
9月を決算期とするM&Aキャピタルパートナーズ<6080>、ストライク<6196>、M&A総研ホールディングス(HD)<9552>のM&A仲介上場3社の2025年9月期第2四半期決算(今中間決算)が2025年4月30日に出そろった。2社が減収営業減益となっており、うち1社は通期の業績予想を大幅に下方修正するなど、厳しい内容となった。
M&Aキャピタルパートナーズ、営業利益が2.5倍超に
M&A市場は、後継者不在の中小企業が事業承継にM&Aを活用するケースや、成長戦略の一つとしてM&Aに踏み切る中小企業が増えつつあるなど拡大の方向にある。
こうした追い風を受け、順調に業績を伸ばしたのがM&Aキャピタルパートナーズで、大型案件の成約が多かったことから売上高は114億6600万円(前年同期比58.2%増)と50%を超える増収となり、これに伴って営業利益は42億3400万円(同154.3%増)と前年同期のおよそ2.5倍に達する大幅な営業増益となった。大型案件は31 件(全成約件数は114件)で、前年同期の15件(同96件)の2倍ほどに膨らんだ。
ストライクは大型案件の売り上げ計上が2025年9月期第3四半期以降にずれ込んだため売上高は前年同期比3.0%減の89億5100万円に留まり、営業利益も同34.2%減の24億3900万円となった。成約件数は249件で、前年同期よりも7件減少したが、新規受託は535件で、通期計画1045件に対して51.2%と順調に推移した。
M&A総研HDは、案件ブレイク(取引中止)数が増加し成約件数が前年同期よりも9件少ない114件に留まった結果、売上高は76億5800万円(同10.2%減)と2ケタの減少となり、営業利益は24億8000万円(同49.8%減)と前年同期の半分近くにまで落ち込んだ。

コンサルタントの増員に注力
事業拡大に直結するコンサルタント(案件をとりまとめる専門家)の増員については各社とも積極的で、M&Aキャピタルパートナーズは、今中間期中に55人増員し、242人とした。2025年9月期では265人への増員を計画している。
ストライクは年間の増員計画61人に対し今中間期中に30人を増員しており、コンサルタント数は333人となった。2025年4月にはすでに55人(うち新卒33人)を採用しており、年間の増員計画は達成できる見通し。
M&A総研HDの今中間期のコンサルタント数(M&Aアドバイザーとマッチング担当者の合計)は402人で、前年同期よりも104人増加した。2025年9月期にはさらに増員し475人に引き上げる計画だ。
また各社ともコンサルタント数と同様に、業績に直結する成約件数を伸ばすために、拠点の拡充や、地域金融機関や税理士法人との連携などを進めている。
ストライクは引き続き、提携先金融機関から人材を受け入れることで、協業によるM&A支援体制を強化したほか、特許データを用いたM&A候補企業探索システムを活用した効率的なM&Aマッチングを推進。
M&A総研HDは、海外のM&A仲介案件を獲得するため、シンガポールに現地法人を設立した。

中小M&Aガイドラインに対応した研修を実施
M&A市場では、ニーズの拡大に伴ってM&A仲介会社の新規参入が相次いでおり、競争が激化するとともに、不適切な助言でトラブルに発展するケースなども発生している。
このため中小企業庁は2024年8月に「中小M&Aガイドライン」(第3版)を改訂し、仲介会社の業務の内容や質、手数料に関する事項などを追記した。
コンサルタントにはM&Aに関する知識やスキル、職業倫理を備えることが求められており、こうした動きを受け各社とも研修に力を入れた。
今中間期の決算短信の中で、M&Aキャピタルパートナーズは「定期的かつ多頻度な教育機会を設け、ガイドラインの適切な理解を含むM&Aに必要な専門知識の獲得のための教育を徹底している」とし、ストライクは「中小M&Aガイドラインの理解を深めるための社内研修を行い、M&Aコンサルタントの育成を通じてサービス品質の向上に努めた」としている。
M&A総研HD、業績予想を下方修正
2025年9月期通期は、今中間期に大幅な増収営業増益を達成したM&Aキャピタルパートナーズが、売上高236億4500万円(同23.4%増)、営業利益81億200万円(同27.1%増)と20%を超える増収営業増益を見込む。
ストライクは2025年9月期第3四半期にずれ込んだ大型案件の成約が見込めることから、業績は当初予想を据え置き、売上高223億円(同22.9%増)、営業利益84億700億円(同24.1%)の増収営業増益を見込む。
M&A総研HDは2025年9月期の業績予想を修正し、売上高は当初予想より52億5000万円少ない179億5000万円(同8.5%増)に、営業利益は46億6800万円少ない57億3200万円(同31.8%減)に引き下げた。
今中間期期に発生したブレイク数の増加が要因で、同社では「期初から取り組んでいる生産性向上に向けた施策による十分な成果が出ていないため、業績予想の修正が必要と判断した」としている。
文:M&A Online記者 松本亮一
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