PC(プレストレスト・コンクリート)橋梁工事を主力とするコーアツ工業は、建設業の植村組(鹿児島市)を中心とする植村グループのTOB(株式公開買い付け)を受け入れて株式を非公開化する。植村グループはコーアツ工業の株式30.04%を所有する筆頭株主で、同社設立(1959年)に深くかかわるなど、両社は緊密な関係にある。

国の「国土強靭化計画」などを受け、インフラの老朽化対策や防災・減災対策の強化に向けた需要が見込まれる中、植村グループとの経営を一体化することで中長期的な成長戦略の実現を目指す。

TOB主体は植村グループの各社が出資し、コンサルティング事業を手がけるウエムラ(鹿児島県薩摩川内市)。

ウエムラによるコーアツ工業株の買付価格は1株につき1840円。TOB公表前日の終値1659円に10.91%のプレミアムを加えた。買付予定数は159万1188株。TOB成立の条件となる下限は所有割合36.63%にあたる83万3200株に設定した。30.04%を所有する植村グループはTOBに応募しない。買付代金は29億2778万円。

買付期間は8月6日~9月18日の30営業日。決済の開始日は9月26日。公開買付代理人は大和証券。

コーアツ工業はTOBに賛同し、株主に応募を推奨することを決めた。

同社が今回、TOBを受け入れることにした背景として、東証スタンダード市場の上場維持基準の一つである流通株式時価総額(10億円以上)を満たさなくなる可能性もあったとしている。

コーアツ工業は1959年、植村組が鹿児島、宮崎、熊本の各県に持つコンクリート製品(ヒューム管)工場を引き継ぎ、南日本高圧コンクリートとして発足。1990年に現在の社名に変更。現在、PC橋梁工事を中心とする建設事業が売上高の9割超を占める。

2001年に大証2部と福証2部に上場。その後、2013年に東証2部に指定替えを経て、2022年4月に東証スタンダード市場に移行した。

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