太平洋セメントは、デンカからセメント販売事業を2023年3月31日付で取得することを決めた。これに伴い、デンカは「デンカセメント」のブランド名によるセメント販売を終了し、2025年上期をめどにセメント製造事業と石灰石の自社採掘からも撤退する。
太平洋セメントはデンカがセメント販売事業を会社分割して設立する新会社の全株式を取得する。国内事業の収益基盤強化につなげる狙い。デンカの当該事業の直近売上高は113億円。取得価額は非公表。
デンカは1954年にセメント事業に参入。糸魚川市の青海工場を拠点とし、隣接する黒姫山の石灰石を活用してセメントを製造している。しかし、近年は主要販売先の北信越地区をはじめ国内セメント需要が低調に推移し、さらに設備老朽化で大型の更新投資を迫られる状況下、事業の維持・成長は困難と判断した。
一方、太平洋セメントは子会社の明星セメントが同じく糸魚川市に工場を構えている。
「デンカセメント」のブランド名による販売は2023年3月末に終了し、太平洋セメントは4月以降、デンカの青海工場で生産されたセメントを「太平洋セメント」のブランド名で取り扱う。デンカが2025年にセメント製造を中止した後は、カーバイド生産用石灰石の供給などを明星セメントが行う。