いメッセージを送った山本氏(ライター撮影)
講演は、山本さんの強いメッセージから始まった。
「当時の僕には何も希望はなく、先のことは真っ暗で何もない状態でした。そんな僕が変われたのは、支えてくれる家族や、向き合ってくれる大人がいたからです。
僕は7件で逮捕され、留置場の期間も長くありました。こんな僕でも変われました。必ず人は変われます。だから、失敗を恐れず挑戦してほしいと思います」
熱のこもった講演はその後、少年たちや教官(法務教官)との質疑応答を中心に進んでいった。
在院少年へのメッセージ
山本:「どんなことが好きで、日々、何を考えて生きていますか?」少年:「特にないですね」
山本:「それはまずいですね(笑)。これまでエネルギーを過ちに使ってしまったけれど、みんな元気で勢いがある人たち。そのエネルギーをいい方向に使ってほしい。何を考えるのか、どんなことが好きで何を頑張るのか、それで人生は変わっていきます」
少年:「八街少年院で学んだことはなんですか?」
山本:「自分が犯した過ちや犯罪と向き合う時間が少年院にはあります。僕も今でも向き合って生きていますが、少年院での生活はそこを考えたり書いたりする時間がたくさんある。
自分がやってきたことは責任を取らなければならないので、向き合って、学んでいくことが大切だと思います。試合で負けた時など、失敗した時にも、この『向き合う』という姿勢から学びを得ています」
内省し、「小さな勝ち」を積み重ねる大切さ
教官:「少年たちに何を頑張ってほしいですか?」山本:「内省。それから毎日、“小さな勝ち”を積み重ねることですね。体育で腕立て伏せ20回をやり遂げるとか、そんな小さい目標でいい。
逆に、小さな負けが大きな負けになるんです。朝起きて練習に行かなきゃいけないのに、眠いから寝てしまう。この小さな負けで、結果、練習する時間が少なくなって、試合で負けてしまう。何か小さなことでいいので、やり遂げてください」
少年:「小さい目標を達成していくのって意味あるんですか?意味がないように感じてしまいます」
山本:「めちゃくちゃ意味あります。格闘技はもろにそうです。地道な練習をサボって、大技ばかり練習していても試合じゃ絶対に勝てない。ビジネスもそう。土台が大事です。土台を作るのは10代、20代が一番いい時期だと僕は思っています。
今、楽をして、後から苦しくなるのは自分です。
そして、他人と比べないこと。他人は他人、自分は自分。自分の中で小さな勝ちを積み重ねてください」
不良の世界との決別
教官:「犯罪に関わらず、どうやって距離を置いてこられたのか、体験を教えてください」山本:「出院した次の日に、それまで関わりのあった地元の暴力団の人に電話をしました。『僕は家族を悲しませてしまったし、被害者のことも(院の)中でたくさん考えました。だから、真面目になります。目標も中で決めてきたし、真っ当に生きるために、まずその目標を達成したい』と話したんです。めちゃくちゃ怖かったですが、こうやってまず暴力団との関係は断ち切りました。
その後も、地元のつながりからの誘いもあったし、お金になる話などもありましたが、僕の目標はそこじゃなかった。そこは意思で断りました。モノとかお金とかではなく、愛とか目標を達成する意思とか、目に見えないものを大切にしてほしいですね。そして自分自身を大切にしてほしい」
お菓子とジュースを寄付した山本氏(ライター撮影)
講演は約40分間に渡り、最後は寄付のお菓子とジュースを、代表の少年に山本さんが手渡すセレモニーで締めくくられた。
少年は「本当にすごいなと。自分を変えたいんです」
講演後、まもなく出院予定だという少年A君に話を聞いた。A君は少年院への入院が2回目。出院後は成人として生きるため、不安を抱えているようだった。
「今の自分と同じ立場だったのに、今、更生をして第一線で活躍をしているそれを…それを聞いて本当にすごいなと思いました。自分がそうなれるかというと、『いやあ、無理だろうな』という感じです。でも、自分を変えたいんです」
A君は正直な気持ちを吐露する。
「暴力団とのつながりはうんざりだけど、しがらみがある。人生を生き直すには、地元から遠くへ引っ越すんだろうけれど、それはいきなりできることじゃない。
どうしたらいいのか具体的には分からないんですが、大事なのは自分自身という話を聞いて、安易に人に影響され、人の駒として生きるのは馬鹿らしい、ダサいと思いました。これまで本当に、自分に負け続けて生きてきた結果だったんだなと感じ、自分を大切にしていこうと思いました」
「更生した人が講演をしてくれることで、少年たちにもいい影響がある」
法務教官たちもまた、山本さんの話に大きな期待を寄せているようだった。
「我々は少年院の先生になりたいと希望し働いていますが、自分たちは少年院に入ったことがないため、少年たちの本当の気持ちに寄り添えていないんじゃないかと思う部分があります。
八街少年院での生活は最短でも1年弱。自由を制限された環境での生活は、10代の少年には長く感じられる。
「人生と同じ山あり谷ありで、少年院の中でも波があります。今回、生徒が『響いた』と言っていました。それが答えの全てではないかと思っています。教育は時間がかかること。だからこそ、入院した少年とはしっかりと向き合っていきたい」
2015年に施行された新少年院法では、更生と再非行防止のため、「社会に開かれた施設運営」が明記された。今回の講演もその一環であり、会場の後方には地域住民や市の職員の姿もあった。
少年院は刑務所と違い、あくまでも教育のための施設。まだ未来がある若者だが、犯した罪を背負いながら更生して生きていくことになる。長く、厳しいその道のりは、決して一人で歩み切れるものではない。
だからこそ山本さんは、「以前、僕が僕と向かい合ってくれる大人に支えられたように、僕も誰かを支えていきたい」と思いを明かす。
講演の最後には「インスタグラムをやっていますので、みんなが出院したら、メッセージを送ってください」と在院少年に声をかけた。
少年時代、多くの人に迷惑をかけた山本さん。その後、数え切れないほど内省を重ね、心を入れ替えた彼の更生支援活動は、まだ始まったばかりだ。
【山本聖悟】
9歳の頃より空手を学び心身を鍛錬も、中学3年で暴走族入り、17歳で総長になるなど、地元で喧嘩に明け暮れ、少年院へ。出院後は、何の資格もない自分への劣等感に苛まれていたが、15歳の頃に出場した地下格闘技大会で出会った朝倉未来氏から「また頑張ろうよ。俺たちまだ若いんだから」とメッセージをもらったことをきっかけに、不良仲間との関係を断ち格闘家への道を邁進。16年3月、DEEP参戦以降、戦績を重ねる。19年にはROAD FC 2019 KO AWARDに選出。21年3月、RIZIN初参戦。
■中山美里
1977年、東京都生まれ。一般社団法人siente代表理事の傍ら、性風俗や女性の生き方などを中心に雑誌、WEBで取材・執筆を行う。性風俗関連の著書多数。

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