一方で、成年後見制度の利用者やその家族らを中心に組織され、制度改正に強い懸念を示す「後見制度と家族の会」は、3月31日、都内で会見を開き、要綱の問題点を挙げ、本人が選んだ後見人や家族を後見人の優先順位の上位にすることなどを要望した。(ライター・榎園哲哉)
改正で「本人の意思尊重義務」など強化
2000年4月に施行された成年後見制度は、判断能力が不十分なため、不動産や預貯金などの財産が適切に管理できず、悪質商法などの被害を受けやすい高齢者や障害者を保護し、支援することを目的とする制度だ。すでに判断能力が不十分になっている人を対象に家庭裁判所が選任した「成年後見人」等が本人をサポートする「法定後見」と、将来の判断能力低下に備えてあらかじめ後見人と契約しておく「任意後見」の二つに分けられ、運用されてきた。
同制度をめぐっては、これまで
- 一度後見開始が決まると、本人の判断能力が回復しない限り制度の利用を終了することが難しい
- 後見人に不正が発覚しても解任しにくい
- 後見人は包括的な代理権・取消権を持つため、本人の自己決定が制限される
こうした施行開始以来の課題を解決することを目指し、法務省の法制審議会は2月、「民法等(成年後見等関係)の改正に関する要綱」を取りまとめた。
改正要綱には、たとえば以下のように、こうした課題の解決を目指した内容が示されている。
- 家庭裁判所の判断により、途中で制度の利用を終了できる規定を新設する
- 従来、本人の判断能力に応じて「後見」「保佐」「補助」の3段階に分けていた後見制度を、「補助」に一本化する
- 包括的な代理権の付与を廃止し、代理権や同意権は必要な範囲に限って個別に付与する
- 「本人の利益のため特に必要がある」という事由を設け、補助人の交代を容易にする
- 本人の意向把握を必須とし、本人の意思尊重義務をより強化する
※自己の行為の結果について、認識し判断する精神的能力
「約8年、おじと会えない状況が続いている」
この改正要綱に対して、「後見制度と家族の会」は疑問を呈している。会見には同会の石井靖子代表、支援者の森脇淳一弁護士、一般社団法人「後見の杜」の宮内康二代表の3人が出席した。会見で石井代表は、
- 制度の終了基準が示されておらず、家庭裁判所の裁量で終わらない公算が大きい
- 代理権の範囲を狭くしても、狭くした範囲で権利侵害されたら意味がない
- 後見に専門的な仕事はなく、当初から親族だけを後見人にすべきであるのに、専門職後見ありきの議論に終始している
さらに石井代表は、成年後見制度の運用によって「家族が排除される被害」が生じている実態を、自身のおじのケースを挙げて詳しく説明した。
広島県在住の石井代表には、兵庫県の特別養護老人ホームに入所している80代の聴覚障害者のおじがいる。2018年、施設の衛生環境の悪化を理由としておじ本人が「施設を移りたい」と漏らしたことから、石井代表ら親族が転所に向けた手続きを進めようとした。しかしこれを施設長が拒否し、「今後一切親族には会わせない」と宣告されたという。
施設側は顧問弁護士を立て、施設側の手話通訳のみを介して「この弁護士を後見人にしたい」とおじが望んでいるとして一方的に家庭裁判所に申し立て、受理された。法定権限を持つ「成年後見人」となった弁護士は、施設側の意向に沿う形で親族との面会を拒否し続けており、石井代表は2018年以降、約8年にわたって一度もおじに会えない状況が続いているという。
元裁判官でもある森脇弁護士は、自らが成年後見にかかわる裁判を担当していた経験を踏まえ、本人を守るための制度が、専門職らによる「家族の追い出し」「本人の囲い込み」に利用されている実態があると指摘。
「家族以外の人(専門職)が判断能力が衰えた人の思考や趣味などを分かるはずがない。一方で、専門職後見人が家族からの苦情を避けるためには、本人を施設に閉じ込め、家族を排除したほうが管理が楽になるという構造がある」と述べた。
「親族後見の原則」新設を要望
「後見制度と家族の会」は、法制審議会の改正要綱に対して、制度の在り方を根本的に見直すことを求め、次の3点の修正を要望している。①海外と同様、後見人の選任順位として、本人で選んだ後見人を第1位、法律で後見人になる順位が決まっている家族を第2位、最後に家庭裁判所が後見人を決める、というルールを設けるべき
②家庭裁判所が選任する後見人や報酬額について、当事者や家族が不服申し立てできる仕組みを設けるべき
③家族以外の人が後見人の場合、後見人が家庭裁判所に提出する事務報告書を本人や家族が閲覧できるようにすべき
同会は、こうした提案を通じて、後見制度の運用が「家族排除」にならないよう、制度の在り方を見直すことを強く求めている。
改正要綱は近く閣議決定される見通しだ。
■榎園哲哉
1965年鹿児島県鹿児島市生まれ。私立大学を中退後、中央大学法学部通信教育課程を6年かけ卒業。東京タイムズ社、鹿児島新報社東京支社などでの勤務を経てフリーランスの編集記者・ライターとして独立。防衛ホーム新聞社(自衛隊専門紙発行)などで執筆、武道経験を生かし士道をテーマにした著書刊行も進めている。

![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 昼夜兼用立体 ハーブ&ユーカリの香り 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51Q-T7qhTGL._SL500_.jpg)
![[のどぬ~るぬれマスク] 【Amazon.co.jp限定】 【まとめ買い】 就寝立体タイプ 無香料 3セット×4個(おまけ付き)](https://m.media-amazon.com/images/I/51pV-1+GeGL._SL500_.jpg)
![[コロンブス] キレイな状態をキープ 長時間撥水 アメダス 防水・防汚スプレー420mL](https://m.media-amazon.com/images/I/31RInZEF7ZL._SL500_.jpg)







![名探偵コナン 106 絵コンテカードセット付き特装版 ([特装版コミック])](https://m.media-amazon.com/images/I/01MKUOLsA5L._SL500_.gif)