2002年放送のリアリティ番組『サバイバー』(TBS系)に旧姓の「中島瑞果」名義で出演して注目を集め、保護司としては異色の芸能界出身というキャリアと、発達障害児の子育ての経験や支援活動、療育に関する知見を活用して、主に闇バイトで犯罪に手を染めてしまった少年などの更生支援を行っていきたいとしている。(ライター・松田隆)
法務大臣からの委嘱
昨年(2025年)秋に市川浦安地区保護司会(千葉県)の鈴木茂年会長の推薦を取り付けていた丸山氏のもとに、法務大臣からの委嘱と、委嘱式への参加の通知が届いたのは、およそ5か月後の今年2月14日のことであった。A4の用紙が入る大型の封筒を手にした丸山氏は喜びと緊張感を口にした。「会長からの推薦をいただいたものの、自分に保護司としての適格があるのか、不安でした。法務省から『ない』と判断される可能性もありました。保護司になる夢がかなう喜びと同時に、1人の大人として評価された気がして嬉しいです」
保護司は非常勤の国家公務員である。『犯罪白書令和7年版』(法務総合研究所)では「犯罪をした者や非行のある少年の立ち直りを地域で支えるボランティアであり、保護司法(昭和25年法律第204号)に基づき、法務大臣の委嘱を受け、民間人としての柔軟性と地域性をいかし、保護観察官と協働して保護観察や生活環境の調整を行うほか、地方公共団体と連携して犯罪予防活動等を行っている」(p.98)と説明されている。
また、保護司法3条1項には、法務大臣が保護司として委嘱するための条件として、次の各号が定められている。
1. 人格及び行動について、社会的信望を有すること
2. 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること
3.生活が安定していること
4. 健康で活動力を有すること
上記の4つの要件を満たすと法務大臣に認められ、「拘禁刑以上の刑に処せられたことがある」「暴力による革命を標榜する団体の構成員であること」など3項目の欠格事由(同4条)に該当しない丸山氏は、3月の委嘱式を経て、新任の保護司として活動を開始する。
3月から保護司になる丸山瑞果氏(撮影・松田隆)
舞台からTBS系『サバイバー』出演
丸山氏はかつて、旧姓である「中島瑞果」の名前で芸能活動をしていた。舞台やテーマパークを中心に芝居やキャラクターショー、ものまね、コントなどを披露。30歳だった2002年、オーディションを勝ち抜いて『サバイバー』(TBS系)に出演する。
コミカルな役割もこなしていた(本人提供)
16人の男女がパラオの無人島でサバイバル生活をしながら課されたゲームをこなし、仲間内の投票で追放者を決めていくバラエティで、米CBSで人気を集めた『SURVIVOR』の日本版である。
丸山氏は過酷な環境の中、ほとんど追放のターゲットとされることなく(投票数は1票で最少)、3位に入った。
テレビ画面の中で奮闘していた丸山氏ではあるが、幼少期からの夢は保護司になることであった。高校卒業後は芸能界を目指したが、『老後は保護司になりたい』という夢を抱き続けていた。小学生の頃に保護司が出てくるテレビドラマを見て、将来は自分もその道に進みたいと思うようになったという。
昔から正義感が強く、社会的弱者救済のためには周囲との軋轢(あつれき)が生じることを恐れずに行動してきた。そうした自身の生き方に対する考え、姿勢を保護司という仕事が体現してくれるという思いもあった。
発達障害児童の療育
2007年に結婚した後は主婦業に専念し、3児をもうけた。忙しくも幸せな母親としての生活が始まると思いきや、予想もしなかった事態が訪れる。子どもに発達障害があることが判明したのである。最初にその事実を告げられた時は発達障害に関する知識もそれほどなかったことから、「この子の未来は終わった」「この子は死んだ」とまで思ったという。
こうして丸山氏の40代は、ほとんど子育てに費やされることになる。
(子どもは)乳児の頃から睡眠時間が極端に短かった。水が飲めない(特定のジュースで水分補給)、キッチンの匂いで食べるか食べないかが決まる、見た目で気に入らないと食べないなど、生活の中でのこだわりが強い。
小学校の保護者懇談会では子どもがこの先、何かするかもしれないので、他の保護者に「被害にあわれた場合はすぐにご連絡ください、先生にもお伝えください」と毎年頭を下げていた。これを毎年、毎日続ければ、心身ともに疲弊していくのは明らかである。
情緒障害特別支援学級の担当教諭と二人三脚の療育(※)を続け、今では「言ってはいけないストレートな言葉を飲み込むことを覚え、普通学級で中程度の成績を収められるようになりました」と言うが、そこに至るまでは「障害児育児は想像を絶するものがありました」と振り返る。
※発達障害などのある子どもに対し、日常生活や対人関係のスキルを伸ばすために行われる支援
2024年に小学校のPTA会長に就任し、発達障害を持つ児童の支援学級(情緒支援級)の増設などを含む支援の強化に取り組んだのも、当然自身の経験からその問題がいかに子どもや家族に負荷がかかるかを理解していたからである。そして、この経験が、「将来の夢」と考えていた保護司の活動にも関わってくる。
巡ってきたチャンス
2025年秋、関わりのあった人が保護司になると聞いた。自身の子育て、発達障害児童の支援に奮闘を続けて疲弊する一方、子どもの頃の夢へのルートが身近にあることを感じ、市川浦安地区保護司会の鈴木会長との懇親会をセッティングしてもらった。その後、同会長との正式な面談が行われ、元芸能人の履歴を見た会長から「保護司の大きな大会の時に司会をしてもらおうかな」と言われ、「いいですよ。(料金は)高いですよ」と返して、ともに笑ったという。さらに、同会の朝倉忠文顧問らの面接を経て会長の推薦を受けた。
推薦を受ける際には家族の同意が必要になるが、当初は夫も3人の子どもも難色を示した。「子どもたちが巣立ってからでいいのではないか」と、夫からは3人の子が小中学生である時期に、わざわざ今、保護司になる必要があるのかと言われた。
2024年5月に大津市(滋賀県)で保護司が殺害される事件があって1年半ほどの時期、家族の心配も当然で、しばらく時間をおいて話をすることにした。2度目の話し合いでは、必ずしも自宅に更生支援が必要な人が来るわけではないことを含め、安全面を強調。その上で保護司になるのは自分の夢であることを話して了承してもらった。
「子どもたちは、保護司が国の仕事であることを告げると、喜んでくれました」とのことであった。社会貢献する母親を誇らしく感じたのかもしれない。
保護司会としても、丸山氏のような属性の人は歓迎という側面があると思われる。保護司の平均年齢は2025年の時点で65.4歳、女性の比率は27.3%である。年齢に関して言えば60歳以上が77.6%を占め、「54歳」「女性」はいずれも少数だ。
また、職業別では会社員等24.9%、宗教家12.2%、商業・サービス業6.7%、農林漁業6.0%となっており、芸能界出身という点でも従来の保護司にはなかった視点の更生支援が期待できる。
なお、2025年1月1日時点での全国の保護司の人数は4万6043人で、保護司法で定められた上限5万2500人(2条2項)を割り込み、ピークだった2004年度の4万9389人から7%近く減少している(以上、保護司に関するデータは前出の『犯罪白書』から)。
保護司が慢性的に不足している現状であることも、新任保護司への期待の高さに繋がる。
丸山瑞果”みずっち”だからできること
地域への貢献を胸に保護司へ(撮影・松田隆)
丸山氏は発達障害児童の支援に関連して、市原青年矯正センターを視察したことがある。
同センターは「令和5年(2023年)に開設され、入所時概ね26歳未満の知的障害等を有する男子受刑者に対し…特性に応じた、農業や就労を見据えた職業訓練を実施」(法務省ホームページ・市原青年矯正センターから)という施設で、実際に訪れてみると、発達障害の収容者の多さ、同時に療育の質の高さに驚いたという。
「闇バイトに関わった人が多いんです。発達障害の人は、他人から優しく、体のいい言葉を言われると、『この人のために』と思ってしまうところがあって、それを利用されるのでしょう。『俺の頼みだ』『あの家に行って、お金を受け取ってきて』と言われて、犯罪に巻き込まれています。
家族がその子の障害を否定して療育を受けないまま育つ場合も多く、そういう家族のもとに戻れば同じことが繰り返される可能性はあります。出所してきたら、もう利用されないように、保護司が寄り添っていくことが大事なのだと思います」
自身の子育てとPTAを通じた活動での経験が、発達障害を持つ少年少女への更生支援という困難な仕事の解決に役立つ。丸山氏でなければできない更生支援の形が待ち受けている。
元サバイバーが言う「生き残れ」
サバイバー出演当時(本人提供)
丸山氏が出演した『サバイバー』は、出演者が40日近く無人島で過ごし、その中で仲間を追放していくという過酷な設定で行われる。丸山氏にとってサバイバー出演が芸能人生においてのピークと言っても過言ではなく、その経験が今の自分を形成することに役立っている実感があるという。
そうした得難い経験を保護司としてどう役立てることができるか、どのように更生支援に生きるかを聞いた。
「サバイバーは投票で追放されたら、そこで一巻の終わりです。常に追放の危機に怯(おび)えるという制限のある生活の中でも、私は自分なりの楽しみを見つけることができました。
更生が必要な少年少女たちも、出所してから厳しいと思われる生活の中でどれだけ楽しみを見つけられるかが大事でしょう。それを元サバイバーの私なら一緒に模索していけるのではないかと思います。彼ら・彼女らには残りの人生で塀の中に戻ることなく『この社会で生き残れ』と言いたいですね」
にっこりと笑った表情は、24年前の“みずっち”の笑顔と重なっているかのようであった。
◾️松田隆
1961年埼玉県生まれ。青山学院大学大学院法務研究科卒業。日刊スポーツ新聞社に約30年在職し、退職後にフリーランスとして活動を始める。2017年に自サイト「令和電子瓦版」を開設した。現在は生殖補助医療を中心とした生命倫理と法の周辺、メディアのあり方、冤罪と思われる事件の解明などに力を入れて取材、出稿を続けている。

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