大和重工は11日、MBO(経営陣による買収)で株式を非公開化すると発表した。田中宏典社長が設立したTコーポレーション(広島市)がTOB(株式公開買い付け)を行う。
買付価格は1株につき1620円。TOB公表前営業日の終値1124円に44.13%のプレミアムを加えた。買付予定数は98万1638株。下限は所有割合41.24%にあたる54万2900株に設定した。筆頭株主の広島運輸(広島市)が所有する18.32%と、第2位株主の田中社長が所有する7.10%の合計25.43%はTOBに応募しない。
買付期間は11月12日~12月23日の30営業日。決済の開始日は12月27日。公開買付代理人はSMBC日興証券。
大和重工はTOBに賛同し、株主に応募を推奨することを決めた。
大和重工は東証スタンダード市場の上場維持基準の一つである流通株式時価総額(10億円以上)を大きく下回り、上場廃止の可能性があった。TOBを通じて少数株主に株式の売却機会を提供することが合理的な選択だったともしている。
大和重工は1920年に広島市で瀬良商工として設立。その後、1939年に大和(やまと)重工、1944年に大和重工業、1951年に現在の大和(だいわ)重工に社名を変更した。1961年に東証2部に上場した(2022年4月に東証スタンダード市場に移行)。