日本製鉄は現在、山陽特殊製鋼の株式53.08%(間接所有を含む)を持ち、残る株式を買い付ける。グローバルな特殊鋼マーケットでの競争力強化が目的。

内需の減少や中国における過剰生産能力と輸出攻勢、EV(電気自動車)化の進展などに伴う特殊鋼市場をめぐる厳しい事業環境に打ち勝つとともに、北米、インドなど今後も需要拡大が見込まれる地域での収益機会をグループ一体で取り込む。買付代金は704億5000万円。

買付価格は1株につき2750円。TOB(株式公開買い付け)公表前日の終値1945円に41.39%のプレミアムを加えた。買付予定数は2561万8493株。下限は所有割合13.69%にあたる745万7756株。買付期間は2月3日~3月18日の30営業日。決済の開始日は3月26日。公開買付代理人は大和証券。

山陽特殊製鋼はTOBに賛同し、株主に応募を推奨することを決めた。TOBが成立すれば、同社の東証プライム市場への上場は廃止となる。

山陽特殊製鋼は1933年に山陽製鋼所として発足。

軸受用鋼と呼ばれ、耐摩耗性や転がり疲労寿命に優れた特殊鋼を創業以来の主力品種とする。日本製鉄との資本関係は1953年に始まる。日本製鉄は2006年に同社を持ち分法適用関連会社とした後、2019年に第三者割当増資の引き受けを通じて連結子会社化した。

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