SNSなどでとても狭い隙間から、猫がスルリと抜け出てくる動画を見たことがあるという猫好きさんも多いのではないでしょうか。あまりにも狭い隙間から出てくるので実はフェイクなのでは?と話題になることがしばしばあります。


 実際の真偽のほどは定かではないですが、猫は頭の幅ほどしかない狭いところでも引っかかることなく通り抜けることができると言われています。今回はその柔軟性の秘密についてお話をしたいと思います。

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猫は実は液体だった!

 話題になったこのジョーク。2017年に「猫は固体かつ液体の両方になれるのか?」という研究でフランスの研究者がイグノーベル賞を受賞したことにより一気にこの“猫は液体”というジョークが話題になりました。この研究では固体とは“一定の体積と形を保つもの”、液体とは“体積は一定であるものの形は容器に合わせて変化するもの”と定義されており、そこに当てはめて考えると“猫は液体である”ということになったようです。

 もちろん猫が固体であるのは分かりきっているのですが、入りきらない様な狭い場所に無理やり入ってみたり、入れ物の形に合わせて広がったりしている日々の様子を見ていると「本当に液体なのかもしれない」と思うこともありますね。

体の構造から考える

 猫のあの柔軟性を可能にしている秘密は骨にあると言われています。骨の数は人間が206本、犬が約320本なのに対し猫は244本あり、人よりも多く犬よりも少ないのですが人間も犬もあの柔軟性は真似できません。
実は骨の数ではなく、鎖骨の構造に秘密があります。

 本来、胸骨と前脚の骨をつなぐ役割のある鎖骨ですが、猫ではこれが退化しておりあまり機能をしていません。その代わりに胸骨と前脚の骨はやわらかい筋肉でつながっているので動きがあまり制限されることなく、肩をすぼめればかなり狭い隙間でも通り抜けることができるというわけです。

 この構造自体は犬や牛、馬など他の四足歩行をするほとんどの動物でも同じなのですが猫は加えて関節や筋肉、靭帯まで柔らかいためあの柔軟性を実現できていると考えられています。

なぜ鎖骨が退化した?

 鎖骨が退化した要因の1つに、私たち人間とは違う四足歩行という特有の歩き方が大きく関係しています。四足歩行では、後ろ脚で地面を蹴って前に進み、前脚で着地します。
後ろ脚と前脚の筋肉の量を比べると一目瞭然ですが、着地するときに前脚にはかなり大きな負荷がかかります。

 前脚の骨と胸骨が鎖骨でつながっていると、胸骨につながっている体を支える上でとても重要な“背骨”にまで負荷が伝わってしまうため、その衝撃を和らげるために筋肉だけで連結していると考えられています。

 この構造は高いところから飛び降りるときなどにも大きく関係しています。ほとんどの場合に前脚から着地するのでその衝撃はあの細い2本の脚にダイレクトに掛かってきますが、この時にもその負担を背骨に伝えないために一役買っているというわけですね。

 長い歴史の中で生活しやすいように鎖骨をどの骨にも関節させないという進化をしてきた猫ですが、もちろんおうちの工夫でさらに負担を減らすことができます。例えば愛猫がよく登るキャットタワーなどの高い場所の周辺にはマットなどをひいてあげると着地の際の負担をさらに軽減してあげることができます。


 おうちの中のそういった場所を今一度探してみて工夫してあげるといいでしょう。