産業ガス大手のエア・ウォーターは関連事業として電子材料、医療用ガス、歯科材料・衛生材料、食品・飲料水などを多様なビジネスを展開する。歯科用品の通信販売を主力とする歯愛メディカルとは2016年に資本・業務提携した。
現在、38.29%を出資して同社を持ち分法適用関連会社としているが、TOB(株式公開買い付け)を通じて所有割合を90%に高める。事実上、経営を一体化することで、これまで手薄だった介護や調剤薬局などB‐C(企業・消費者間取引)領域での医療事業の拡大を推し進める狙い。
筆頭株主で歯愛メディカル社長の清水清人氏は所有する株式46.73%のうち36.73%をTOBに応募し、残る10%を継続所有する。
買付価格は1株につき1500円。TOB公表前日の終値986円に52.13%のプレミアムを加えた。買付予定数は2585万2253株。買付代金は387億円。
エア・ウォーターと清水氏の応募分を合わせた議決権割合が3分の2を超えることから、買付予定数の下限は設定していない。
買付期間は8月8日~9月24日の31営業日。決済の開始日は10月1日。公開買付代理人はSMBC日興証券。歯愛メディカルはTOBに賛同し、株主に応募を推奨することを決めた。
歯愛メディカルは2000年に石川県白山市で設立し、歯科医院・歯科技工所を対象とする歯科用品の通販事業に開始。現在は一般病院や動物病院などにも販路を広げている。東証TOKYO PRO Marketを経て、2017年に東証ジャスダックに上場(2022年4月に東証スタンダード市場に移行)。
歯愛メディカルは2024年、衣料品・雑貨を中心とする通販大手のニッセンホールディングス(京都市)、女性用下着通販の白鳩(京都市)をTOBで相次いで子会社化した。