「吉野家」ラーメンブランドと初の共同開発メニュー 牛丼店舗で販売

牛丼チェーン店「吉野家」や、うどんチェーン店「はなまる」などを運営する吉野家ホールディングス(HD)<9861>は、2025年10月17日から冬季限定で、2019年に子会社化したラーメン店「ばり嗎」などを展開するウィズリンク(広島市)とのコラボメニューを吉野家の店舗で販売する。

同社はラーメンを牛丼とうどんに次ぐ第三の柱に育てる方針を打ち出しており、この一環として初となるラーメンブランドとの共同開発に踏み切った。

ラーメン店のような味変も

販売するのは鍋料理の「ばり嗎監修とんこつ醤油牛鍋膳」。牛肉、白菜、ネギ、豆苗、ニンジン、絹豆腐、きしめんの具材に、ニンニクを使ったたれと、玉子、ご飯、漬物をセットで提供し、ラーメン店のような味変を楽しむことができるようにした。

ウィズリンクは広島発のラーメンブランドで「最強トロ炊きとんこつ鶏ガラ醤油らーめん」が看板商品。

現在は中国、四国、近畿、関東エリア、アジア、オーストラリア、欧州などで48店舗(国内24店舗、海外24店舗)を展開しており、吉野家HDのラーメンブランドの中で最多の店舗数となっている。

吉野家HDでは今回のコラボについて「双方のブランド価値を高め、新たな日常食の提案を発信する」としている。

5年後にラーメン売上高を5倍に

吉野家HDは2016年にラーメン店「せたが屋」を運営するせたが屋(東京都世田谷区)を子会社化し、ラーメン事業に参入。

その後、今回コラボすることになったウィズリンクをはじめ、2019年に「金澤濃厚中華そば神仙」の運営会社の全力の元(金沢市)や、2025年1月に「キラメキノトリ」の運営会社であるキラメキノ未来(京都市)を次々に傘下に収めた。

今後は、5年間(2026年2月期~2030年2月期)で400億円を投じるマルチブランドM&A戦略を推進し、新たなラーメンブランドをグループに加えることで、2030年2月期に目標とする売上高3000億円(2025年2月期は2049億8300万円)、営業利益150億円(同73億600万円)のうち、ラーメンで売上高400億円(同80億円)、営業利益40億円(同4億円)を目指す。

市場規模は10年前の1.56倍に拡大 

ラーメン業界ではM&Aが活発化しており、M&A OnlineがまとめたM&Aデータベースでは、2025年は9月22日時点で7件に達しており、前年の3件を大きく上回っている。

直近では2025年9月4日に、横浜家系ラーメン「壱角家」などを展開するガーデン<274A>が、味噌ラーメンブランドの「萬馬軒」事業をグッドクリエイト(東京都渋谷区)から取得すると発表した案件がある。

ラーメン業界でM&Aが増加している背景には、ラーメンの市場が拡大しているのに加え、海外でも人気が高いことから、海外展開が見込めることなどがあると見られる。

帝国データバンクが2025年7月に発表した『全国「ラーメン店」市場動向調査(2024年度)』によると、ラーメンチェーン店や、ラーメンを中心とした中華料理店を含めた「ラーメン店市場」は、2024年度(2024年4月~2025年3月)に、7900億円規模に達する見通し。

これは10年前の2014年度(2014年4月~2015年3月)の5066億円の1.56倍となり、集計可能な2010年度以降で過去最高を更新するという。

また、ラーメン事業以外の外食チェーンが、ラーメン事業に参入するケースが増えており、既存チェーン店による国内外での出店攻勢と合わせて「2025 年度以降もラーメン店市場は高い成長が見込まれる」としている。


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文:M&A Online記者 松本亮一

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